準決勝第1試合
準決勝進出ともなると試合の進行も早いものだ。
控室に帰ってきてしばらく待っていると、直ぐに係員が呼びに来た。
「後2勝でAランクですね」
「そうだねえ。
帰ったら皆で旅行にでも行こうか」
「良いねえ!行く行く!」
会場までの廊下も見慣れてしまった。
今度来るときは観客として訪れてみたいなあ。
「皆様、遂に準決勝です!!そしてこの準決勝!ステラからはなんと!グランベルクの大津波から王都を救った大英雄の御息女が出場!!
アルタの街代表!ステラ先鋒メリカ選手ぅう!」
「恥ずかしいですねこれ」
「ハハハ、手でも振ってあげるかい?」
「いえ、いいです」
「じゃあ見せてあげよう、英雄の娘じゃなくて、メリカの力を」
「はい!」
メリカは気合い充分といった様子だ。
インベントリからバスターソードを取り出し、引き摺りながら会場の中央に向かっていった。
バスターソードが引き摺られた後の地面にくっきり跡が残ってるけど重量どれくらいあるんだろうか。
そのバスターソードを軽く振り回し、地面に刺すと、メリカは柄に手を置いて、試合開始の合図を待っていた。
相手も同じく大剣使いだ、巨漢と言うに相応しい筋骨隆々の大男がフルプレートアーマー装備でメリカの前に立った。
「アンタが英雄の娘?随分小さいんだな、そんな体で戦えるのか?」
「見た目で判断してはいけませんよ、冒険者の鉄則です」
「違いねえ、じゃあまあ、1つ手合わせ願おうかね」
「それでは順決勝!第1試合!!始め!」
順決勝の銅鑼が鳴った。
駆け出した巨漢が肩越しに大剣を担いだ。
やや深い踏み込み、メリカが後ろに跳んだところで刃先は当たる距離だ。
しかしメリカはまだ動かない。
メリカが迫る刃に手を翳し、魔力を込めるのが見えた。
受け止めるつもりだ。
「貰ったあ!」
あげません。
メリカはまるでボールでも受け取るように迫る大剣を止めた。
「う、動かない?なんだ!なんで動かない!?」
大剣使いが狼狽えている。
メリカが大剣を止めた手に力を込めたのだろう。
メリカの手から大剣を引こうとするが大剣が動く様子はない。
まるでパウントマイムを見ているようだ。
その大剣をメリカの手から取り戻そうと必死の巨漢に対し、メリカはゆっくりと自分の大剣を地面から引き抜き、片手で振りかぶった。
巨漢は自分の置かれた状況を理解したか、兜の隙間から見える目から焦りの色が濃く見えた。
メリカが大剣を振り、大剣の腹でもって巨漢を打った。
大剣をメリカの手に残したまま吹き飛んだ巨漢の剣士は、そのまま壁に叩きつられ、頭を打ったか気を失ったようだ。
「やりました」
メリカは嬉しそうに笑っていた。




