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#391 戦力差を付けておく方が良いのデス

SIDEシアン


…‥‥冥界の植物を消し飛ばしたとはいえ、まだ危機は去っていない。


 逃げ出した悪魔グズゥエルゼをどうにかして捕縛、いや、むしろ一片も残さずに消滅させない限り、再び世界の危機になるのは間違いないだろう。


 とはいえ、そんな最悪な奴を捕らえようにも、なまじ相手が実力を持っているだけに迂闊には出られず、神とかそう言った存在が出撃すべきなのだが、ある程度の神々が住んでいる世界が封鎖され、増援を期待できない状態。



 どうしたものかと考えていたが…‥‥ゼリアスいわく、別にその封鎖された世界以外に住まう強者や神に宛があるそうで、声をかけてくるらしい。


 そして消し飛ばした翌日に、王城内にその宛の人物たちを集めてもらって、一度顔合わせを行うことになったのだが…‥‥



「…‥‥何でこういう時に、普通に呼ぶんだお前は?」

「できるだけ自力でやろうとする悪い癖が、あるんだろうなぁ」

「それは私たちと大差ないような…‥‥気持ちが分からなくもないが、面倒な輩なら先手必勝・徹底殲滅な方が良いと思うがな」


…‥‥ゼリアスの呼びかけに応じたのは、3名。


 全員、人に近い容姿を持っているが、持つ雰囲気は人にあらず、強者の持つ雰囲気というべきか‥‥‥


「なんか、余計な脅威を招いてないか?」

「いや、それは無い」


 僕の言葉に対して、ゼリアスはきっぱりとそう答える。



 とにもかくにも、まずは全員の自己紹介をして、各々を把握する。


「それじゃ、誰から…‥」

「なら俺から言わせてもらおうか。さっさと用事は済ませたいからな」


 持っていた金棒を降ろし、黒目黒髪‥‥‥いや、目の中で何かが燃え盛るようなものが見える大柄な青年が先に口を出した。


「俺はラル。いわゆる鬼神と言うやつだが…‥‥暴れる時は暴れたいが、それ以外はおとなしくしている、神々の一柱だ。そこの悪魔とは、色々な腐れ縁もあり、飲み仲間でもある」


「なら、次は私が名乗らせてもらおう」


 っと、鬼神が名乗り終えたところで、続けてゼリアスに似た容姿の青年‥‥‥銀髪が彼よりも純度の高い銀色のような髪色をもつ者が前に出た。


「私はゼノ。吸血鬼だが‥‥‥吸血鬼と言っても私は日光に耐性を持つので灰になることはないので心配しないでくれ」


 礼儀正しいというか、すっと丁寧にお辞儀をされたので、こちらも思わずお辞儀をし返す。


 なお、吸血鬼と言ってもただの吸血鬼でもないようで、真祖とかそう言う類らしいが‥‥‥


「最後だが‥‥‥我が名はアル。神龍帝だ。今は人の姿を取っているが、よろしく頼む」


 そして続けてそう口にしてきたのは、全体的に白い外見の青年。目だけは黒いが、それ以外はこう、ほわっと光っているような気がする。



「‥‥‥というか、鬼神、吸血鬼(真祖)、龍帝って言われても、ピンっと来ないんだが‥‥‥」

「分かりやすい説明は、こちらにありマス」


 っと、自己紹介されても今一つ種族が分かりにくかったところに、ワゼが簡単にまとめた紙を渡してくれた。


―――――――――――――

『鬼神』

具現化した荒ぶる災害そのものともされる、神々の一柱。オーガや鬼人と言った種族もいるがそれらとは全くの別物であり、力自体も相当強力なもの。

万力を越えるほどの怪力を誇り、全力を出すだけで大地すらも砕き、恐れられる神でもある。

神界には住んでおらず、自分の力だけでとある世界を作り出し、永住中。


『吸血鬼(真祖)』

情報提供者(ゼリアス)いわく、今のこの世界ではない別の世界に存在する種族の一つ。永遠の時を過ごし続ける種族だが、その身体能力は人外を超えており、血を取り入れるだけで万能の力を発揮する。真祖以外の吸血鬼は真祖を越えることができず、日光などの多くの弱点を抱え込むのだが、真祖には弱点すらなく、一度暴れれば一夜で国が存在したことすらなかったことにするほどの力も持つ。

吸血鬼という概念にもなっているようで、世界が異なれどもその概念が存在する世界にいつでも顕現可能。


『神龍帝』

神の名が付くが、元はドラゴンの頂点の龍帝と呼ばれる者たちの頂点についていただけであり、神の仲間ではなかった。だがしかし、力を蓄え神々に加わり、異界のドラゴンたちすらも従えることができる。ドラゴンの中でも最強クラスであり、真の姿は純白の巨大なドラゴンである。

基本的な住みかは世界の狭間に作った国。


―――――――――――――


「…‥‥これまた、無茶苦茶な面子だな」

「しかも情報では、全員妻帯者デス」


 その情報はいらないような…‥‥いや、全員奥さんいるの?



「いるぞ?普通に一夫多妻だが…‥‥」

「一夫一妻でもないからな…‥‥ただし、自分できちんと責任をとれないのはダメだ」

「愛情を注ぐからこそ、子どもにも恵まれているからな」


‥‥‥何と言うか、懐が大きいような。


 いやまぁ、僕の方も奥さんいるけれども…‥‥こっちはこっちで、関係としても甘さがうかがえるようで、ちょっと悪魔の件が解決したら色々と語り合いたいような気がする。


「この中でいないのは、そこの悪魔だけだがな」

「シスコンだからねぇ。まぁ、でも未来にはいると思うかな」

「少なくとも、後20年以内にはできるだろうな」

「ちょっとまて、お前らに言われると冗談じゃないのが分かって嫌なんだが」


 いわく、鬼神の方は力があるが、予知能力はないけれども、吸血鬼と神龍帝の方はそれぞれ別の手段で探ることができるそうで‥‥‥いや、今はその話は良いだろう。



 とにもかくにも、それはそれで後で聞いてみたい話として心のメモにしっかりと記しつつ、悪魔グズゥエルゼに関しての話に僕らは切り替えた。




「…‥‥なるほど、またその悪魔か」

「前々から何かと聞いていたけれどね…‥‥ゼリアス、そう言うやつは存在そのものを抹消しないといけないだろ」

「したいところではあったが…‥‥」



‥‥悪魔グズゥエルゼは元々、冥界に捕縛されていた。


 以前僕らと対峙し、肉体を完全に消滅させ、冥界に落とすことができたといえばできたのだが‥‥‥そこで存在は消されていなかった。


 というのも、存在そのものに色々と厄介な部分もあるそうで、冥界にひとまず落としておくしか他なかったらしい。


「普通に存在も消せそうなもんだが…‥‥」

「冥界の場合は、冥王がルールを作ってしまうからな。あの冥王に何か思惑でもあったのだろうが…‥‥あそこで存在が消えていなかったからな」


 とにもかくにも、今回悪魔グズゥエルゼは、その冥界の植物を持ち逃げしてしまった。


 ゆえに、ここで消すことができれば、再び冥界送りになったとしても今度は存在を保つことはなく、消すことができるようである。


「いや、普通に考えても消すしかないような。何で冥王はそいつを残したんだ?」

「あれはあれで厄介だからね…‥‥あの王の頭は分からないよ」

「訪れたことはあったが、あの冥王は本当になぁ…‥‥下手すると神々よりも立場が上になる時があるから、非常に厄介極まりないからなぁ…‥‥」


 全員うんうんと同意するようにうなずいているが、冥王そのものの考えは分からない。


 というか、分かったらそれこそ奇跡とも言われるようで、冥王に基本的に誰も関わりを持ちたくないらしい。


「とはいえ、この件で確実に消していい事を確約してもらった。これで消滅させれば、冥界落としになってもそこで消え失せるだろう」

「おお、あの冥王から確約を取ってみせたのか」

「流石だね」

「色々と厄介野郎だがな…‥‥そもそも冥界の植物を取った時点でやればいいのに、あの冥王は…‥‥」


 色々と面倒なことが会ったらしいが、とりあえずグズゥエルゼを消し飛ばせば万事解決。


 なので今は、その消し飛ばす方法のみを考えれば良いようだ。



「ワゼ、グズゥエルゼの居場所は?」

「色々と策略を兼ねており、隠れているらしいですが…‥‥以前と比べ、こちらの包囲網も探知範囲も拡大していますからネ。既に突き止めていマス」

「あー、あの王城に来る際に、ちらっと見えたメイドたちを使ったのか‥‥‥」

「あのメイド、こっちの世界にもいないんだけど‥‥‥技術力だけだと明らかにおかしいんだけど」

「こちらの持つ国にも、似た様なゴーレムは運用しているが…‥‥あとで技術について、交換し合いたいところだな」


 なんかさらっと神龍帝の方から、うちのメイドのさらなる強化につながりそうなヤヴァイ案が出たけれども、とにもかくにも、居場所も突き止め、戦力はそろった。


 これならば、きちんとした作戦を立てればどうにかなるだろう。



「まぁ、全部潰せばいい話しだがな!!」

「面倒だからって、力技はね。でも、それが良いかもね」

「ブレス対策なども取られかねないが…‥‥何にしても、さっさと動けばいいだろう。こちらの持つ世界に来られても害悪にしかならないからな」


「全員、やる気を持ってくれたようだな」

「これなら大丈夫かも」


…‥‥とは言え、ちょっと戦力的にやり過ぎているような気がするのは気のせいだと思いたい。


 鬼神に吸血鬼(真祖)、神龍帝…‥‥それに加え、シスターズに悪魔ゼリアス、あとはこの世界の中立の魔王でもある僕が出るけど…‥‥オーバーキルしかねないだろうか?



 まぁ、色々とやらかされているんだし、悔しい結果が出るよりも、きちんと問答無用ですりつぶせばいいかと、僕はそう思うのであった…‥‥



「ところで、この世界に温泉都市があるって聞いたんだが」

「ああ、あるよ?それがどうした?」

「今度、妻と子供たちを連れて訪れたいが…‥‥予約はできるだろうか?」

「ああ、それは私のほうも頼みたいね。できれば血の温泉とかもあったらうれしいかな」

「温泉か‥‥‥こちらも家族総出で向かいたいが、一件が終わった後に少し案内が欲しいな」


…‥‥まさかとは思うけど、全員やる気出しているのって温泉が原因じゃないよね?悪魔よりも温泉の方を優先しているとか、流石にそんなことはないよね?


「というかゼリアス、そんなことを伝えたのか?」

「いや、一言も手紙にすら出していないはずだが…‥‥ああ、そうか。そう言えば、知り合いの旅人に話したことがあったから、あいつが発信源となったか…‥?」




ちょっと過剰戦力な気もするが、オーバーキルでも問題は無いか。

最悪の悪魔だし、徹底的に消し飛ばすならこのぐらいがちょうど良いのかもしれない。

以前よりもこちらの方が圧倒的に上になっているだろうしね…‥‥

次回に続く!!


――――――――――――――――――――

【オマケ】

なお、今回の出てきた3名、作者の過去作品ゲスト。口調やその他がちょっと変わっているけれども、どの作品なのかちょっと記載。

「ラル:『鬼神転生旅騒動記』」

作者の作品の中で結構古参。当時を読み返すと、結構つたない部分が多い。


「ゼノ:『吸血鬼だけど、吸血はしたく無い』」

作品の中で1,2位を争う古参。神龍帝の出ていた作品にも出張済み。打ち切りに近い感じで終わったけれども、いつか絶対にリメイクして出したいところ。


「アル:『ドラゴンですけどマイペース』」

何かと結構便利な、世界を渡ってくれる龍帝。神々ではなかったはずだが、神の類に入った模様。


連載時にやっていた時から相当年月は経ているはずだが、それでも全員若々しい。

なお、小説家になろう投稿前に趣味でやっていた分を含めると、実はゼリアスがこの面子の中で、一番の最年長だったりする。

‥‥‥でもね、この作品の時点で彼だけまだ独身なんだよなぁ。


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