#75 組み立てるのデス
本日2話目なのデス
ゆえに、前の話を見ないと分からないこともあるので、注意してください。
‥‥‥蟻、消え失せた。あれって結局、どこから来ていたんだろうか…‥‥
SIDEシアン
ヌルダニアン王国軍が予想では明日到達となった今日、第2王女ミスティアとその護衛達は、約束通りミニワゼシスターズを作製するのに、必要な材料を集めて来たようであった。
「これが、約束の材料全てですわ」
「‥‥‥ええ、確かに全部ありマス」
出された材料の山を見て、ワゼがそう口にする。
とりあえず、彼女から材料を得たので、いよいよミニワゼシスターズの制作に取り掛かることにした。
いまから森にある家に帰って作業もできるが、ヌルダニアン王国軍が予定より早く来る可能性も考えると、そう往復している余裕はなさげである。
その為、僕らは都市内で避難住民が多いがゆえにガラガラになった宿の一室を借りて、作業を行うことにした。
「ですが、ご主人様と言えども作業工程は見せられまセン。というよりも、通常の人間であればちょっと危ない工程もあるので、安全を考えてこちらで待機してくだサイ」
そういうと、ワゼはその部屋に材料の山と、助手としてミニワゼたちを入れて、扉を閉めたのであった。
【…‥危ない工程って何でしょうかね?】
「さぁ?」
ハクロと顔を見合わせ、首を傾げつつも、ワゼならば可能なので深く考える必要性もないだろう。
何にしても、後は新たなミニワゼたちが完成するのを待つだけだ。
「一応、わたくしたちの方は先に都市住民の避難誘導をいたしますわ。王族ゆえに先に避難した方が良いとも言われる可能性もありますが、それでも万が一に備えて一人でも多く助けておきたいのです」
ミスティアたちはどうやら万が一に備えて、住民の避難の手助けを行うらしい。
王族と言えば、彼女の言うように先に避難すべき対象なのかもしれないが、率先して人の手助けとはな‥‥‥やっぱりこの人、根がかなり良い人なのかもしれない。
「それなら、僕らも手伝うよ」
【ミニワゼたちの製作はワゼさんの作業ですし、手助けいたしますよ】
「ありがとう。それじゃ、今からやりましょうか」
ワゼの作業の終了まで間に合うのかは分からないが、とりあえず王女の手伝いを僕らは行うのであった…‥‥
―――――――――――――――――――――――――
SIDEヌルダニアン王国軍
‥‥‥都市アルバスから離れた平原にて、一時的な休憩としてヌルダニアン王国軍は陣地をはっていた。
そんな中で、奥の方に張られたテント内には、ヌルダニアン王国の聖女がいた。
「では、明日には都市アルバスへ到達するのね?」
「ええ、間違いないでしょう」
聖女に対して、軍の司令官はそう報告する。
ゆく先々で略奪行為で楽しみ、明日にはいよいよボラーン王国の都市の一つに侵攻できるのだ。
噂によれば、何やら美女がいるということもあり、蹂躙しつくす中でさらに味わえそうだと司令官は舌なめずりを隠し切れなかった。
「ふふふ、では順調に進みましょう。さぁ、聖女である私がついているのですから、負傷者が出ようが瞬く間に治し、死をも恐れぬように、進めるようにしなさい」
「はっ!!」
聖女からの言葉受け、敬礼し、返答する軍司令官。
「‥‥‥ああ、それとついでに、今夜の相手は貴方に頼むわね」
「ご存分に、ご相手いたします!!」
聖女の言葉を受け、高ぶりつつ、明日の侵攻での詳しい計画を確認しなおすために、司令官は一度そのテントを出て行った。
「‥‥ふふふふふふふふふ、男ってバカばかりねぇ」
司令官が出て行った後、聖女はニヤァっと醜悪な笑みを浮かべる。
ここまでの進軍があっさりとできていることに、内心驚きつつも、この調子であれば楽が出来そうだと思えたのである。
怪我人が出ても、聖女としての力を使えば治療し、再び戦場へ向かわせることが出来る。
興奮させて士気を高めるために己の身体も使えるし、ここまで万全であれば、都市どころかさらにこの今宣戦布告している国すらも楽に堕とせるであろうと聖女は考える。
笑いが止まらないような状況に、彼女は他の兵士たちも呼び寄せ、夜までの間の暇つぶしを行うのであった。
…‥‥だがしかし、翌日、その楽勝ムードが一気にひっくり返る事を聖女は知らない。
いや、もはや色欲、強欲などに溺れた聖女は聖女と言えるのだろうか‥‥‥‥もはや、その魂は業にまみれ、腐り切っているとも言えるだろう…‥‥
そしてついでに、他者から収穫の時を狙われていることすらも、彼女は知らないのであった‥‥‥
悪しき野望ほど、案外あっさり潰れたりもする。
とは言え、いつ潰れるのか分からないほうが良いのかもしれない。
むしろ、相手が悪すぎたという理由で納得できる方が、まだマシなのかも…‥‥?
次回に続く!
‥‥‥次回予告というか、蹂躙劇の時間になりそう。
普通の人間の兵士がどう対応できるのか、考えるだけでも絶望しかないような‥‥‥




