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(78) 燃料調達19

読者の皆様、お待たせ致しました。

第78話の始まりです。

『おっ!英二さんのお出ましだな』



やっと待ちわびた救出車両のエンジン音が耳に入ってきた事で、ホッと胸を撫で下ろす和馬の目には、英二が運転する白いピックアップトラックの姿がもう間近に映っていた。



『こいつは、また酷い有り様だな』



程無く到着し、目の前に現れたピックアップトラックの姿を目の当たりにした和馬が、驚いた表情で呟くのも無理は無かった。

何しろ、英二がお気に入りの愛車であるピックアップトラックのグリルガードは大きく曲がり、凹んだフロントフェンダーには、べっとりと血液が付着した状態となっているのだ。

急停止したトラックへと近づいた和馬が、大きく破損した箇所を覗き込む中、急に車の窓が開き、車内からは英二の声が聞こえて来る。



「和馬君、無事で良かった!さあ、乗って」



「助かった……。あっ!そうだ!ちょっと待って」



ピックアップトラックへと乗ろうとしていた和馬は、感染者によって奪い盗られたコルトM4が、まだ路上において残されたままの状態になっている事を思い出す。

一旦、ピックアップトラックから離れ、度重なる危機を共にくぐり抜けた、云わば相棒とも言うべき銃を路上から拾い上げた和馬は、スリングベルトを掴むと素早く肩へと掛け、再びトラックへと戻って来た。



「英二さん、お待たせ。さあ、行きましょう」



「おう!了解」



和馬が車へと乗り込んだ事を確認した英二は、ここで盛大にクラクションを鳴らし始める。

勿論、これは和馬のピックアップが無事に終了し、これよりこの場から撤収するという合図であり、今のクラクションを聞いた雄太もそれに答える形でクラクションを鳴らしつつ、アクセルを踏み込んでゆく。



「結局、今日1日だけで2回の感染者遭遇戦か。やっぱり今日は、とんだ厄日だったな」



ぐったりとした様子で助手席へと座った和馬は、すっかり疲れ切った眼差しでぼんやりと窓の外を見つめた。

そこには、傾き始めた日の光が薄汚れた放置車両を薄赤く照らしており、その周囲には未だ視力を失い、あても無くさ迷い続ける感染者達の姿があった。



「さあ、もうここに長居は無用だ」



新たに集まり始めた感染者達が発する叫び声が響き始めた、この場所から一刻も早く立ち去る為、英二はフロアシフトをギアチェンジしアクセルペダルを力強く踏み込む。

こうして、苦戦はしたものの何とか無事に目的の物を手に入れた2台のトラックは、凄惨な現場を後にし家路へと向けて走り始める。

そう……。

危険な外界から我が身を守るコンテナブロックによって囲まれた安全地帯へと向けて……。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

次回は、英二さんの家での話です。

久々に花菜さんも登場するかも?

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