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地球、遂に大型アプデ実装!  作者: 時雨煮雨
第一章 日常の崩壊
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エピローグ



 雨が降っている。

 

 雨は赤く染まった地面を洗い流すかのように強く、地面を叩いている。


 そんな中、俺は瓦礫が高く積まれた場所に一人。佇んでいた。

 周りには赤く染まったコンクリートと、ゴブリンたちの死体がゴロゴロと転がっている。


 あれから、俺はゴブリンの群れと戦いながら生存者を探した。

 けれども、誰一人と見つからない。


 左手にずっと握っていた髪のゴムを掌を開いて眺める。

 これを持っていたゴブリンはすぐに倒した。


 だが肝心の梨花さんはどこにもいない。


 このゴムを見ていると、『先輩!』と梨花さんが俺を呼ぶ声が記憶の中から掘り出されていく。


 梨花さんに、「行ってきます」言い忘れたな……。


 ここを離れて1日も経っていないのに、もう随分と昔のことのように思えてしまう。


『だって、先輩は私の……私だけのヒーローじゃないですか』


 不意に、梨花さんの言葉を思い出した。


 あの時、梨花さんは落ち込んでいる俺を助けてくれた。

 ビンタもくれた。


 そして……

『大丈夫ですよ、先輩。私は……私だけは先輩の味方であり続けますから……例えこの世界の全ての人から非難されても、私は先輩からずっと離れませんから』


 その言葉ほど、俺を元気にしてくれた言葉はない。

 俺はその言葉で、完全に立ち直ったし『刃物恐怖症』にも頑張って打ち勝てた。

 

 そのおかげで、今の俺がいる。


 

 だが、俺を『ヒーロー』と言ってくれた梨花さんは、もういない。


 折角、強くなった。

 

 梨花さんを守れるだけの力をつけた。


 それなのに……俺は、梨花さんを守れなかった。



 左手に持った髪ゴムを握りしめ、それと同時に右手に持ったナイフもミシリと小さく音を立てる。

 そんな中、俺は雨が降りしきる空を見上げ呟いた。


「なぁ梨花……俺はこれから……どうしたらいいんだ?」


 守りたいと思った人を、守れなかった。

 強くなる理由も、なくなった。


 俺は、この先何を目指して生きていけばいいというんだ?


 だがその呟きは、血塗られたアスファルトを叩く強い雨音によって消し去られた。


第一章これで終わりです!

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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《報告》現在、カクヨムで行われている「カクヨムWEB小説コンテスト」に当作品を応募しております!

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