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目覚めたら7歳児でしたが、過酷な境遇なので改善したいと思います  作者: 瑞多美音
第1章

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15 目指せっ!脱!裸足生活!!


 次に目を向けたのは……大人も子どももほとんどのひとの足元が裸足だということだ。


 「ねぇねぇ、グウェンさん。たまにサンダルはいてるひといるけど、なんでか知ってる?」

 「あー、あれか……肉体労働者に限って、成果をもたらした場合に報奨としてサンダルがもらえることがあんだよ」

 「へぇ……」


 そうか、サンダルをはいているひとはかなりやり手のひとだということか……競争心を煽り、報酬を目の前に吊るすとは帝国め、やりおる。

 え?見張りですか?見張りたちは立派な革のブーツを履いてますよ。

 あの人たちの半分は自分のブーツを磨くことが趣味の人だと思ってる。いつ見ても艶々してるもの。きっとわたしたちが間違って触ろうものなら罰則ものだよ……ちっ。水虫になってしまえ!

 帝国の見張りたちは軍服を着ていて、腰に剣をぶら下げピカピカのブーツが基本装備って感じかな。

 見張り、見張りと言っているけど、多分軍人か兵士だと思う。

 見張りにはわたしが想像したローブに杖を持った魔法使いのようなひとはいないし、鉄の鎧や兜などを身につけた騎士っぽいひとも見たことない。


 魔石や魔力があるから魔法使いもいるのかと思ったけど、そういう人達は特別部隊なのか、見かけていないだけなのか……そもそも存在していないのかは情報不足でわからない。


 立派な軍服を着ているので布を作る技術はあるようだ。

 でも、奴隷たちに布を作らせてはいないみたいなので、それが機械で作られたものなのか魔法で作られているのかは知りようもないけど……もしかしたら鑑定の魔道具みたいに布を作る魔道具があったりして?そして、それを動かすには魔石が必要だったり?


 ただ、布に関して言えるのはわたしたちに渡されるものは質も一番悪いものだろうから論外だとしても……前世の布と比べると作りは少し荒い感じはするかな?見張りたちの軍服を盗み見した限りだけど。

 帝国は王がいるらしいので、貴族とか特権階級が存在するとしたら……もっと質のいい布や服もあるのかもね。



 「サンダルさえこの部屋の誰も履いたことはないだろうけどね……昔は私やマイケルも普通にブーツを履いていたものさ」

 「覚えとらんよ、そんなこと」

 「そうだろうね……」

 「ブーツを履くなんて想像もできねぇな」

 「そ、そうですね」

 「……サンダルさえ夢のまた夢ですものね」


 おばばさまはきっとそれが当然だった頃を覚えてるけど……他のみんなは今が当たり前だから……わたしだって前世ではスニーカーやサンダルを当たり前に履いてたのになぁ……

 前世より生きてる時間は短いのに足の裏は前世より確実にかたいし腕や足に生傷が絶えないんだよ?それだけ酷使してきたんだなぁ……



 ◇ ◇ ◇




 「よし、決めた!」

 「えっ?」

 「あ、なんでもない……」



 夜8時から9時までの自由時間……ほとんどのひとが体力回復に努めるようだが、わたしはこの時間に行っていた瞑想を一旦諦めて、わらじを編むことにした!

 

 衣食住のうち食は食べられる雑草がいくつか見つかったし、ポーション草もあるから……住むところは半壊してるけど一応ある!次に自分でなんとかできそうなのがそれかなって……

 一向に瞑想の成果がないため、行き詰まったというのも実はある。

 でも、みんなにサンダルは無理でもわらじのある生活が当たり前になってほしい。そう思った。そして、わたしが誰かの落とし物を踏みたくないというのも大きい……昨日、トイレの近くで踏みかけたんだよ。胆が冷えたわ……避けようとして後ろにずっこけたしね。


 衣服に関しては数ヵ月に1度、古着や布などがほんの少しだけ手に入るらしいが、死にかけグループにはまともな服はほとんど回ってこないのが現状だ。

 回ってきたとしても他の奴隷が着ていたぼろ布もどきの服かな……服なのか、ぼろ布なのか判断に困るものばかり……

 グウェンさんなんて「俺には片腕がねぇからな、袖付きなんていらねぇ」ってみんなに譲って腰巻きだけなんだよ。ほら、アニメや漫画にでてくるゴブリンいるでしょ?あんな格好を思い浮かべてもらえれば近いと思うよ。


 前世ではわらじ名人のじいちゃんに教わって作ったこともあるし、布わらじはスリッパがわりに使っていたほど……つまり、材料さえ揃えば編めるのだ!


 材料もい草に似た雑草があるからあれを使って作ってみようと思ってる。

 前の部屋なら布団の下に藁がひけたから草を探す必要もなかったのにな……


 たしか、い草は湿地にはえるって聞いたし、日本にしか生えてないとかなんかそういうやつだった気がするから……そこらに生えてるのは全く違うやつだと思うけど、過去にはお腹がすいてどうしようもないときガジガジしてお世話になった。恩人ならぬ恩草だ!

 あーあ、これが稲だったらお米食べれたのにって言う気持ちもあるけど、自由に火も使えないこの状況じゃ無意味だよね。


 おばばさまやグウェンさんはい草もどきを食べたことがないそうなので、念のため採取対象外だ。わさわさ生えているしちょうどいいや。


 あまりいいものを持っていると見張りに取り上げられることもあるみたいけど、森での採取のために蔓でかごを編んで持っているひともいるみたいだし大丈夫でしょう。

 帝国人はもっといいものを身に付けてるし、ノルマと食事のお祈りさえきちんとしておけば基本放置に近いし……取り上げられたらその時、考えることによう。



 ◇ ◇ ◇



 水汲みやトイレの度にフランカお姉ちゃんには主に食べられる草やポーション草の採取を任せ、わたしはい草もどきと食べられる草をせっせと集めることにした。


 案の定、フランカお姉ちゃんには不思議そうにされたけど……雑草の前例があるからかわたしのやりたいようにさせてくれた。ありがたや。


 まずは、い草もどきを……刃物とか持たせてもらえないので尖った石でギコギコ……流石にここで魔石を取り出す真似はしないさ。見張りの見つからない場所ならやったかもだけど……

 い草もどきは根っこが強くてわたしの力じゃなかなか引き抜けないんだよね。

 何本か集まったら適当に寄り合わせて紐状にし、腰に巻いてベルトがわりにする。そこに新た採取したい草もどきをひっかけていけばなんちゃってスカートだ。

 フラダンスしているひとの腰に巻かれたあれを思い浮かべてもらうと分かりやすいだろう。


 手が空くから仕事はこなせるし、い草もどきも乾燥させられるので一石二鳥だ。

 見張りも新手の防寒対策とでも思ったのか毎日増えていく腰の草を見てもなにも言われない。そういえば、確かにすこし暖かいような気もする。

 多分、見張りはわたしが熱病でおかしくなったと判断してると思う。ふふ……ならばその誤解を最大限利用しなくては。そうすれば取り上げられる可能性も低くなるかもしれないし。見張りのまえでは意味なく虚空を見つめてヘラっと笑っておく……これで誤解が深まるはずだ。え?ほかの大人の誤解も深まるって?まー、それは許容するしかないね。


 

 ノルマがあるからあまり時間はかけられないけどコツコツと集めていく……

 たくさん生えているので、なるべく枯れかけているものを選んで採取。

 多少は乾燥しているので手間がないかと思ったんだけど……まぁ、あんまり変わらなかった。すこし、しなっとしたので編みやすくはなったかもしれない。



 「よし、これくらいあればいけるはず!」


 目指すのはビーチサンダルのように鼻緒のみのすぐ脱げてしまう形ではなく、足首に巻き付けるタイプのわらじだ。



 い草もどきをよって長くして……両足の親指にひっかけて地道に編んでいく。手も小さいし力も入りづらいけど頑張る……

 たて糸に交互に編むようにい草もどきを通して、時々ギュッギュッと引き締めながら途中でひもを通す用の輪っかを作りつつ編み進める。

 途中でい草もどきを継ぎ足しつつ……自分の足の大きさまで編んだら、作っておいた輪っかに通して足首で結べば完成!


 「できたー」


 多少、不恰好でチクチクするし……左右で微妙にサイズが違うけど問題ない。裸足で石を踏むより全然いいって!これで落とし物もあんし……いや、大事にしたいからそれなら裸足の方がマシか?とか本末転倒なことを考えたり……

 

 幸いにもこの世界は月がふたつある上、天井が半分ないから明かりに困ることはなかった。これが以前の部屋なら完成にもっと時間がかかっただろう。


 ちなみに月は一方は白っぽい色で、もう一方が青っぽい色をしている。

 交互に満月になったり、新月になったりしているので真っ暗な日は天気の悪いときだけ……月や宇宙、重力とかに詳しくないしこの世界の月はそういうものだと思うことにしてる。

  

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