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三十四話 二日目 神VS夜桜


「おいおいどうなってんだこりゃぁ!!!」


用を足して帰ってきた染島が驚愕する

幼い子供を渦巻く瘴気 近くに居る谷下も微動だにせずただ立ち尽くすカオスな状況


「何が起ってるんだ谷下さん!!」


「っ……」


染島は強風に負けじと足を前に伸ばし近づく

谷下の肩を掴んで揺すった時 初めて本人は意識を取り戻した


「染さん……」


「とりま逃げるぞ!!」


「……はい」


地面が盛り上がり 割れ目が生じる えりちゃんの身体は地中へと落ちていき

辺りの地盤があり得ないくらいに柔らかく変形し 少女の居た場所には大きな山が現れようとしている


「どうなってんだよ!! 天変地異かぁ?!!」 


焦る染島とは別に谷下は何も発することはなかった

次第に自分達が走っている地にも変化が訪れ 平地が急な下り坂へと変化する

何もかも急で何処に逃げれば良いのか迷走していると 坂は崖となり二人は落下する形で滑り降りていく


「クソッ……!!」


「キャァァァァァ!!!!」


手を離さない染島は谷下を自分のもとへ引き寄せる

解決にはならないが遠くから迫ってくるヘッドライトがこの行いを救うことになった


「大丈夫かお前ら!!?」


「夜桜ナイス!!!!」


夜桜が自前の軽トラを引っ張って来たのだった

荷台に落とされた二人はそのまま盛り上がった巍然ぎぜんたる現れし大地の化身を目の当たりにする


「動いては…… 無いのか?」


「そのようですね……」


しかし不可思議な影響は聳え立つ巨人を象った山とは別に襲いかかってくる

周りの木々が共鳴するかのように動き始めた


「これヤバいんじゃないか?」


「クッ!! しっかり捕まってろ!! 森を抜ける!!」


アクセルを踏むなり車体は傾きを見せる


「おいおいまさか……」


獣道のカーブ際を速度を緩める事なく軽トラは切り抜けた


「ドリフト仕様かよ……」


「当たり前田のクラースジャガー……!!」


ほくそ笑む夜桜はしつこく襲ってくる木々ののしかかりに嫌気が差したのか

助手席に座らせていた手榴弾のほとんどを窓から放り投げた



「「 ウソでしょ…… 」」



爆風は少なからず谷下達にも響く

荷台に伏せようともその衝撃は初見には堪える代物だった


「怖い怖い怖い怖い怖い!!! もうちょっと派手さを薄めろ夜桜!!」


「躊躇したお前は今死んだ…… おののくな!! ここは既に戦場だぞ!!」


「なんつった?!! おのののか?!!!」


状況が戦況なだけに辺りのうるさい音で会話が成立していない二人

夜桜は口よりも身体を動かすことに優先している為 既に次の武器が用意されていた


「おいそれって……」


「おう!! 世界最強の散弾銃〝AA12ダブルアンペル・トゥエルノ

最大32発のドラムマガジンが使えてフルセミ切り替え可能

反動も軽いのは高評価に値する さらに改造で火力も倍増」


その威力やたるや広範囲の襲ってくる木々を纏めて吹き飛ばした

最も驚くべきなのは端から見ても凄まじい衝撃を 夜桜は一寸たりとも反動を受けずに撃った事だ


「すごい……」


「あぁ…… だが問題は……」


荷台から見上げる二人の目には微かに動きを見せる巨人の姿が


「おとぎ話に出てくる緑の魔神シルバニアロットンって事でいいのか?」


「だけどその割には規模が小さいですよね?」


「いやいやあれ位なら家の二三軒は建てられるぞ?

それかもしくは夜桜ん家が祀ってきた神とかか?」



「まぁウチは代々〝南野雪花神ミナミノユキガミ〟って牡丹卍を中心とした島神を崇拝してきてはいたが……

親父からイヤイヤ教え込まれた神への奉仕の一通り 祭儀や社務はサボったつもり無いんだがな……」



点検と装填に集中している夜桜は上っ面に答える


「銃なんか持ってるから神に背徳心でも疑われたんじゃねぇのかぁ?!!」


「まぁ俺は生まれた時から神も幽霊も見えねぇし 信ずるは己の腕だけだったからなぁ!!!」



「「 なんでアンタ神主やってんだよ!!!! 」」



ツッコミを入れる間際に地響きが辺りに震撼する

夜桜がサイドミラーで後ろの巨人を確認した瞬間だった



「ウォォォォォォォォォォ!!!!」



ノロいと思われた巨人は這いつくばる形で猛突進してきており

離れたと思わせて その距離を急激に縮めてきた


「あの巨体でなんで速く動けんだよ!!」


「逃げて下さい夜桜さん!!」



「立ち向かう事も出来ねぇが…… このまま街へ連れて行ったところで甚大な被害は目に見えている」



舌打ち混じりに小型の操作盤パネルを取り出す

しかし動作の順序は既に右手に携えている円筒状のスイッチを押すところから始まる

巨人を中心に広範囲に渡る大爆発が引き起こされた


「「 なんじゃありゃぁ~~~~!!!! 」」


「C4爆薬 対象の動きを封じた」


双眼鏡の様な形をした操作盤で巨人を覗いている夜桜は後ろに目が付いているかのように

ハンドルを固定し 何の迷いも無くターゲットから目を離さない


「夜桜さん前!! 前見て下さい!!!」


「ここら一帯は俺の庭みたいなもんだ…… (土地の所有権は限られているが)」


染島は夜桜が使っている ボタンが至る所に設置してある双眼鏡に触れる


「ただ観察する奴でも無さそうだな」


空軍劣勢時特殊編制法ストライクパッケージに用いられる

攻勢対航空作戦など 航空優勢未確保の地域で空爆を行う為に開発された

ミサイルを目標の座標へと誘導させる〝レーザー照射装置〟だ」


赤いボタン一つで神社を突き破り 天高く打ち上げられたミサイルは軌道を計算して大きく旋回する

操舵する夜桜の持つ双眼鏡からレーザー信号が発されて

検知したミサイルは内蔵された誘導システムに従い 巨人は自分目掛けて襲ってくる鉄の塊に被爆した



「ノジャァァァァァァァァァ!!!!!!!」



崩れ落ちる山は元ある様に存在が消え

土煙が消える頃には静寂と勝利を称える蛙の鳴き声を取り戻していた




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