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地球、遂に大型アプデ実装!  作者: 時雨煮雨
第一章 日常の崩壊
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第24話 巨塔、それは──


 今野さん達が帰ってきた。

 遠目ではよく見えないが、人数は六人。みんなそれぞれ何かを持っている。

 今野さんが校門の前で警備をしていた人に話しかける。

 どうやら、校門前の惨状について気になったみたいだった。


 俺も行ってみるか。

 屋上から校舎の中に入り階段を下る。

 すれ違う人が何人かいたが、ほとんど俺を見てコソコソ話をする。

 正直、気分がいいものではない。


 一階に下り、玄関から外に出る。

 今野さんはまだ話しており、近づいてみると今野さん達全員が持っていたのがリュックくらい大きな肉だと言うことに気がついた。


「お疲れ様です」


「おぉ、冬哉じゃないか! お前ずいぶん活躍したみたいだな!」


 そういって無造作に頭を撫でてくる。

 もう俺が活躍しいたことを聞いたのか。早いな。

 それよりも、頭を撫でるのはいいけどもう少し優しくしてほしい。首が痛い。


「いえ、偶々相手が弱かっただけですよ……それよりも、その持っている肉はなんですか?」


 相手が弱い……と言うのは嘘。最後に戦ったホブゴブリンは、とても強かった。

 正直、勝てたのは奇跡だと思っている。


「そうかそうか、それならよかった! んでこの肉のことだが……冬哉、お前もちょっと会議室にこい」


「え? はあ……」


 今野さんは俺にそう言って校舎の中に入っていく。

 会議室であの肉について教えてくれるのだろうか?


 正直、あの肉は俺の知っている豚肉とか牛肉とかではない。

 いや、豚肉とかでもあのリュック並みの大きさのやつをどこから取ってきたのか聞きたいけれど……。

 でも、今野さん達が持っていたのはそのほかの獣の肉。

 それも、かなり大きな。

 小学生くらいの大きさだろうか。


 とりあえず、着いていくか。


 校舎の中に入り、靴を履いたまま二階に上がる。

 玄関の目の前にある階段を登ると、すぐに職員室がある。

 会議室は、その隣だ。


 会議室に着いて中に入ると、会議室は中央と四隅だけにランタンが置かれ、真ん中のランタンを囲むように今野さんと今帰ってきた人たちが座っている。


「お、来たか冬哉。好きなところに座っていいぞ」


 今野さんの言う通り、俺は今入ってきた入り口近くに座る。

 どうやら、人が集まるのを待っているらしい。

 そういえば、今日あの巨塔に行ったらしいけどあの肉は巨塔で手に入れたのかな?







「さて……人が集まったことだし、今日行ってきたあの塔について報告を始めよう」


 三十分くらいして、会議室にあった椅子が全部埋まった。

 集まった人たちの顔を見ると、その大半が今日一緒に戦った人たちだと言うことがわかった。

 あ、俺の反対方向の端っこにシュウがいる……って、こっちに手振ってきたし。


「あの塔に行った俺の率直な感想は『あり得ない』だった……あの塔は、ゲームとかファンタジー好きな者はその存在をしっていると思うが、『ダンジョン』という感じだった。あの塔の中に入ってみたが、入口は巨大で縦は大体十メートル、横は六メートルくらいの扉だった」


 そう言いながら、今野さんはあらかじめ用意していたノートパソコンをいじり、そこからモニターに映す。

 その電気は太陽光で充電できるモバイルバッテリーを使っているらしい。


 モニターに映された画像には大きな扉が映されている。

 その横には、今野さんが立っておりその扉と比較するにはあまりにも大きさが違いすぎた。


 扉は見る限り閉まっており、その扉には無数の彫刻が施されており、この写真だけではよくわからない。

 実際に行ってみないと調べようもないだろう。


「この写真の扉は閉まっているが、俺たちが扉に手を触れた時に勝手に開いた。この扉は俺たちが帰る時も開いていたから閉まるかは分からない」


 実際このサイズの扉を開こうとすれば結構な人数がいる。

 これが両開きならいいが、片側にしか開かなかったら引く時に開けれないだろう。

 まず掴む場所がないから引け無さそうだけど。


「それで、俺たちは中に入った……中に入ったんだが、これをみてくれ」


 そう言って出したのは草原の写真。見るかぎりなんの変哲もない草原だ。

 丘があったり、奥に林があったり……うん、草原。

 だけどなんでこんなものを?


「大半の人はこう思っただろう。『なんでいきなり草原の画像を?』とな……一つ言おう。これはあの塔の中……扉をくぐり、長い廊下を抜けた先の光景だ」


 これが塔の中?

 明らかにこれは外だ。

 空には太陽があり、雲もある。これが室内だなんて信じようがない。


「この草原は、なぜかは分からないが太陽がしっかりあって暖かかったし、風もあった。そして、空に浮かんでいる雲も動いていた……だけどな、廊下から後ろ側には行けなかったんだ」


 もう一つの画像が映し出される。

 映し出されたのは先ほどとあまり変わらない草原。

 ただ一つ決定的な違いを挙げるとすれば……ポツリと草原に穴の空いた大きな岩があるということだろう。

 その岩の大きさは先ほどの扉以上で、開いている穴が扉と同じ長方形の形をしている。


 これが外にへと出る廊下なのだろう。

 そして、この後ろには行けないと。


「このエリアを俺たちは探索した……探索といっても、この大きな岩が見える範囲でだ。それで探索した結果は、このエリアには多分二種類のモンスターしか存在しないということ。それで、そのモンスターはこの二体だ」


 二枚の画像が映される。

 その画像には、二匹のウサギが映し出されている。

 片方は俺たちが見慣れている普通のウサギ。

 もう一方は、そのウサギに一本の角が生えている。


「これを一時間で俺たちが行った人数分六匹を狩った。モンスターを殺して出てきたのは帰ってくるときに担いでいた肉だな……それと魔石」


 なるほど、このモンスターを狩って肉を手に入れたのか。

 ということはあの肉はウサギ肉。俺は食べたことがないが、どんな味なんだろうか……。


「それで、だ……俺たちは明日小学校に行ってこようと思う」


 それでなんで小学校? ダンジョンと何か関係があるのだろうか?


「情報によると、小学校にも結構な人数が避難しているらしい……それで、どちらも食料が不足中だ。そこで、避難所もここから草原にしようと思ってな……それを明日小学校の方のリーダーに相談しに行ってみようと思ってる」


 避難所をここから草原か……。

 話を聞く限り、出現するモンスターはウサギ二種類。

 そして、そいつらを倒すと肉が手に入る……うん、こんないつモンスターに襲われてもおかしくない場所に避難するよりはコッチの方が安全だろう。


 明日も俺は多分今日と同じ警備……あれ? 俺今日一度も警備した記憶がない……明日、今日の分も頑張らないと。


「そんで、行くメンバーなんだが……今日俺と行った五人はここで休暇だ。休暇といっても、ここの警備を手伝ってくれ……そんで、抜けた五人の穴を────残り一人に冬哉。お前もこい」


「……え? あ、わかりました」


 考え事をしていると、俺の名前が呼ばれた。どうやら俺も明日行かないといけないらしい。

 まさか、俺が選ばれるとは……。

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