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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
専門学校、職場体験編

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レイルレディー、久里浜美守の人生相談窓口

 咲月さんの反応が良くない。


 僕は何か、まずいことを言ってしまったようだ。


 鉄道について熱く語り過ぎちゃったかな。


 咲月さんは鉄オタじゃない。やっぱり、いくら彼女だからって、好きなことの話を遠慮なくしていいってわけじゃないのかな。


 それもそうかもとして、僕は視野が狭い。鉄道にしか興味がない。


 普段していることといえば、咲月さんとのデート、鉄ちゃん活動、あと鉄道専門学校での勉強や課題。


 僕の日常には、咲月さんと鉄道しかない。


 そう考えると、なんだか虚しい。


 恋人がいて趣味があるだけいいじゃないとプラスにも捉えられるけれど、誰よりその彼女が僕をつまらない人間だと思っている……。


 鎌倉デートから1週間、そんなことをずっと考えて、堂々巡りだ。


「ということで、現役レイルレディーの美守ちゃんに人生相談というわけか!」


「はい……」


 僕といっしょに鉄道会社を受験して、合格した久里浜さん。合格者の中では成績ビリという彼女だが、僕よりは高得点だったから入社できたには違いない。


 だから僕は、非番で茅ヶ崎に帰省中の久里浜さんに胸の内を打ち明けた。


 彼女と僕は性質が大きく異なるけれど、だからこそ何か得られると思い、茅ヶ崎の両者の実家近くにあるカフェ&バーに来てもらった。


 通り沿いのテラス席。ボタンぞ全部閉じた青いポロシャツにベージュのチノパンという質素な服装の僕と、オフショルダー、ミニスカートのおしゃれな久里浜さん。見方によっては援助交際ともとれる、なんとも不釣り合いな組み合わせだ。11月だというのに寒くないのだろうか。体感温度は19℃。


「話を整理するね。鯨の現状は……


・基本、鉄道と片瀬さんのことしか頭にない。


・鉄道会社に入りたいけど、鉄道が好きなだけじゃダメなんじゃないの? と片瀬さん。


・それを聞いた、察した鯨はいまの自分に危機感を抱いている。このままじゃ鉄道会社に入れない! 片瀬さんにフラれちゃう! もうおしまいだあああ!!


 というわけだ」


「そ、そうです、はい」


 他者の口から聞くと、僕はなんて絶望的な状況なのだろうと改めて実感した。


 このままでは僕、ほんとうにすべてを失ってしまう。


 お読みいただき誠にありがとうございます。


 更新遅くなり大変恐縮です。


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