決勝です
控室に帰ってきたは良いが、とくにやることもなく、大会運営が控室に用意してくれたお茶を啜って出番を待つ。
「次で最後かあ」
「あっという間、でしたね」
いやほんとだよ。
君達一切容赦しなかったもんね。
メリカを筆頭に、皆ここまで無傷の大勝利。
最後の俺が苦戦するのは格好悪いなあ。
頑張るか。
アースラ君の気持ちは分かるが、嫁達の前で、とくにメリカの前で醜態は晒したくない。
悪いとも思わん、勝たせてもらう。
「ステラの皆様、準備整いました。
会場にお越しください」
お茶を楽しみ、小説を数ページ読み終わった頃、係員さんが扉の向こうから声を掛けてくれたので、俺達は観客の待つ試合会場へと向かった。
会場に近付くにつれ観客の歓声が大きくなる。
ああ、まただ。
口角が釣り上がってしまいそうだ。
会場に姿を表した俺達を見てか、一層歓声が大きく上がった。
目立つのは嫌いじゃない。
嫌いなら今日この場にはいないだろうな。
「皆様長らくお待たせしました。
Aランク昇級を掛けた闘技大会。
いよいよ!決、勝!です!!」
アナウンサーさんも気合い入ってるなあ、流石はプロ、盛り上げ慣れている感がある。
「ステラからは遂に唯一の男性冒険者、セツナ選手の登場だ!
なんと彼、私が手に入れた情報によるとパーティメンバー全員と婚約しているそうです、羨ましいですねえ」
おいい!
余計な事言うんじゃないよ!
ああ、ブーイングが、一部歓声に混じってブーイングが聞こえる。
せっかくの決勝なのに、俺の時だけ……なぜなのか。
「ここまで圧倒的な戦力を見せてきたステラ!
決勝ではどんな戦いを見せてくれるのか!
まさか決勝も一人で勝ち抜いてしまうのか!?」
こんな時、どんな顔してれば良いのだろうか。
ドヤ顔しとくか。
「そして相対するは我等が王都のギルド本部から出場するパーティ!アルバ!
こちらも圧倒的な実力差で勝ち上がってきています!!
流石は本部で次期Aランクパーティと話題になっていただけはある!
泣いても笑っても次が最後の戦いだあ!!
この決勝見逃せません!!」
「セツナさん、頑張ってくださいね」
「主様、ご武運を」
「セツナ君ファイト!」
「アナタが負けるところなんて想像も出来ないけど、まあ頑張ってね」
「ハハハ、勝利の女神四人の激励とはありがたいね。
これで負けたら恥ずかしいし、決めてくるよ」
勝利の女神か、正確には5人いるな。
この現状をニヤニヤしながら見てるんだろうなあ女神様。
空を仰ぎ、位相を超えた先にいる女神様を見る。
いや、もちろん見えるわけは無いが、間違いなくあの女神様は俺を見ている筈だ。
今度会ったら礼を言わないとな。
今回の転生が1番楽しかったって。
それが何時になるかは分からんがね。
なにはともあれ今は、目の前でこっちを睨むアースラ君との戦いに集中するか。
「それでは決勝!第1試合い!!始めぇえ!!」
遂に決勝開始の銅鑼が鳴った。




