#402 こういう場でこそ、裏の人は大変なのデス
SIDE警備員たち
‥‥‥情報大国ネッタでの、結婚式。
それは非常にめでたい事でもあり、国のトップ二人によって招待された客たちも大勢集まるが、その客たちも幅広く、様々な繋がりを得られる機会ともなるだろう。
だが、その分厳選された招待客しかおらず、そもそも招待されていないという事は何かしらの問題を抱えていたり、あるいは招待客たちを害そうとする馬鹿者も混じっており…‥‥
「撃てぇぇぇ!!」
「「「「ファイヤー!!」」」」
号令と共に、解き放たれる様々な光線は、会場外で押し寄せようとしていた者たちへ着弾し、見事にその効果を発揮していく。
権力・賄賂・武力などによる不正な介入を行おうとする輩たちは今、結婚式場を守る警備員たちの手によってふっ飛ばされていた。
「隊長!!A-12方面でアシュガ子爵軍を確認!!目的は現当主の命だそうです!!」
「隊長!!GH-1方面で、ドンブラウゥ王国の愚王を確認!!結婚式場の招待客たちを殲滅し、混乱に陥るであろう国々を狙うそうです!!」
「隊長!!MS-2方面でダラブチィ商人一行を確認!!繋がりを得ようと多額の金銭を出してきております!!」
「隊長!!会場侵入しようと試みる地下部隊及び空軍を確認!!現在対空対地中殲滅砲で撃破中です!1」
「はっきり言って、相手全員暇なのかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
結婚式場では今、指輪の交換などで盛り上がっている中、会場外での慌ただしい動きの対応に追われ、警備員の隊長は思わずそう叫ぶ。
何しろ大掛かりな式なだけあって、敵対もしくは邪魔及び面倒な類たちが一斉にやってきたようで有り、それらが各地で色々と引き起こしまくり、東奔西走しまくる羽目になっているのである。
幸いというべきか、情報大国ネッタの警備は特殊な技術提供などによって移動や兵装には問題なく、各自で対応できているのだが、それでも送られてくる情報量は多い。
何処からか賄賂が流れてきたり、色々と黒い企みで攻めよってきたりなど、種類自体はそこまででもないのだが、その量が馬鹿みたいにわんさかあふれてくるのである。
一方を潰せばまた一方が出て、撃てば今度は打ち返され、いたちごっこというべき様な、それよりも酷い繰り返しにいら立ってしまう。
一応、負担を考えて今回の警備員たちの給料は割増しになっており、特別のボーナスや有給休暇の増加など様々な見返りも存在しているのだが‥‥‥疲労感が凄まじい。
というか、何をどう狂った者が混じっているのか、人間相手ならまだしも霊体だとか液体とか悪魔とか神とかそう名乗り上げる輩も多くやってきており、あらかじめ配られていたブラックリスト入りな者ばかりであり、それらの対応にも追わされる。
自称なのかそうでないのかはっきりしないのもあるのだが…‥‥それでも非常に数が多く、疲れてしまうのだ。
「ああもぅ!!いい加減にしろぉぉぉぉぉぉ!!」
「「「「同感です隊長ぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
隊長の叫びに隊員たちが同意して一斉に叫ぶも、まだまだ終わる気配が見えない。
結婚式というめでたい場がすぐ近くで行われているのに、その会場外では激戦が繰り広げられるのであった‥‥‥
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SIDEシアン
「おー、ケーキ入刀ってことだけど‥‥‥でかすぎないか、アレ?」
「世界記録更新サイズですネ」
会場外での激闘らしい報告もちょっとシスターズ経由で聞きつつ、一応問題はないということなので、現在僕らは式の進行を楽しんでいた。
内容自体は一般的な結婚式とはそう大差ないのだが…‥‥まぁ、そのスケールが他とは違うだろう。
そう、今まさに目の前で行われている、夫婦初の共同作業としてのケーキ入刀に使われるケーキに関しても、かなりビッグサイズなのに驚愕させられるからだ。
というか、あれ普通のケーキじゃないよね?あれだけのサイズだと、自重で崩れそうなんだけど‥‥‥そのあたりは特殊な加工でもされているのだろうか?
ついでに今回主役の新郎新婦たちにとっても、このサイズは流石に予想外だったのか少し苦笑いである。
あれを命じて用意させたのは、前国王らしいが‥‥‥あ、笑っていたところで軽く王妃・側室にふっ飛ばされているな。
それでも成功させ、会場は大盛り上がりを見せつつ、入刀後に小分けされたケーキが各自に配られる。
「ん?ケーキというか、プリンっぽいなこれ?」
【こっちはお饅頭ですね?ケーキ‥‥‥なのでしょうか?】
「どうやら各所で、色々変えているようですわね」
面白いというかなんというか、ただのケーキではない物を用意していたようで、結構好評のようだ。
娘たちも美味しいケーキに微笑みつつ、各自でちょっと交換し、互に違う触感や味わいを楽しんでいるようだ。
「しかし、規模凄いな‥‥‥情報大国だけに、情報を立体化させて出生から今に至る前の記録をリアルに表現するとか、合唱団も規模が凄まじいとか…‥‥」
‥‥‥何というか、大国というだけあって、かなりスケールはビッグだ。
いやまぁ、各国に比べると樹立されてまだ年数自体は若い方なのだが、国としての都市は関係無いといわんばかりの気合いの入りように、僕らは驚愕する。
まぁ、ここまで派手な式を行って見たいかと言われれば、答えはNOだけどね。流石に目立ちすぎるというか、やり過ぎな感じがあるからなぁ‥‥好評のようだから問題は内容だけど。
とにもかくにも式は進み、地階のキスも終了し、大盛り上がりを見せる。
「っと、ご主人様に報告デス」
「なんだ?」
「会場外の敵殲滅に、警備員たちだけでは対応不可能対象も増えたようデス。国との話し合いで、シスターズを派遣できるようですが、許可いたしますカ?」
「うーん、まぁ良いよ」
せっかく盛り上がっているというのに、そこに水を差すような輩が現在増えているようで、対応しきれなくなってきたようだ。
参加しているのにわざわざやってこられるのも面倒だし、ここはシスターズも派遣して良いだろう。
あ、でも地形を変えるレベルの事はやめてほしい。できれば敵のみの殲滅が望ましいかも。
そう思いつつ、僕は許可を出し、シスターズの迅速な派遣がなされるのであった‥‥‥
「ところで、シスターズがここに到着するまで時間かかりそうだけど、そこは大丈夫なの?」
「大丈夫デス。行きに使用した船は生身の体の影響を考えてますが、今回はシスターズの強度対応型を使用しますので、10秒もあれば現地に到着いたしマス」
‥‥‥どれだけの速度で来る気なのだろうか。というか、何を使う気なのか‥‥‥うん、深く考えるまい。
なお、先日の悪魔討伐時に得た技術でさらなる移動手段もあったりするのだが‥‥‥今回は着弾と同時に攻撃するらしいので使用しないようである。
着弾かぁ…‥‥砲撃かなぁ…‥‥?考えないで、今は普通に式を楽しもうか。
今は無駄に考えないように、純粋に会場で楽しむのが良いようだ。
色々と大変そうだが、あっちはあっち、こっちはこっちで片づけよう。
既に慣れてきたというか、麻痺してきた感じもしなくはないが‥‥‥
次回に続く!!
‥‥‥というか、シスターズ派遣決定までもっている警備員たちもすごいような気がする。
武器が良いのか、腕前が良いのか、それとも対応能力が良いのか…‥‥終わったら出世かな?
死亡フラグを立てないように、頑張ってほしいなぁ…‥‥




