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フィアナ、新たな勝負に挑む!〜課外演習編〜

 それから数週間の時が経ちました。

 私たち特進クラスの面々は、スロベリア森という場所に来ています。


 目的は、スロベリア課外演習――クラス全員で泊まり込みの訓練を行う学校行事に参加するためです。


「わあ、美味しそうなお魚です!」


 今は課題を始める場所まで、クラス全体で移動中です。

 私は森の中を歩きながら、きょろきょろと辺りを見渡していました。


「可愛い、じゃなくて美味しそう! が先に来るんですわね――」

「花より団子、は私のモットーですから!」


 呆れ顔のセシリアさん。

 気分的には、楽しい遠足といったところでしょうか。

 嫌でも、テンションが上がってしまう私です。


「もう、フィアナちゃん。授業の目的、覚えてる?」

「授業の目的?」

「もう……、そういえばずっと寝てたね。特別遠征っていうのは――」


 エリンちゃんが、呆れた様子で説明してくれました。

 スロベニア課外演習とは、3日間、生徒だけで危険地帯で生存するというサバイバル訓練のことです。

 食事の確保、対モンスターの戦闘技術など、総合的なスキルを磨くための演習であるとのこと。


「過去には死人も出ている危険な演習なんです。気を引き締めないと――」


 周囲を見れば、何人かは緊張した面持ちで周囲の様子を観察しています。


(むむむ……、たしかに浮かれてばかりはいられませんね)


 それでも人生初の遠足イベントに浮ついた心は、そう簡単には戻らず、


「でも生きてさえいれば、エリンちゃんが治してくれますよね?」

「それは勿論です! でも、そうじゃなくて……!」


 恥ずかしそうにプリプリ怒るエリンちゃん。

 エリンちゃんに嗜められて、私は少しだけ気持ちを真面目モードに切り替えるのでした。




 数十分ほど歩き、ようやく開けた場所に出ました。

 引率、兼、責任者であるマティ先生が前に出て、演習の説明を始めます。


「それではここで解散。今回の演習の目的としては――」


 簡単に話をまとめると、ここで全体行動としては解散。


 課題の主目的は、まずは安全に3日間という時を過ごすこと。

 次いで、エリア内に散りばめられた8つのチェックポイントを通過すると加点。

 さらにモンスターの魔石を集めることで、ボーナス評価を加点していくというもの。


(ふむふむ、3日間生き残るだけで合格と)

(とはいえ高スコアを取ろうとしたら、チェックポイントや魔石集めまで頑張らないといけないと。面白いですね!)


「――それと、命の危機を感じたら黄色い閃光を打ち上げるように。そしたら我々、教師陣が助っ人として向かう。ちょっとした油断が、命の危険に直結する危険な演習だということを忘れずに――くれぐれも無茶だけはしないように!」


 マティさんは、そう説明を締めくくりました。




※※※


 説明も終わり、私とエリンちゃんが荷物の最終確認をしていると、


「フィアナさん、今回の演習の結果で勝負ですわ!」

「ふっふっふ、来ると思ってました。いいですね、返り討ちです!」


 セシリアさんがこちらにやって来て、そう宣戦布告してきます。


 私とセシリアさんの勝負は、もはや恒例行事――こんな楽しいイベントで、勝負事を申し込まれない方が落ち着かないというものです。


「あれ? そちらのチームのメンバーは?」

「えへへ、悩んだんですけど、冒険者活動で慣れたメンバーでチームを組もうかなと思いまして。今回は、私とエリンちゃんの2人組です!」

「たったの2人で、ワタクシたち5人を相手にするつもりですの?」


 セシリアさんは、不思議そうにパチクリと目を瞬きました。


 セシリアさんは、いつもの3人に加えて、新たなメンバーを2人加えた様子。

 もしかすると、5対2になってしまうことを心配しているのでしょうか。


「はい。下手に知らない人をメンバーに加えるより、最初から気心知れたメンバーだけで組んだ方が良いかなと思いまして。ね、エリンちゃん?」

「はい、支援と治療はお任せを!」


 にっこり微笑むエリンちゃん。

 今日も、頼もしい限りです。


「ふん、そこの平民たちはメンバーをまともに集めることすら出来ませんでしたのね」

「ちょっと魔法が上手くても、所詮は平民。身の程をわきまえることですわね」


 そんな言葉を投げかけてくるのは、セシリアチームの新メンバー2人。

 典型的な貴族のお嬢様といった感じの人たちであり、


(むむ……、随分と嫌味な人たちですね)


 セシリアさんと仲良くなった今だからこそ、余計にそう感じます。


「お黙りなさい、あなたたち。学内では身分差の垣根を取り払って平等――教育の理念にも書かれていることですわ。以後、ワタクシの前でそのような発言は許しませんわよ?」

「え? そんなのは、ただの建前で――」

「そうです。皆、そう思っているのは明らかでしょうに」

「だとしても、ですわ。ワタクシのチームに入るというのなら、そこは守っていただきますわ」


 セシリアさんは、ピシャリとそう言い放ちます。

 不服そうにしながらも、黙って引き下がる新メンバーの2人――セシリアさんには、たしかなチームリーダーとしての貫禄がありました。


「フィアナさん、恨まないで下さいまし。人脈作りも、これからの時代では必要なこと。ここからは実力勝負――全力で行かせてもらいますわ!」

「うん、いざ勝負!」


 エリンちゃんと私は、短時間で随分と連携が取れるようになってきたと思います。

 私としても、突貫工事の5人組に負けるつもりはありません。



「それでは、演習スタート!」


 マティさんがそう宣言。

 保存食と地図を受け取り、私たちは拠点を旅立つのでした。

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