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フィアナ、セシリアの救出に向かう

 そうして3日目の朝を迎えました。

 長かった実戦演習も、今日で3日目――最終日です。



「今日は、残りのチェックポイントを巡ってコンプリート。そのまま拠点に戻る形ですね」

「う~ん、結構ギリギリになったね。やっぱり手当たり次第に、モンスターと戦ってたのが良くなかったのかな?」

「こんなふざけた方法で回りきったのは、たぶんフィアナちゃんだけだと思います」


 ちなみに集まった魔石は、全部で16。

 運も味方して、かなりの数の魔石を集めることに成功しました。


 朝食を食べて出発。

 サクッと移動して、チェックポイントを2つ巡りコンプリート。

 そのままモンスターを倒して魔石を集めながら、私たちは出発地点に戻るのでした。




※※※


 拠点に戻り、ふうと息を吐く私たち。


「私たちが1番乗りみたいですね!」

「さすがに疲れました……」


 長丁場に、疲労の色を隠せないエリンちゃん。

 3日間フルで動き回ったことになり、さすがに私もヘトヘトでした。



「クソォ、あと2つ。2つでコンプリートだったのに!」

「悔しい~! チェックポイント、全然回れなかった……!」

「おい、なんか第4チェックポイントのあたりに、馬鹿でかいモンスターの死骸が置いてあったんだが……」


 やがて続々とクラスメイトたちが帰ってきます。

 3日ぶりに再会したクラスメイトたちは、口々に興奮した様子で己の冒険について語ります。



(あれ? セシリアさんたち、遅いですね――)


 セシリアさんたちを待つ私たちですが、一向に帰ってくる気配がありません。


「時間だな」


 やがてマティさんが、そう呟きます。

 いつの間にか集合場所には、セシリアさんのチーム以外のメンバーが勢揃いしていました。


「な、何かあったんじゃ?」

「いや……。さすがにセシリアさんたちのチームに限って、そんなことは――」


 心配そうに言葉を交わし合うクラスメイトたち。

 確かな実力を持つセシリアさんですが、それでも何があるか分からないのが実地演習というものです。


 私たちの間に、ざわざわと混乱が広がりかけたのを見て、


「もう少しだけ様子を見よう。30分経っても戻ってこなかったら我々が救出に向かう」


 マティ先生とティナ先生が、そう宣言しました。




 時間にして数分でしょうか。

 重々しい沈黙を破るように、1人の少女が集合場所に駆け込んできました。


「誰か、助けて!」

「あ、あなたは――」


 傷だらけで現れた少女の名は、ヘレナ。

 常にセシリアさんと行動している少女の1人でした。


「ま、まずは治療を!」

「私のことはいいです。セシリアさまは、私たちを逃すために現場に残って、今も戦っていて――誰か、セシリアさまを助けて下さい!」


 身体中はボロボロで、あまりにも令嬢らしくない姿。

 なりふり構わずそう叫ぶ少女は、ただただセシリアさんを案じているようで、


「彼の者に神の祝福を――」

「これが、癒やしの魔法!?」


 エリンちゃんは、回復魔法を使ってヘレナさんの傷を癒やすと、


「すぐに向かいます。案内して下さい」

 安心させるように、そう微笑むのでした。




「こっちです!」


 ヘレナさんは、そう言いながら走り出します。


「いったい何があったんですか?」

「それが……、いきなり巨大なモンスターが現れたんです。恐ろしく大きなムカデで――応戦したんですが、私たちの攻撃じゃ、まるで刃が立たなくて――」

「ムカデのモンスター?」


 この近辺に、そんな奴いたでしょうか?


「セシリアさんのチームは、5人チームでしたよね? ヘレナさん以外は、今もそのモンスターと戦ってるんですか?」

「あいつらは逃げたんですよ。しかも救援用の閃光魔法を持ち逃げして――」


 聞けば新たにメンバーに加わった2人は、劣勢を悟った瞬間、そのまま逃走を始めたそうです。

 その際、救援を呼ぶと言いながら救援用の閃光魔法を持ち出していたようで……、


「でも私たち、誰も閃光魔法を見てませんよ?」


 緊急事態に遭遇したときのための閃光魔法は、打ち上げて広範囲に助けを求める魔法です。

 もし使われたなら、誰も見ていないとは考えづらく、



「つまりは――」

「怪しいですね、その2人」


 ――意図的に、救援を呼べないように持ち逃げした。



 そうとしか考えられない事態です。

 移動しながら話を聞いていたエリンちゃんは、静かに怒りをあらわにしました。


「事態は一刻を争いますね――捕まって下さい。私が抱えて移動した方が早いです!」

「「…………へ?」」


 私はそう声をかけ、エリンちゃんとヘレナさんを抱えます。

 そして風の魔法を身体に宿し、そのままトップスピードで駆け出すのでした。




「「ヒェェェエエ!?」」


(無事で居て下さい、セシリアさん……!)


 私は全速力で、森を駆け抜けます。

 今の私は、スピード自慢のヘルタイガー(ルナミリア周辺に生息する虎型モンスター)より格段に早いはずです。


 地図で聞いた場所に近づくにつれて、



「あ、あれが……!」


 私は、恐ろしいモンスターを目にすることになりました。

 その風貌は、ひと言で言えば全長数十メートルはあろうかという巨大なムカデといったところでしょうか。

 独自の進化を遂げたのか、表面をどす黒い攻殻に覆われており、一筋縄では攻撃が通らなそうです。


 その巨大ムカデの正面には、



「セシリアさん!」

「フィアナさん、ですの!?」


 1人の少女を守るように立つセシリアさんの姿がありました。

 ところどころに怪我はありそうですが、思っていたより元気そうです。


(良かった、無事みたいです!)


 私が、エリンちゃんたちを下ろすと、



「ふぎゃっ、もう少し丁寧に運んで下さりません!?」

「目がまわる――」


 ポンと落とされたヘレナさんから、非難の声が上がります――申し訳なく思いつつも無視。

 今は緊急事態なのです。


「エリンちゃん、いつもの行ける?」

「はい、任せて下さい!」


 両手で杖を持ち、祈るように目を閉じるエリンちゃん。


 やがて空から神々しい光が降り注ぎ、セシリアさんに降り注ぎます。

 神の奇跡――すべてのステータスを底上げする支援魔法です。



 私は飛び上がり、セシリアさんの隣に降り立ちます。


「フィアナさん、どうしてここに!?」

「話は後。まずは、こいつをやっつけないと!」



 巨大ムカデとい睨み合い、私は戦闘態勢に入るのでした。

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