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#82 のほほんとしつつ

ちょっと今回の章では、少々のほほん雰囲気に微妙なシリアスを加える予定でもある。

まぁ、基本的にのんびりだけどね。シリアスも長続きできないし…‥‥したいのにできないとはこれいかに

SIDEシアン


 先日の戦争でのごたごたもあり、本日は魔法屋の仕事を休み、しっかりと休息をとることにした。


【でも、本音は?】

「今日は猛暑決定だから、家の中で休みたいんだよね」


 季節的には真夏の様な状態らしく、もう間もなくすれば涼しくなって再び過ごしやすい陽気になるらしいのだが、今日はそんな気配すらも微塵も感じさせないほど、容赦ない日差しが外を襲っていた。


 こういう日にこそ、植物が光合成をガンガンやるのかと思いきや、その植物代表とも言えるようなドーラはちゃっかりと家の中に入っていた。


‥‥‥ワゼの立てた屋敷のような家でもあるわけで、一応空調がしっかりとしているので、特に暑くはない。


 けれども、その植物が入り込んで涼んでいるのはどうなのだろうか…‥‥まぁ、別に良いか。思いっきり自然とは切り離された状態に見えなくもないが、大丈夫であろう。


 考えてみたら、ハクロも元は野生何だし、この暑さに慣れていそうなものだが…‥‥快適さを知ると、人はこうも堕落するのだろうか?いや、彼女達はモンスターであったか。ドーラは何なのか、まだ不明だけどね。




 何にしても、この暑さは外に出る気を失わせる。


プールもある事はあるが、この容赦ない日光の前には無意味であろう。‥‥‥作った意味ないな。


 というか、先日のヌルダニアン王国軍が責めてきた時に、この天候であれば撃退せずとも勝手に自滅していったのではなかろうか?いや、言い過ぎかもしれないが…‥‥



「ご主人様、室内の空調は効いていますが、こちらをどうゾ」


 と、そこでワゼが出してきたのは、山盛りのかき氷。


 何処から氷を調達したのかと尋ねれば、ミニワゼシスターズの一体、ゼクスが魔法を扱えるようにしていたので、ゆっくりと丁寧に製氷し、作成したのだとか。


「おお、空調が効いている室内でも、この景色を見て食べれば最高かも!ところで、このかけてあるシロップは?」

「ドーラさん提供の蜜を少々改良し、味を変えたものデス。試作品として27種類ありましたが、そのうちの1つ『ストベリー味』、『ナウイヤン味』などを使用しまシタ」


 ちょっと聞き覚えの無い味名だが、ワゼの作ったものだし、はずれはないだろう。かき氷のシロップって、元は同じで香料とかを変えただけとも聞くし、大体似たようなものなのかもしれない。



 試しに一つ食べて見たところ、口の中でじんわりと優しい甘みと酸味が広がり、冷たい氷との相性がいい。なんというか、これはグレープフルーツに似ているような、メロンも混ざっているような‥‥‥まあ、美味しいから別に良いか。


「おいしいけれども、こういう味をドーラからの蜜でよく出せるよね?」

「色々と改良すれば、変わりましたからネ。ハクロさんから提供される毒薬を精製し、別のものにする作業に比べればかなり楽デス」

【しゃくしゃくっと食べれますよ!!】


 室内は快適だが、外の様子を見ると暑そうで、それを見ながら食べるとさらにおいしく感じられる。


 だがしかし、かき氷にはある罠があるのだ。


【はぐわっ!?】


 突然、しゃくしゃくとかき氷を食っていたハクロの動きが止まった。



「あー、来ちゃったか。それだけの勢いで食べたら、そりゃそうなるよね‥‥‥」

【あううううっ!!キーンってきました!!】


 頭を押さえ、ぶるぶると震えるハクロ。


 かき氷って、急いで一気に食べてしまうと、軽い頭痛を引き起こすのである。


 だからこそ、ゆっくりと味わって食べるのがいいのだが…‥‥


「よしよし、痛いの飛んでけ~」

【うううっ】


 よしよしと、気休め程度にハクロの頭をなで、痛みを抑える手伝いをする。


 流石にこればかりは魔法でもどうにもならず、自然に収まるのを待つしかないだろう。


‥‥‥しかし、かがんでもらって撫でているが、こうして触ると彼女の髪って結構サラサラだ。


 感触的に人に似ているけれども、これでも一応モンスターなんだよねぇ…‥‥



「…‥‥よく今まで、ハクロって野生で生きていたよね」

【え?何ですか突然?】


 たまにこうやってマヌケのような事をやらかす彼女が、弱肉強食の自然界を生き抜いていたことに、改めて感心したのである。


 あ、でも元は群れで生活していたと言うし、ギリギリ大丈夫だったのだろうか?


 何にしても、出合って数カ月は経過しているけれども、彼女の事を僕はまだ知らないことが多い。


 まぁ、これから先知っていけば良いか‥‥‥‥しかし、なんでこう、ふとハクロの事を考えちゃったのかな?




 とりあえずは、ずっと家の中に閉じこもるわけにもいかないので、真面目に灼熱の真夏の地獄を乗り切る方法を検討してみようと考え始めるのであった。


「ねぇ、ワゼ。馬車にもこの家と同じような事ができないかな?」

「一応、既に冷房設備は設置済みデス」

「え?もう?」

「ですが、肝心の牽引するポチの方にはなく、どうやって動かすべきか検討中デス」

【神獣が暑さにやられるってことは無さそうですけれどね…‥‥一応、種族的には格上なのですし、大丈夫じゃないですかね?】


‥‥‥種族的には、確かにハクロよりも格上なのかもしてない。けれども、その発言からなんとなく、彼女の中でポチだけは非常に低い扱いをされているような気がする。まぁ、同意はするけどね。


「あ、でもポチの子供たちの方が心配かも」


 子フェンリルたちの方が、今日の猛暑に耐えられるのか少々不安である。


 一応、ポチを介してロイヤルさんにもお世話になっているわけだし、ご近所同士のような関係上、何か対策を送った方が良いかも。


 ひとまずは、でかい氷の塊を魔法で作り出し、ミニワゼたちにポチ一家への冷房代わりのプレゼントとして送り届けてもらうのであった。




――――――――――――――――――――――――

SIDE???


‥‥‥その頃、シアンたちがいる森へ向かって、飛行している存在があった。



【‥‥‥何故、グラタン様は今さらながらあのハルディアの森へ、調べに行けと言ったのだろうか】


 その疑問をつぶやきつつ、その存在はゆったりと森へ向けて飛ぶのみである。


 何が目的なのか今一つわからないが、その存在がグラタン…‥‥ヨルムンガンドから受けた命令は一つ。



【ハルディアの森へ調査に行け?】

【ああ、そうや。あっしの友人のフェンリルが言っていたことだが、どうもあの森へある存在が出てきたようでな……まぁ、勝手に他の神獣の縄張りに入るのもあれやし、適当にたまのあいさつ回りという事にでもしてごまかせ】

【いや、ごまかせと言われても…‥‥そもそも、そのある存在とは一体何でしょうか?】

【うーむ、確定したわけではないそうだが‥‥‥‥実はな…‥‥】


 かくかくしかじかと話された内容を聞いて、その存在は驚愕で目を見開く。


【はい?‥‥‥いやいやいや、その調査に出るのであれば、わたしよりも適任がいると思いますが‥‥】

【いや、お前が今回の事で一番の適任だろう。我が右腕とも言えるからな】

【グラタン様に手ってありましたっけ?】

【違う、そういう意味じゃない‥‥‥‥】


 何にしても、命令を受けたのであれば、従うのみ。


 グラタンことヨルムンガンドは、その存在よりもはるかに格上であり、無理やり脅すような真似はしないとはいえ、逆らって勝てる相手でもない。


 とにもかくにも、その調査とやらへ向かうのであった‥‥‥‥


何やら接近する謎の存在。

どうやらヨルムンガンドの配下のようだが…‥‥

何にしても、接触までもう少しであった。

次回に続く!!


‥‥‥ポチ、最近出番無いからそろそろ出す予定。でもロイヤルの方が印象が良いからなぁ…‥‥どうしよう、ポチの出番削ってロイヤルの方にするか?

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