外泊します
腕の再生に比べれば火傷の治癒はたいしたことない。
炭化していれば話は別だが。
「よし、これで大丈夫だ。
右眼も見える筈だよ、包帯取ってみてくれるかな」
「は、はい主様」
手が震えている、つい先程まで無かった右手の動きがぎこちないな、リハビリ、回復治療が必要そうだ。
「セツナさん、ここは私が」
「そうだね、頼むよメリカ」
「あ、ありがとうございます奥様」
まだ結婚はしてないんだけど、まあ良いか。
メリカがスミレの顔に巻かれた包帯を外してくれた。
ふむ、火傷痕は見当たらないな、成功ですじゃ。
「鏡見るかい?」
水魔法で作った水鏡をスミレの前に発生させたが、やはり怖いのか、目をギュッと瞑っている。
そんなスミレを見兼ねてか、今度はユイリがスミレに抱き着いた。
「大丈夫だよスミレ、セツナ君を信じて。
今のスミレはとても可愛いよ?
火傷があったなんて分かんないよ?」
実際、俺も包帯の下を見たわけではないから、火傷痕があった時のスミレの顔は分からないわけで。
ユイリの言葉にゆっくりと目を開けるスミレだったが、水鏡に反射した自分の顔を見た瞬間、泣き崩れてしまった。
「見える、見えます。
右眼が治って……火傷も無くなって……ありがとうございます、ありがとうございます、主様」
両手で顔を覆って泣くスミレに寄り添うメリカとユイリ。
リリルは……まだ放心している、グロ苦手なのかな?
まさかなあ、討伐クエストとかで、もっとそういうの見てるだろうしなあ。
俺の魔法のせいか、魔法使いには刺激が強かったか?
すまんリリル。
「あの、セツナさん、こんな時にちょっと何なんですが」
「どうした?」
メリカがスミレを撫でながら言ってきたが、表情が暗いな。
何か問題があったか。
「スミレちゃんは今日どこで寝てもらいましょうか」
あ、あ〜。
あぁああ!
忘れてたわあ!
メリカの家はリビング、キッチン、寝室1つで本来ベッドも1人用。
いや、それなら。
「ユイリ、リリル、宿屋って部屋開いてる?」
「この街の宿屋って基本的に冒険者が私達みたいに間借りしてる事が多いから、難しいと思うなあ」
うーん、うまくいかんなあ。
「商業区の高い宿なら開いてると思うけど」
「ふむ、よし! 今日はスミレの歓迎会を兼ねて、そのお高い宿で外泊します!」
明日ギルドに行ってヴィゼルに大会出場を伝える必要もあるし、まだ金もある。
女性陣には親睦も深めてもらいたいからな。
そろそろいい加減、皆一緒に住めるように考えねば、この場所に家を建てるまでは借家を借りるかなあ。
「たまにはそれも良いわね、女4人ゆっくりお風呂で親睦を深めましょうか」
リリルは乗り気だ。
メリカもユイリも頷いている。
スミレが随分静かだが……寝てる!
泣き疲れたか、まあ仕方ないかもなあ、新しい主人に引き取られて無くなった腕と目が治って、火傷もなくなって。
短時間に色んな事が起こり過ぎれはこうもなるか。
「スミレは俺が抱えて行くよ、皆泊まりの準備しておいで」
「分かりました、すぐに戻って来ます」
「う〜、転移覚えたい」
「分かるわユイリ、歩いて宿に帰るのが億劫でしかないものね」
「あ~じゃあ、ちょっと待ってて、メリカが戻ってきたら転移で商業区に行って、まずはリリルとユイリの宿に行こう」
「ありがとうセツナ君」
「流石私達の旦那様ね」
うーん、ただの足だなこれ。




