#52　知らぬところで話はあるのデス

SIDEハクロファンクラブ……正式名称『HWG(Hakuro(ハクロ) watch(見守る) and(そして) Guardian(守護者となる)(aは都合で抜けた))』

……深夜、都市アルバスにて、ハクロファンクラブもとい、正式名称として『HWG(Hakuro(ハクロ) watch(見守る) and(そして) Guardian(守護者となる)(aは都合で抜けた))』となり、組織として確立した中でも、幹部に当たる者たちが集まっていた。

「‥‥‥では、間違いないのだな？」

「ああ、どうやらギルドの方で、ギルド長自らが指名依頼として決めたそうだ」

「正確に言えば、あのお方の主が向かうそうだが、使い魔として登録されているので、自動的に共にこのボラーン王国の首都へ向かうらしい」

　その言葉を聞き、その場に集まったHWGの幹部たちは考えこむ。

「ああ、首都にて我々と似たような者たちができる可能性が0ではないだろう」

「だがしかし、我々とは違い、害をなすような者たちも居るのが首都なのだ」

「危険性を考えると、我々としてもどうにかしたいが、最近ようやく組織として成り立ったばかりなので、そこまで力があるわけではない」

　この都市アルバスでは、既にHWGの者たちが多数存在するので、安全の確保は可能である。

　だがしかし、未だに根を張っていない、未知の場所ではすぐに対応できるわけではないのだ。

「ああ、下手すると本格的な馬鹿が出る可能性があるからな…‥‥首都と言うのは魔窟とも言う噂がある」

「だが、どうすればいいのだろうか？」

「…‥‥先行派遣し、あらかじめ下地を作れればよかったが‥‥‥時間はない」

「となると、やはり陰ながら見守るしかないというのだろうか？」

「あの主の方を看る限り、おそらくは大丈夫かもしれないが…‥‥念のため、各自のつながりのある権力を利用した方が良いかもな」

　その意見に、全員が肯定を示す。

「だが、むしろそうする必要はないかもしれない」

「我々のような者たちが出る可能性が0ではないからな‥‥‥いや、しかし色々と捻じ曲がる可能性もある」

「何にせよ、可能な限り手を尽くそう」

　そう意見が一致し、解散するのであった‥‥‥‥

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SIDEシアン

…‥‥ボラーン王国の首都にあるギルドへ、力を見せて色々と根性を叩き直すというような指名依頼。

　とりあえず、ギルド側の都合もあるので出発は2日でかつ、ギルドから出される馬車に乗っていくので、ポチ馬車は都市アルバスで一旦置き去りである。

　まぁ、ある程度の予定日数は決まっているので、その予定日になるまでは森に帰ってもらうようにしたのだが…‥‥

【‥‥‥いや、今回は都市アルバスの停留所の方で待たせてもらおう】

「え？何で？」

【いやまぁ、実はな‥‥‥ちょっとばかりそのアンデッドの影響が出たようで……】

　ポチいわく、先日の都市アルバスに出たアンデッド騒動は、神獣たちの方でも噂になっているそうで、ポチの妻フェンリルことロイヤルさんの祖父の耳にも入ったらしい。

　このようなことはできるだけ内容にする予定で、なおかつこの森ではそんなことにならないようにポチたちが管理しているのだが、心配性らしいその祖父が森に滞在しに来るそうである。

【色々と厳しくて……本当にきついんだ…‥‥】

　尻尾を垂れ、物凄く辛そうな声で言うポチ。

　そう言えば以前、根性を鍛え直されたとかいう話もあったが‥‥‥‥どんな祖父なのか、ちょっと気になる。

　

(でも、その行動はその行動なりに問題がありそうだよね)

(ありそうというのではなく、ほぼ確実にあると思いますよ)

　心配な家族を置いて、離れた場所にとどまるポチ…‥‥あ、これ祖父の立場だとかなり心象悪いような。

(情報によれば、祖父の方はかなり厳格らしいデス。確実と言うよりも、もはや確定された死の未来が見える様な気がしマス)

(ワゼ、それ気のせいじゃないと思う)

(ああ、私よりも格上の方々のはずなのに、ポチだけなんというか…‥‥)

　こそこそと僕らは話すも、あえてその可能性をポチには告げないのであった。

　と言うか、ハクロが遠い目になっている…‥‥モンスターと神獣にどのような違いがあるのかはさておき、格上の存在のはずの奴が、どう見ても情けなさすぎるんだろうな…‥‥

　何にせよ、避けられぬ未来と言うか、暗雲はポチの方に立ち込めていそうである。

　僕らができるとすれば、ポチが何とか命があるようにと願うぐらいしかないのであった。

【あ、でもそういう事ですと、帰ってきた時にその祖父の方がいるということになりますよね？】

「そう言われると、そうだよな」

【となると、顔合わせする可能性もありますよ。何かお土産とかでも買った方が良いのでしょうかね？】

「まぁ、フェンリル一家には色々と世話に(ポチを犠牲に)なっているからね。そうするか」

「おすすめはおそらく肉ですカネ？」

…‥‥とはいえ、この時の僕らは知らなかった。

　ポチの不幸はそれなりだが、僕らの方にも面倒事がある事を。

　とりあえず今は、準備を進めるだけである‥‥‥‥