表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/459

#71 ヌルダニアン王国の現状デス

‥‥‥蟻共、どうにかならないかなぁ?

どうやって侵入しているのか非常に気になるところである。

いっその事、この嫌さを晴らすべくモンスターとして登場させるべきか否か…‥‥

SIDEヌルダニアン王国


「ふふふふ、簡単じゃないの…‥‥ふふふふふふ」


 ヌルダニアン王国、王城内にて彼女……この国が召喚した聖女と呼ばれる者は、不気味な笑い声を上げながら一人そうつぶやいた。


‥‥彼女は本来、前の世界にて裁判で負け、護送されていた時の事故によってあの世へ逝っていたはずなのだが、偶然にも命を落としそうなその瞬間に、この世界へ召喚されたのである。


 しかも、召喚によるオマケなのか、本能的に自身に何やら癒す魔法があることに気が付き、わずか0.1秒で怪我を一瞬にして修復したのだ。


 そして今、このヌルダニアン王国の聖女として国賓扱いのような待遇を受け、人生の絶頂の中にいるのであった。


 当初、このヌルダニアン王国は聖女を意のままに動かし、利用しようと企んではいたのだが、聖女の方が一枚上手だったようで、逆に手玉に取られ、現在聖女の意のままにされてしまった。



 容姿も特に美しいわけでもなく、むしろ中身が最低最悪最凶の聖女なのだが…‥‥一体何をどうしてか、

国王、王子、宰相、騎士団長、魔導士長、国会の男性議員、近所のおっさん、その他諸々、国中の男性という男性が聖女の虜にされたと言って良いだろう。


 逆に、聖女に対してこの国女性たちは、むしろ敵対心を抱いていたのだが、聖女によって心が囚われた男たちは意にも介さず、その女性たちを次々と国外へ追い出してしまった。


 また、王族からも王妃や王女もいたのだが、彼女達も追いだし、その座を聖女は乗っ取ってしまった。


 結果として、現在ヌルダニアン王国の男女比は99:1という状態となり、もはや男だらけの国。



 そして、そうなれば当然聖女はその状態を楽しむのだが‥‥‥馬鹿でも流石にこの状況は不味いと分かっていた。


 この状態では、年を経ていく毎に子供たちも生まれず、女性もいないので増えず、いつか滅亡あるのみ。


 とは言え、聖女としては男性たちを自分の虜にしたく、他の女性を招き入れる様な真似はしたくはない。


 何しろ、召喚される前の世界では不倫しまくり、実は夫以上に相手が多かったのだから……



 そこで、聖女は考えた。


 国を考えるのであれば女性たちを呼び戻し、なんとか子供を作ってくれればいい。


 だがしかし、自身の男性たちを彼女達に渡すの嫌だという強欲がある。


 ならば…‥‥もっと違う選択を、そう、別の場所で自分の者ではない人間を使えばいいのではないだろうかと?



 元々、このヌルダニアン王国はボラーン王国という国に戦争を仕掛けようと準備してあったので、彼女はそれを利用することにした。


 侵略なのは間違いない。ただ、国土を広げたいというヌルダニアン王国の目的とは異なり、聖女が考えたのは、大規模な略奪行為であった。


 無いのであれば、奪えばいい。ただ物資を略奪するのではなく、他国の子供たちを攫い、厳選し、この国で育てれば良いと考えたのだ。


 ただ、そういった略奪行為の場合、末端まで管理がいかないと、肝心の自国の男性たちが色々と他のとやらかすだろうが…‥‥それはもう、仕方がない事だと嫌々割り切る。


 とにもかくにも、聖女はその戦争予定を利用して、ヌルダニアン王国からボラーン王国へ宣戦布告をかけさせた。


 聖女の魔性の魅力によってかかった国民(男性)たちは雄たけびを上げ、成果を上げることを約束する。


 ある意味、これも聖女としての力なのか全体の士気は高まり、まずは手始めにボラーン王国の持つ領内のとある都市、ダーツで適当に決めた都市アルバスへ向けて、兵を進軍させることにしたのであった。



…‥‥もちろん、戦場での兵力を失うわけにもいかないので、皆を癒すためと自身の性欲を満たすために、聖女自身も身の回りをガチガチに固め、安全を確保した状態で、共に進軍することにしたのであった。


 それはある意味、聖女として友軍の士気を高めたり、治療行為を行うという仕事であれば間違ってもいないのだが…‥‥やはり、その性根が腐っているせいか、間違っているような雰囲気も漂わせるのであった。





―――――――――――――――――――――――――――

SIDEシアン



「っと、ではこれにて依頼達成を確認いたしました。達成報酬をどうぞ」

「はい、受け取ります」


 ヌルダニアン王国から軍が侵攻し始めたその頃、シアンは都市アルバスの魔法ギルドにて、依頼達成報酬を受け取っていた。




「今日もそれなりに稼げたけど、その分疲れたなぁ」


 達成報酬をワゼにしまってもらいつつ、帰路に就くために停留所へ僕らは向かう。


【ええ、まさか畑の拡張の手伝いのはずが、マンドラゴラとかいうものが大量発生して、危く死にかけましたからね‥‥‥】


――――――――

『マンドラゴラ』

モンスターのような植物のような、あやふやな定義をもつ物体。

様々な薬の材料となり、効能を高めたりするなど重宝することが多く、それなりの高額で取引される。

ただ、地面に埋まっているのだが、抜く際に非常に甲高い奇声を発し、まともに聞けば死に至るほどではないにしろ、かなりのダメージを心身共に受けてしまう。

とは言え対処方法はきちんとあり、耳栓をすればノーダメージで収穫が出来る。

―――――――――


 魔法で土壌を改良しつつ、畑の拡張をという依頼であったはずなのだが、どういう訳か拡張予定の場所にマンドラゴラが大量発生していたのだ。


 これはめったにない事らしく、何かしらの事が起きる前触れともされ、しかも最悪な事に大量発生してしまうと埋まっているかどうかの目印となる地面から生える葉っぱが消失し、掘り起こしてしまう危険性があったのだ。



‥‥‥1個出た時点で、強烈な奇声が生じ、ハクロがひっくり返って気絶し、僕自身も倒れそうになり、ミニワゼシスターズが慌ててスコップを持ちだして埋め直した。


 いや本当に、あの奇声強烈すぎる…‥‥黒板やガラスに爪を立てて引っかいたり、発泡スチロール同士をこすりあわせたり、色々と地味だけど嫌になる音をこれでもかと圧縮したようなものだった。


 何にしても、ワゼがすぐに土壌内を探知し、大量発生していることが分かった後から、気絶から覚めたハクロが糸で耳栓を作り、聞こえない状況で黙々と作業できたのであった。


 とはいえ、もう二度とマンドラゴラの奇声は聞きたくない‥‥‥‥同じような植物でも、ドーラとは全く違うからなぁ。






 何にしても、薬の材料になるという事でワゼがポケットの中に一つだけ収納し、いつも通りのポチ牽引の馬車で僕らが帰宅している最中であった。


【フハハハハ!!全力で駆け抜けるのは気持ちがいいぞぉぉぉ!!】

「‥‥意外というか、まだ戻ってないよねポチ」

【むしろ、威厳を保つのであればこちらの方が良いと思いますけれどね】


 ワゼがギアを調整し、ポチの駆け抜ける速度を調整しつつ、進んでいた……その時である。



「ン?」

「どうした、ワゼ」

「‥‥‥珍しくというか、この辺りでは絶滅危惧されていた盗賊たちのようデス。何か、馬車を襲ってマス」


 ここ最近は本当に見かける事が無かった盗賊たち。


 どうやら進行方向にある馬車へ襲撃をかけているようだが…‥‥まぁ、見てしまったものはしょうがない。


「久し振りに、盗賊退治を頼むぞワゼ。あとミニワゼシスターズもね」

「了解デス」

「ツー!」

「スー!」

「フー!」


 哀れというか、運の悪い盗賊たちもいたものである。


 前まではワゼ時たま僕らだけだったのに、今回はミニワゼシスターズも加わっているからなぁ‥‥‥一応、やり過ぎないように注意をしてもらいつつ、盗賊退治へ向かうのであった。



 

かなり久し振りの盗賊退治。

とは言え、オーバーキルの可能性が高いので、しばし手を抜かねばならない。

生かさねば賞金ももらえないだろうし、なかなか難しい‥‥‥あれ?結構ワゼに毒されてきてないか?

次回に続く!


‥‥‥と言うか、この聖女って意外にも浅はかとは言え考えているな。自身の利用価値をフルに生かし‥‥‥でも、こうなる可能性も考えていたらまず要らぬ手間だっただろうしなぁ‥‥‥なんだこの聖女、何がしたいんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ