#405 ひと息ついてのティータイムもいいものデス
新しい章開始。
今回からは、少々はっちゃけます
SIDEシアン
‥‥‥ミスティアの兄たちの結婚式も終わり、月日が流れて雪が降る季節になりそうな今日この頃。
ちょっとずつ気温も下がって、寒くなり、布団から出るのもおっくうになりがちではあるが‥‥‥
【ぴゃーーーーーい!!燃えるぞファイヤァァァ!!】
「「いぇーい!!」」
「‥‥‥本当に燃えているんだよなぁ」
【一見危険ですけれども、危険じゃない火というのも不思議ですよね】
娘の一人、ノルンが物理的に炎上して興奮して駆け回り、その温かさを求めて他の娘たちも一緒に王城の中庭内を駆け回る。
火事になりそうなものだが、ノルンはどうやってか炎を自由に操り、他に引火しないようにしているようである。
「ファイアボルト・プリンセス・アルケニーという種族だけあって、火の扱いを本能的に理解しているのでしょウ。種族によって固有の能力などは、再現できない類もありますし、ご主人様の娘であれば不思議でもないのかもしれまセン」
【それもそうですよね。シアンとの子供ですし、シアン並みの無茶苦茶さを持っていてもおかしくないですよ】
「そうですわよねぇ。この夫にしてあの子ありですし、疑問に思うだけ無駄ですわ」
「‥‥‥何だろう、このなんとも言えない感じは」
ずずっとお茶を飲みつつ、娘たちの遊びまわる光景を眺めてそうつぶやく。
まぁ、産まれた娘たちの種族が無茶苦茶なのも分かるが…‥‥流石にそれ全部、僕のせいだとは思いたくはない。
産んだハクロもアラクネというには色々言えることがあるだろうし…‥‥夫婦そろってなんも言えないような気がする。うん、この話題はやめておこう。
【きゅぁぁあ!!】
【ぷわぁぁぁ!!】
「みー!さぁ、まだまだとぶよー!!」
っと、空を見上げれば、最少年齢のラニスとレナが、オルトリンデの足に糸を付けて宙を舞っていた。
ちょっと落ちそうではらはらしそうなものだが、シスターズが既に周囲に待機しており、万が一の落下に対応できるようにしているし、そもそもオルトリンデが妹たちを落とさないように加減しての加速などをやっているようだ。
「そう言えばワゼ、あの子たちの種族って結局何になるんだ?」
「んー、新種の類ですからね…‥‥色々とデータを取ってますが、まだ議論中デス。片方は従来のというか、本来のアラクネに近い容姿ですが、性格が思いっきり冷徹さともかけ離れてますし、結果が出るには数年ほどかかるでしょウ」
ラニスとレナの種族は、どうも新種の類のようで、ワゼの方では今その議論が行われているらしいが‥‥‥未だに決まっていないようだ。
まぁ、彼女も万能という訳でもないし、そもそも種族を決めるのは様々なところがあるようで、そこら辺での議論が白熱していたりしていて、新種の名称が決まるまで時間がかかるらしい。
というか、それ以外に発覚している娘たちの種族に関しても、本当は恐ろしく貴重らしいからな‥‥‥なんでそんな子が僕の子供たちになるのだろうか。ミスティアとの子であるラクスとレイアは今のところ人間だが…‥‥
「そちらはそちらで、観察中デス。魔力量がちょっと多いぐらいですが、ご主人様のお子様ですので、油断できませんけれどもネ」
「そう考えると、末恐ろしくも思いますわ‥‥‥」
‥‥‥うん、普通に元気な子として育ってほしい。
なんか途中で人間を辞めるような真似とかはして欲しくないというか、そんなことがあってほしくないが‥‥‥どうなるのかもわからないからなぁ。
子供たちの将来を考えると、そのあたりがどうなるのかが不安ではある。
とはいえ、今のところは元気に育っているし、そこまで気に病む必要もないか‥‥‥
「ああ、それと奥様‥‥‥ミスティア様、公務に関しての連絡デス。王子・王女とのつながり目当ての縁談がまた来ていマス」
「‥‥‥多いですわねぇ」
ワゼのその報告を聞き、ちょっと遠い目をするミスティア。
彼女は女王であり、その子供たちは王族。
であれば、王族と繋がりを持ちたい貴族たちが放っておくわけもなく、できるだけ婚約を結ばせようと動いているようなのだ。
王族の責務というべきか、婚約に関しては色々な事もあるようで、なるべく対応するべきなのだが…‥」
「まだ子供なのに、しないといけないのか‥‥‥」
「ええ、そうですわね。でも、強制的でもないですしねぇ‥‥‥」
縁談は出来るだけ子供たちの意思を尊重したいが‥‥‥そう言うのを考えずに、単純に利益だけでやらかそうとする輩もいるようで、そちらの対応が非常に面倒である。
ならばできるだけ早く決めてしまえばいいのだが、その後の教育課程で歪んでしまうようなこともあり、色々と考えるのも大変であるようだ。
何しろ、他国だと幼少期から婚約していても婚約破棄が起きたり、はたまたはまともであったはずがどこでどう間違ったのか権力を身勝手に振りかざし始めるような愚物に成り下がってしまうなどの例があるらしいからなぁ‥‥‥子供たちにそう言う風にはなってほしくないし、あってほしくもない。
「いっそ、教育機関を見直して、新しい学び舎でも作りましょうカ?」
「まぁ、それができるならやった方が良いかもネ」
‥‥‥一応この国にも学校のような物はある事はあるのだが、ちょっと不安もある。
なので、ワゼお手製なら何かと大丈夫だろうとこの時の僕たちは思ったが…‥‥数年後に、ちょっと後悔する。
そう、気が緩んでいたが故の過ちというべきか、何と言うか‥‥‥このメイドが作る教育機関がどの様な物か、もうちょっと考えるべきであったのだが…‥‥結果的には良いのだが‥‥‥この時はまだ、知らないのであった。
「では、教員用シスターズも新しく改良したり、新造しましょうカ」
「それってもうメイドじゃないよね?」
「大丈夫デス。メイド教師にしマス」
【ワゼさんのそのメイドとしてのこだわりって何でしょうか‥‥‥?」
それは流石に理解できないところにあるのだろう。彼女のメイドの定義は、おそらく幅広すぎて、僕等では到底入ることができない領域なのかもしれない…‥‥
「ああ、それと先日09のデータはこれまで受信一方でしたが、交信に成功し、更新し、より新しいデータなども入りましたので、期待以上の成果を見せることも確約しマス」
「そっか、期待以上か…‥‥ん?今頃になって?」
「ええ、どうも時間がずれたところのようですが…‥‥それでも、中々得られない教育に関してのデータなどもありましたし、都合が良いのデス」
結構行方不明だった09との連絡が付いたのは良いのだが、なんで教育に関してのデータがあるんだ?メイドだけに、何処かの教育機関でメイドでもしているのだろうか…?
ワゼが作る新しい教育機関。
従来のものとは違うようだが、できればいじめとか教育問題などが無ければいいとは思う。
でもこのメイドだし、なんかやらかしそう‥‥‥もうちょっと考えて許可するべきだったかも?
次回に続く!!
‥‥‥なお、今回から今まで収集してきたデータを利用しまくります。もっと前からしていなかったかって?
うん、ネタバレになるかもしれんが、盛大にやらかしまくる予定です。発展には犠牲がつきものというか‥‥‥




