#80 この時運命は決まっていたのデス
腹緩くなって、少々撃沈。
一応、もう収まったとはいえなぜこういう時があるのか…‥‥まぁ、原因ははっきりしているが、それでもたまにやらかしちゃうんだよなぁ‥‥‥
SIDEシアン
‥‥‥フィーアを見送ってから数日後、第2王女ミスティアと共に、都市アルバスへ帰還してきた。
どうやら無事に話はまとまったらしく、今回の件に関して言えば、このミニワゼシスターズによるヌルダニアン王国軍の撃退は問題が無く、むしろ功績の方で表彰を行いたいらしい。
「けれども、そうはいかないのですわ」
「うかつに知られると、色々と不味いからか‥‥‥」
都市アルバスへの進行を食い止めたという事に関して、国の立場としては表彰はしたい。
けれども、非常に面倒事というか、ミニワゼたちの事も同時に国内外に発信するようなことでもあり、現状その詳細を知られるのは不味いのだとか。
ヌルダニアン王国軍も、今回は撃退したが、再び襲ってこないとも限らないし、情勢が落ち着くまでは、そのあたりの判断を下せないらしい。
国内の方で、ヌルダニアン側と通じた者がいる可能性が否定できないというらしいからね…‥‥略奪行為の情報などからして、何処かで簡単に軍勢を通した可能性もあるそうだ。
「とは言え、そちらのミニワゼシスターズがいなければ、この都市が陥落していたという事もあり、表立って表彰はできないが、褒賞を隠れて渡すことぐらいならできるらしいわ」
何もないというのも、それはそれで問題であるがゆえに、今回国王が下した決断として、シアンたちに対して国の防衛活動を認め、報奨金を後日配送するらしい。
‥‥‥けれども、それだけでそう簡単に事が運ぶわけではない。
何しろ、現状国をも相手できる戦力をシアンが保持した状態のままであり、反旗を翻される恐怖は残っているらしい。
「まぁ、貴方が国に害をなすようには思えないわ。けれども、そそのかすような馬鹿共が出てしまう可能性を恐れているのよ」
「ああ‥‥‥まあ、わかるかな」
【人間社会の複雑さというか、欲深い人がいるせいですね】
「面倒くさい事もありますネ」
シアン自身に、これから何を為そうかという事はない。
しかし、その戦力を狙う輩がどこからか湧き出るのは確実であろう。
「そのため、国王陛下が下された判断として、二つ」
「二つ?」
「まず一つ目に、国となにかしらの交渉時に、わたくしが貴方の方へ向かい、交渉を担当するのですわ。見ず知らずのものに任せるよりも、国のために働き、今回の件で接触し、話し合いをしたことにより、適任とされたのですわ」
まぁ、確かに何かあった際に、交渉する場に見ず知らずの人が出るよりも、ミスティアの方が安心できるであろう。
以前の馬鹿貴族のような輩がいないとも限らないし、有事の際の交渉には知り合いの方が良い。
「そして二つ目には‥‥‥少々、この件で新たな面倒ごとが予測されまして、ミニワゼのフィーアさん、もしくは他のミニワゼ、新たなミニワゼでも良いですので、わたくしに1体譲ってもらい、護衛をしてもらうと言う事なのですわ」
「護衛?でも、確か護衛の人達はいましたよね?」
「それがですね…‥‥」
…‥‥ミスティア王女は王位継承権が低いとはいえ、それでも王族であることは間違いない。
そのため、王族としての価値もあるので、悪しき者たちに狙われないように護衛達がいるのである。
とは言え、国王自身が愛娘だと思っていても、王位継承権を考えると高い者の方に強い護衛が行きやすく、結果として、強さとしては弱くはないけれどもものすごく強いわけでもない中途半端な護衛達があてがわれてしまうのである。
護衛達の方も根は真面目であり、真剣に忠誠を誓ってはいるものの、以前の盗賊たちに全滅しかけたように、いささか実力不足。
まぁ、それでも何とか助かる当たり、ミスティア王女の悪運は強い方であろう。
だがしかし、今回の事でシアンとの交渉役を担う事になったが、そもそも彼女がワゼの話を聞いて、都市を守るために動かなかったらこのつながりも、都市防衛もなしえなかったことになる。
「ゆえに、どうもわたくしの王位継承権自体が変動しかけているようで…‥‥」
「‥‥ああ、それで邪魔者とも考える輩が出てしまうのか」
王位継承権は今、この国の王子たちの方にあり、国王の子息である王子、王女たち全員仲が悪いわけでもなく、王位継承権順であればそれに従っていいと考えてはいるらしい。
良く言えば、仲が良いので王位継承権争いは起きず、血生臭い事にはならない。
悪く言えば、仲が良すぎるので少々シスコン・ブラコンになるか、王位の押し付け合いとなっているらしい。
王妃や側室たちも、我が子が王位を受けつげば良いとは思うが、互に争うような事はなく、むしろ国王陛下が何かやらかしたら団結して鞭やアイアンメイデンなどでしばく仲らしい。
‥‥‥今さらっと、王家内のヒエラルキーが見えたような気がしたが、話を戻す。
何にしても、兄弟姉妹、正妃側室とで争う気は全くなく、時折国王が家族からしばかれる程度の仲の良さがあるのだが、そうはやすやすと納得してくれないのが、全員を取り巻くそれぞれの貴族家である。
何しろ、王位にその家族の子が付いてもらえれば、実質的に国内での地位も向上し、発言権などが増える。
ある程度の待遇の改善などもあるので、狙う者たちだっているのだ。
そして、そういった者たちの中で過激な者たちだと…‥‥
「命を狙い、王位継承権をあるモノを間引こうとするか‥‥‥」
「ええ、そうなのですわ」
珍しいというか、王家内での争いではなく、その外部での争いに王家の者たちが巻き込まれるような状況である。
そして今回、ミスティアはシアンとの交渉役に任じられたが、シアンの持つミニワゼたちの実力も高く、手に入れられたら国としてもより力を増せるはずだ。
そしてそういった過激な馬鹿の中には、ミスティアを王位につけようとする者などもいるが、面倒なのは王位につけないように邪魔する輩たち。
盗賊、不慮の事故、暗殺者などを持ってきて、仕向けてくる可能性がある。
ゆえに、ミニワゼシスターズの1体だけでも護衛に付けてほしいという事であった。
「別にいいかもしれないが‥‥‥他の王子・王女に関しては?」
「こちらはこちらで、色々とできるそうですわ。ただ、わたくしが狙われやすくなるというだけですの」
王子たちへの脅威は元からだが、今ここにミスティアまでさらされると手が回らない。
そこで、せめてもの事の発端原因でもあるシアンたちに、ミニワゼを提供してほしいという事になったそうだ。
正直な話し、僕らにはさほど障りのない王家の裏事情のような話ではあったが、巻き込まッれうのは勘弁である。
けれども、知り合いになった彼女を見捨てるような真似も後味が悪い。
「それじゃあ…‥‥そうだな、フィーアを引き続き貴女の方へ付けておけばいいかな?またミニワゼを作るとそれはそれで面倒だしね」
「ええ、そうしてくださるのが一番ありがたいですわね…‥‥ミニワゼも可愛いし」
ちょっと本音が聞こえたような気もしなくはないが、とりあえず引き続きフィーアをミスティアの側に置くことにした。
僕らとしては、ワゼの手伝いもするフィーアがいなくなるが、さほど困るような事は特にない。
しかし、一応定期点検なども必要なので、細かい注意事項をワゼに述べてもらいつつ、ひとまずは周辺の安全などを確保するのであった…‥‥
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SIDEワゼ
「‥‥‥ふむ」
フィーアがミスティアの護衛となり、手元を一時的に離脱したことで、ワゼは少し考える。
この件に関し、王家の裏事情に巻き込まれかけているのがそもそもの原因であろう。
別に誰が王になっても、ワゼとしてはご主人様がシアンのままであることに変わりないので、興味はなかった。
けれども、その争いに巻き込まれ、シアンに災いが降りかかるのは避けたい。
「‥‥‥そうですね、少々メイドの本分とは外れますが、解決に一役買っておいたほうが良さそうデス」
フィーアを除くミニワゼたちを招集し、ワゼたちは少し話し合う。
「では、裏ギルドの方にも協力を要請したほうが良さそうですかネ?」
「ツー、ツツツ」
「ファー」
「ああ、そう言えばヌルダニアン王国とやらもまだ完全に静まっていませんね…‥‥そこはあのHWGなどという組織を利用するのも良いでしょウ」
「セー」
「エ?既に浸食中?‥‥‥あ、これ私たちが手を出さなくても勝手にどうにかなりますネ。‥‥‥ハクロさんのファンクラブでもあるHWG恐るベシ」
「シーシシ」
「なら、それで行きましょウ。ご主人様にも気が付かれないように、主に深夜に動くとして、メイドとして、安全を確保するために動くのデス」
互いに意見を出し合い、まとまったところでそれぞれの仕事のために一時解散をする。
‥‥‥この時点で、王位継承権争いに関わる過激派などと言われる者たちの命運は、既に終わっていたも同然であった。
フィーアがミスティア王女の護衛となり、一時的にシアンたちとは離脱。
けれども、ミニワゼなのでいざというときには駆けつけられる。
何にしても、面倒ごとがまだまだ降りかかりそう……来たら潰していった方が良いかな?
次回に続く!!
‥‥‥考えてみたら、この時点で過激派のような者たちは終わっているな。裏ギルド利用がワゼがいるからしにくくなるし、フィーアに王女が守られてもいるし、下手に動けばあっという間に情報収集されて不正などもばらされるだろうし…‥‥あれ?詰んでいるなこれ。まぁ、それでも馬鹿が動くだろうし、そういう者に対応すればいいか。




