鍛錬したり、クエストしたり
「身体強化スキル、これが」
「凄い凄い!体が軽いよ!」
魔力の感じ方を知っていたメリカはもとより、魔力の感じ方を覚えてからのユイリとスミレの成長も著しかった。
「身体強化、フィジカルブーストは使えて損は無い。
ただ、使用中は魔力を消費し続けるから、ここ一番って時に使うか、局所的に使用したりして臨機応変にな」
「各属性の魔法も使えるようになりますか?」
「それは鍛錬次第だね」
メリカはハーフエルフの上に竜人族の先祖返りだからなあ。
魔法の才能もあるだろうし、将来的には大剣と魔法を操る魔法剣士のような戦闘スタイルになるだろうな。
ユイリは魔法適性はさほど、といった感じだが、獣人族特有の俊敏性や腕力を補う魔法で優秀な物理アタッカーとして大成するだろう。
驚いたのはスミレの才能だ。
フィジカルブーストの体得もさることながら、剣に込めた魔力にすでに火属性の魔力を感じる。
居合い剣術と属性魔法を組み合わせた戦闘スタイルを確立したならば十二分に戦力足り得る。
「よし、じゃあ早速模擬戦をしようか。
スミレはまだ回復しきってないから、基礎鍛練しながらイメージトレーニングだな」
「分かりました主様、では少し離れます」
スミレが離れるのを待って、俺を挟むようにメリカとユイリが立ち位置を調整していく。
良い判断だ。
2体1の状況ならこれが1番正しい。
「よし、来い!」
「行きます!」
「行くよ!」
太陽が俺達の真上に昇るまで、休憩を挟みながら鍛錬は続いた。
覚えたてのフィジカルブーストを使って俺に攻撃を仕掛けてくる2人の攻撃を捌き、隙きを見つけては寸止めの拳を打ち込む。
「あ、当たらない、です」
「素手なのに、ハルバード受け止められるんだけど」
肩で息をする程にはバテたメリカとユイリの2人。
そんな2人を見て、スミレが目を丸くしていた。
「主様、強い」
スミレが腰に下げた剣の柄に掛けていた手に力を入れているのが見て取れる。
こちらを睨むギラギラ輝く瞳。
許可を出せば恐らくスミレもこちらに踏み込んでくるだろう。
でもそれは今ではない。
「スミレ、力を抜け、居合い剣術ってのは力んで使う技では無いだろう?
時間はまだある、焦るな」
「は、はい」
やはり見立ては正しかった。
侍だったからとか戦争を経験しているとかは関係無い。
スミレは俺やメリカ、ユイリと同じ種類の人種だ。
強い相手と見れば戦いたくなる戦闘狂の類だ。
「鍛錬はここまでにしてギルドに行こうか。
食事処で昼食を食べたらクエストを受けよう」
こうして朝の鍛錬を終えた俺達はギルドヘ向かった。
食事処での昼食も食べ終わり、しばらく休憩してクエストを探しに掲示板の前に立つ。
「スミレは見習いからCランクに上がるために魔物を討伐する必要があるから、二組に別れようか」
「組分けはどうしましょう」
「じゃんけんとか?」
結果一人負けした俺がスミレのクエストに付き合う事になった。
「ではセツナさん、スミレちゃんを頼みます」
「こっちは任せてよ!今日はグレートボアで豚カツだあ!」
猪は豚カツになり得るのだろうか。
「気を付けてねスミレ。
危なくなったら逃げるのよ?」
「ありがとうございますリリル様。
では行って参ります」
「じゃあ行ってくる、そっちは任せたよ」




