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転生冒険者の異世界生活  作者: リズ


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建国祭へ

 翌朝、事前にヴィゼルから言われていた通りにコロシアムへと赴いた俺達。


 観客とは違う場所に設けられた、選手用の受付でギルドカードを提示し、控室に案内された俺達は呼ばれるまで待機となった。


 ちょっとした宿屋の一室よりは遥かに広く快適な控室だ。

 毎年参加パーティの中からAランクパーティが誕生することを考えれば、待遇が良いのは当然か。

 

 「Aランクパーティの選出に闘技大会が開かれるのは何故なのですか?」 

 

 スミレが暇を持て余したのか、ソファに座ってアルタの街で買った小説を読んでいる俺に聞いてきた。


 すまん、俺も知らない。


 「私の父が5年前の大津波で、王国周辺の凶悪な魔物を狩り尽くしたからですよ。

 そのせいというか、そのおかげというか、Bランク以上、Aランク未満の魔物が一掃されたので、昇級用のクエストが用意し辛くなったんです」


 5年前の大津波。

 水害のことではない。

 グランベルクの大津波。

 アルタの街で暮らして半年のうちに聞いた話だが、凶悪な魔物が数百体からなって大移動した結果、津波に見えたことから名付けられた事件の名称だ。

 

 一度自宅のバルコニーでメリカと夜酒を一緒にしていたときに話してくれた。


 アルタの街近郊の未発見ダンジョンから発生した氾濫に刺激された魔物達が、グランベルク目掛けて進行。


 これ自体がメリカの親父さんのパーティがアルタに行かせまいと奮戦した結界だったらしい。

 その誘導戦でヴィゼルが重症を負い一時撤退。


 だが、当初の予定とは大きく外れ、運悪く魔物の群れはグランベルクに向ってしまったそうだ。

 周辺の凶悪な魔物を引き連れて。


 そして山間部の谷に魔物を誘導しての迎撃作戦をメリカの両親は敢行。

 グランベルク軍と王都の冒険者が援軍に来るまで戦い続け、結局ほぼ全てを倒してしまった。

 

 しかしヴィゼルが傷を癒やし、援軍として二人の元に駆け付けた時には二人共、事切れていたそうだ。

 メリカの父は最後まで立って剣を構えていたらしい。

 たった二人で魔物の群れを一掃した。

 故にメリカの両親は英雄と呼ばれているのだ。


 会ってみたかったなあ。


 「メリカ様のお父様はお強かったのですね」


 「はい、良く学校が休みの時に会いに行っては襲い掛かってみましたが、結局一本も取る事が出来ませんでした」


 顔を伏せ悲しげに言っているが。

 メリカの悲しみは一本取れなかった事を悔しがっているのであって、両親の死を悼んでの物ではない。

 

 悲しく無いかと聞いたら「5年前の話ですから」と苦笑していた。

 冒険者という職業柄、覚悟もしていたそうで、立ち直るまでの時間も短かったようだ。


 芯が強いのだろう。


 しかし、愛娘に会うたび襲われるお義父さんちょっと可哀想。

 

 そうこうしているうちに「ステラの皆様、開会宣言が始まりますので――」と、係の人が呼びに来たので俺達は扉を開け、会場へと向かった。


 石の廊下にカツンカツンと足音が響く。

 まだ会場に到着してもいないが、遠くから歓声も聞こえる。


 建国祭が、闘技大会が始まるのだ。

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