ボス戦Ⅱ
リビングメイルの巨大な斬撃は石床をまるでバターの様に抉っていた。
しかし、連射は出来ないようだ。
リビングメイルは攻撃目標を最寄りのユイリちゃんに変更したのか、剣を脇に構え、駆け出した。
低級な霊が取り憑いたリビングメイルとは根本的に違うのは先程の一撃で身に染みた。
何が取り憑いているのか、いや取り憑いているのはこの鎧の持ち主だった女騎士なのだろう。
やや幅広のロングソードを巧みに操る姿は美しくさえ見える。
「防ぎ、きれない」
「ユイリさん!?」
ユイリちゃんの援護にメリカちゃんが向かうが、このリビングメイル、剣だけじゃない。
回し蹴りでメリカちゃんの胴を狙った。
メリカちゃんは大剣を盾代わりに防ぐが、力が強いのか、吹き飛ばされてしまう。
「生前はさぞ名のある騎士であったのだろうな」
出来れば生きている間に、立ち合ってみたかった。
俺はリリルちゃんのもとからリビングメイルとユイリちゃんの間に転移した。
上段からの一撃を形質変化させ硬質化した魔力を纏わせた腕で止め、弾く。
せっかくだ、ちょっと遊んでもらおう。
「フィジカルブースト」
身体強化のスキルを発動し、リビングメイルに連撃を仕掛けてみた、が。
「ほう、剣一本で防ぎきるかね」
「は、速くて援護に入れないよ」
楽しい。
大幅にステータスを制限しているとはいえ、まともに打ち合えるとは。
あちらさんの剣撃も速い。
振り下ろされたと思った刃が、瞬く間に切り上げられ、避けたと思えば首筋に刃が迫っていた。
「やるなあ!お嬢ちゃん!」
迫る刃を間一髪避け、零距離で魔力を乗せた寸勁を放つ。
人間相手に使えば内蔵破裂は必至、最悪拳が相手の身体を貫通する。
例え鎧を着ていようが結果は同じ、鎧ごと人体を破壊せしめる、そんな技だ。
しかし、コイツは後ろに跳んで衝撃を緩和した。
コレをBランクとは呼べない。
恐らくはこの階層までの敵は餌だ。
このリビングメイルは侵入者全員を養分にする為に、ダンジョンが配置した狩人。
その狩人が再び剣を大上段で構えた。
「撃たせるかよ」
リビングメイルに追いすがる為に、俺は走った。
振り下ろされる剣、発生する魔力による斬撃。
しかしその現象は刃より先から起こるものだ。
柄より下で止めれば。
「セツナさん!?」
「――っち!」
リビングメイルの膝蹴りが俺の腹部に当たった。
スゲえ、あの技を囮にしたのか。
……痛い。
口に血の味が広がってる。
「セツナ君!?」
ああ、心配させてしまった。
メリカちゃんとユイリちゃんがリビングメイルに攻撃を加えようと、走り寄ってくる。
だが、コイツは2人よりも格上だ。
左右から挟んで攻撃している筈なのに、攻撃している2人に傷が増えていく。
ああ、ここまでだ。
調査はこれくらいで良いだろう。




