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転生冒険者の異世界生活  作者: リズ


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食事処を使ってみる

 一時的にとはいえ、パーティーを組んでこのクエストが受けられるなら、俺はパーティーを組むのはやぶさかでもない。

 だが、メリカちゃんはどうだろうか。

 これまでソロで活動していたみたいだし、俺の一存だけでパーティーを組むわけにもいかない。


 「メリカちゃん、どうする?

 パーティー組んでみるかい?」


 「セツナさんが良いなら、私は構いません」


 おや、良いのか。

 何か理由とかこだわりがあると思っていたんだけどな。

 まあそういう事なら。


 「分かった、臨時パーティーのお誘いを受けるよ。

 ユイリちゃん、リリルちゃん」


 「やった! ありがとうございます!

 噂のスーパールーキーと、氷剣姫の二人とパーティーを組めるなんて運が良いなあ私達!」


 ユイリちゃんが尻尾をブンブン振り回している。

 素直な娘だ、こういう娘は好感が持てる。

 しかし、スーパールーキーはまあ俺の事だとして、氷剣姫ってのは?


 「氷剣姫ってメリカちゃんの事かい?」


 「あの、恥ずかしいのでその話は――」


 「そう、メリカちゃんの事だよ。

 メリカちゃんの表情を一切崩さないクールな態度から氷剣姫って皆呼んでるの」


 確かに、初めて会った時はそんな感じだったなあ。

 でも、俺の知ってるメリカちゃんは、表情豊かで優しくて面倒見が良くて甘えん坊な女の子なんだよなあ。

 ほら、今も顔真っ赤よ。


 「あの氷剣姫が照れてる。

 萌だわ」


 「やっぱり直接話してみないと分かんないもんだねえ、皆メリカちゃんの事誤解してるんだよ。

 こんなに可愛い反応するのにねえ」


 良い子だなあユイリちゃん。

 ……それにしても、リリルちゃん今、萌って言ったな。

 もしかして、この前叫んでたのは君か?


 「さっそくクエスト受けて来るね!」

 

 「じゃあ私は仮のパーティー統合を申請して来る」


 掲示板の前にメリカちゃんと俺を残して2人は行ってしまった。

 待ってても良いが、立ちっぱなしもなんだしなあ。


 「メリカちゃん、何か飲まない?」


 装備を買って残金は心許ないが、飲食に困る程ではないし、ちょっと喉も渇いた。

 ギルドの食事処の品揃えも気になる。


 「そうですね、何か飲みましょう」


 という事で食事処の空いている席に着いた。

 

 「いらっしゃいませ〜。

 ご注文お決まりですか?」


 初めてギルドに訪れた時に対応してくれたウエイトレスさんだった。

 

 「あ~、俺、林檎ジュース」


 「私は……えと、えと……苺オレ、お願いします」


 「はい、かしこまりました。

 林檎ジュースと苺オレですね。

 少々お待ち下さい。」


 飲み物が来るまでの短い時間。

 お互い向き合っているのに何故か話題に困る。

 聞きたいことがまとまっていないからか?

 この沈黙はむず痒いな。

 メリカちゃんも何か言いたいのか、視線が右に左に泳いでいた。


 「あっ、良かったこっちにいた!

 ごめんなさいメリカちゃん、パーティーの統合に、統合するパーティーメンバー同士の承認がいる事を忘れていたわ、どちらか受付まで来てくれる?」


 沈黙を破ったのは俺達のどちらかを呼びに来たリリルちゃんだった。

 こちらに向かって目配せするメリカちゃんに「いってらっしゃい」とだけ言って俺は宙を仰いだ。


 「やあセツナさん、席良いかな?」


 ボーっとしながらジュースを待っていたら聞き慣れた声が正面から聞こえた。

 

 「ヴィゼル。

 いや、ギルドマスターって呼んだほうが良いか?」


 「ヴィゼルで良いよ」


 「じゃあこっちもセツナって呼んでくれ」


 「ははは、了解したよ。

 ギルドマスターの事はメリカちゃんから聞いたのかな?」


 「ああ、メリカちゃんから聞いた」


 正直驚いている、話しかけられるまで気配を感じなかった。

 パッシブで発動している気配感知が作動しなかったのだ。


 「どう? メリカちゃんとはうまくいってるかい?」


 「まあ、その今……一緒に暮らしてる」


 「ほんとかい!? 良かったあ。

 いやあ、あの子の事は娘みたいに思っていたけど、人付き合いが苦手なのか、なかなか友達出来なくてね。

 心配してたんだけど、そうかあ遂にビビッと来たわけだ」


 ビビッと、なんかメリカちゃんからもその言葉聞いたな。

 

 「メリカちゃんのお母さんの――」


 「そうそう、あの子の母親が良く言ってたんだよ『男を選ぶならビビっときた相手にする事』ってね。

 思い出すなあ」


 「メリカちゃんの両親と同じパーティーだったって聞いたけど、メリカちゃんの両親はなんで――」


 「なんで死んだかかい?

 ……聞くかい?」


 その問いに俺は首を縦に振れなかった。

 彼女の両親の事は彼女の口から聞くべきだと思ったのだ。


 「うん、その方が良いかもね。

 いや、ごめんね。

 メリカちゃんの事は一時とはいえ娘に迎えた事もあるからね、たまにで良いから、君たち2人の話しを聞かせてくれよ。

 墓参りの時の土産話にするからさ」


 「わかった。

 でも根掘り葉掘り聞かないでくれよ?

 プライベートな事もあるからな」


 「はははは、分かったよセツナ。

 じゃあ僕はこれで、良い1日を」


 「ああ、良い1日を」

  

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