第53話「【タイマー】は、女を見つける」
「え?……棺って、棺桶? 嘘ッ」
レイナは背中越しにもわかるほど、ビクリと跳ねる。
「大丈夫。落ち着いて、いざとなったら『タイム』を使う。レイナも能力を使えるようにしていてね」
「うん!」
ダンジョン奥地で棺を発見。
いかにもなシュチュエーションに今更ながらルビンとレイナに緊張が走る。
恐らくも何も、ここはボス部屋だ。
そして、このシュチュエーション。
絶対、敵───このダンジョンのボスが眠っているはず。
空っぽだとか、
宝がギッシリなんて甘い考えは捨てたほうがいい。
伊達に元Sランクじゃなあない。
この手のダンジョンの経験もあるのだ、ルビンには。
だからわかる。
多分、中身はモンスターだろう。
棺とくれば、吸血鬼かキョンシーか、それともリッチか……。
「いずれにしてもやるしかない。レイナは危なくなったら通路まで逃げろ。俺のことは気にしなくていい」
「う、うん……? え、やだ! お兄さん、見捨てるなんてできないよ」
お、おう。
だけど、そう言う時は逃げてね。マジで……。
「わかったから、静かに。ハンドサインは覚えてる?」
「え? うん……」
ルビンはレイナとダンジョンに入る前に簡単な取り決めをしていた。
冒険者同士で使うハンドサインなどを軽くレクチャーしておいたのだ。
物覚えの良いレイナはすでに身に着けたようだが、こうした奇襲時にはそれが役立つ。
幸いにもボスが動き出す気配はない。
これは上手くすると、動き出す前に倒せるかもしれない……!
レイナにコッソリと指示を送る。
まずは、
「無言」
「ルビンが先行」
「レイナは援護」
「ナイフで仕留める」
それらをハンドサインで送ると、レイナはすぐに意図を理解してコクコクと頷く。
いい子だ……。
それを見届けたルビンはナイフを逆手に持ち替えると低い姿勢で棺に接近開始。
───なるべく棺から見えないよう、低く低く……。
───足音を立てないように、ゆっくりゆっくり……。
───溢れ出る殺気を、抑えて抑えて……。
そっと、棺に近づき、レイナに目でサインを送る。
彼女もそれに気付いてコクリと頷く。
未だ棺からは動きなし───…………これならいける!!
グワバッ!! と身を乗り出し、棺に縁に手をかけたルビン!
そして、逆手に構えたナイフを中のボスに────────────……え?
お…………。
「───女?」




