#379 見る方でもデス
SIDEドーラ
シアンたちが地下室にいる丁度その頃、王城の方では娘たちの面倒を見ていたドーラが、あるものを披露していた。
【シャゲェ…‥‥シャゲシャゲェ!!】
ばばばっと素早く自身の手足のような葉っぱを華麗に動かし、持った土を綺麗に削り取っていく。
そしてもう一方では、ロールが氷の塊を創り出しており、こちらもこちらで切り崩していた。
「にょにょにょーっと!!もうちょっとで完成にょ!」
【シャシャゲェ!!】
「負けないにょー!!」
互いに何かを作り合いつつ、その様子を見てヒルドたちはその光景を楽しむ。
昼寝から目が覚め、ちょっと親たちが帰って来るまでに色々と楽しませたい母性と姉性のぶつかり合いで、魅せるためのものを作製しようと競い合っているのだ。
【ふみゅー!!そこまでぇ!】
「時間だみー!!」
かちっとヒルドとオルトリンデがストップウオッチを止め、合図を送る。
【シャシャァ】
「ふぅ」
その合図とともに互いに手を止め、その作品を見せた。
【シャゲシャゲェ~!】
「こっちも負けてないにょ!!」
互いに造りだしたのは、ドーラの方は土の塊を削り、花で装飾したシアンたち一家を静止画風に表現した像。
一方で、ロールの方は氷をこれでもかという位透明にしており、クリスタルで出来ているかのようなきらめきを放つ、躍動感あふれる動画風に表現した氷像。
【ふみゅ~】
「みー」
【ぴゃーい!】
「にゅー!」
その見事な出来栄えに妹たちは歓喜する。
どちらも見事な作品であり、優劣をつけがたい芸術であると理解したのだ。
‥‥‥まぁ、木蔭の方でクロの背中でまだ寝ている赤子たちの方は見ていなかったが。
【シャゲシャゲェ】
「ふふふ、互に腕を上げたにょね」
がしっと握手を交わし合い、互いの作品に健闘をたたえあう二人。
種族は違えども、楽しませる目的は果たし合い、見事に成功したことに満足する。
「皆様、オ菓子ノ時間デスヨー」
「あ、今行くにょー!」
っと、ここでちょうどゼロツーが各自が楽しめるお菓子を持ってきたので、次はそのお菓子の大食い勝負へと移るのであった‥‥‥‥まさに平和すぎる光景でもあった。
なお、菓子の大食い対決に関しては妹たちも加わり、ノルンが圧勝したのは言うまでもない。
【ぴゃーい!】
【グ、グゲェフゥ】
「さ、流石に燃費の悪さで、姉妹一だったにょ‥‥‥がくっ」
「‥‥‥何やっているの」
【お菓子の食べ過ぎはダメですよ!!】
そして帰ってきたシアンたちにその現場を発見され、食べ過ぎ注意のお叱りを受のであった。
「この無駄な贅肉の原因は、甘やかしすぎる点でしょうカ」
「痛イ痛イ!!メイドゴーレムナノニナンカ痛イ!!」
…‥‥何処がとは言わないが、私怨的な部分も込めて、この争いに乗ったゼロツーがビンタされていたのも言う間もない。
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SIDE騎士王国
‥‥‥ボラーン王国での平和な時間が過ぎている一方。
騎士王国の方では、デュラハンのララはとある任務を与えられていた。
【‥‥‥何で、うちがこんなことをしているんやろうなぁ】
「エー、それを言うならこっちもなんだよねェー」
はぁっと肩を落としつつ、意気消沈しているララの隣で、同じく任務を与えられた後輩…‥‥アハトがそう口にする。
【そもそもなぁ、鉱山なんてあまりたいしたもんないんやもん。うちだって有休が通れば、今頃ルルと一緒に王国の方で楽しめたかもしれへんのに】
「まぁ、人材不足の波かねェ?先輩と共にこちらも呼びだされたし、一人よりも二人のほうが早く済むかもしれませんよ」
彼女達の現在地は、騎士王国内のとある鉱山。
といっても、既に廃坑となった場所であり、最近新しく山を切り崩して平地にして、訓練場を作る計画が練られていたのだが‥‥‥どうもこの鉱山周辺で怪しい出来事が起きており、その調査に行くように命じられたのである。
できれば有休をとりたかったララだが、いかんせんこの鉱山は…‥‥
【シャベガァァァァァ!!】
【あ、ゴースト。アンデッド系モンスターの巣窟になっているんやなぁ】
「この鉱山、死人出ましたからねェ」
…‥‥アンデッド系モンスターが涌き出る場所でもあり、ミイラ取りがミイラにならない意味合いで、同じようなアンデッドでもあるデュラハンの彼女が指名されたのだ。
なお、アハトの方に関しては、一見生きた普通の騎士に見えるのだが…‥‥実はこちらもこちらで人ではない。
ゴーレムの類というか、思いっきりどこぞやのメイドの手先だったそうで、生きていないならこっちもアンデッドになる心配が無いかという理由で、この任務に付けられたのである。
「情報だと、炭鉱事故が多発した場所らしいですねェ。元々は犯罪者たちの刑の場所だったらしいですが‥‥‥」
【互いに脱走を試みて、事故を誘発しまくったいわくつきでもあるからなぁ】
恐ろしく面倒そうな任務に、互に溜息を吐く二人。
アンデッド系は怖くもないが、その始末が面倒な例が多いので、辟易するのである。
「にしても…‥怪事件があるという割には、人の気配もないですねェ。やっぱり、ココのアンデッドたちの仕業かな?」
【いや、それはないじゃろうな。アンデッドじゃと死ぬようなものがあるやん。いや、意味がおかしくなるんやけど…‥‥】
鉱山周辺で起こっていた怪事件は、周辺の村などで聞き込みして、ある程度の内容を把握している。
真夜中に人魂を見たとか、幽霊が井戸端会議をしていたとか、はたまたはゾンビが踊り狂っていたとか、何かと変な物が多い。
だが、その中にはアンデッドには引き起こしようがないものがあったのだ。
【対アンデッド用にも使用される聖歌なるものが流れていたと言うやつ…‥‥これは明らかに歌えん。うちが前に冗談でやったら体中がかゆくなったもん】
「それで済むの?」
【種族柄、上位の方でもあるからか、はたまたはアレルギー的なモノか…‥‥何にしても、普通のアンデッド系モンスターが歌えば自殺もんやで】
変な事件が起きていることを認識しつつ、彼女達が鉱山の奥の方へ進むと、そこにある物が存在していた。
「‥‥あれェ?鉱山内部の地図に無い、扉ですよ」
【ガッチガチというか、えらく頑丈そうな代物やなぁ。まぁ、この程度ならば‥‥‥そいやっさ!!】
鍵がかかっていたらしく、施錠されていた鋼鉄のような扉に対して大剣を振り下ろすララ。
するといともたやすく扉は切断された。
【さてと、先へ進むか。有休を潰した元凶がいたら、この手でボコってやるんや!】
「先輩、相当根に持ってますねェ…‥‥」
剣をしまい、ぐっとこぶしを握り締めてそう宣言するララに、アハトは被害に遭うであろう元凶がいたらどうなるのかが容易く想像できて、あははっと苦笑する。
…‥‥そしてそれと同時に、アハトはある通信も受け取った。
(…‥‥反応の一つがここに?もしかしたらこれもか?)
それは、彼女を創り出したワゼからの通信。
なにやら各地でとある反応を確認し、シスターズに調査するようにという連絡が来ていたが、どうやら自分のここはそのうちの一つだったようだ。
もしかすると、ここはその中でも当たりの方かもしれないと思いつつ、ララと共にアハトは周囲の微細な変化も見逃さないように、集中し始めるのであった‥‥‥‥
ちょっと目を離したすきに、娘たちがお菓子を食べ過ぎてました。
虫歯になる危険性もあったので叱りつつ、目を離せないことを再認識させられた。
まぁ、なったらなったで、治療するけども…‥‥ワゼ、その手に持ったドリルの音はやめて。娘たち以外にも、なんか僕にも効くんだけど。
次回に続く!!
‥‥‥ほのぼのしているその一方で、何やら調査中。何が出るのやら。
ドリルはドリルでも、ロマンあるものと恐怖しかないものって、なんでこうも差があるのやら。




