#347 色々と学んでいたようデス
SIDEシアン
「着いたことは着いたけどさ…‥‥前に来た時よりも、規模がすごいな」
【訪れるたびにパワーアップしていませんかね?】
馬車を下車し、温泉都市ネオ・オルセデスへ僕らは入ったのだが、どうも以前とはまた様子が変わっている。
温泉だらけすぎるというか、きちんと効能などもカテゴリー別に分けられ、しかも素早く移動できるように交通の便、いや、道そのものを改造したのか動く歩道が多く存在しており、あちこちでダンジョンでもあるこの都市の従業員のモンスターたちが客寄せをしつつ、接客を行っていた。
【ふみゅっ!人多ーい!】
「みー!早速全部巡るのー!」
【あ、ちょっと待ってくださいよ!】
だだっと駆け抜けていこうとしたヒルドとオルトリンデを、ばっとハクロが糸で撒きつけて手繰り寄せる。
もうだいぶ、この突発性駆け巡りを引き起こす娘たちの扱いには慣れてきたが、この対応は正しいであろう。
「えっと、まずは宿屋の確保か」
「それは問題ないですわね。しっかりと、たまには王族の権限をフルに活用した宿屋へ向かえるようにしていますわ。地図ですと34番の歩道を使った先ですわね」
あらかじめ宿を予約していたミスティアがふふんと自慢気にそう言い、僕等はその宿を目指す。
「ふむ、技術提供をちょっとしましたが、ここまで発展させるとは、あのダンジョンコアもなかなかの仕事してマス」
‥‥‥さらっとこの大発展ぶりの元凶の一人が口にしたが、気にしないでおこう。
気にしたら負けである。温泉都市なのにSFチックになってきているのは雰囲気的に大丈夫なのか、という疑問は残るが…‥‥
【「えええええええ!?3時間待ち状態!?」】
宿に着き、どの温泉を巡ろうと話している中で、ワゼが全ての温泉の情報について入手し、その報告をしてもらっている中で、とある温泉でのその状態を聞き、ハクロとミスティアが大声を上げる。
「ええ、間違いないデス。子宝関係の温泉が、全て同様の待ち時間を必要とされ、権力、金なども関係なく平等に待たされる状態になっていマス」
【前の時はそんなに待ちませんでしたよね!?なんでそうなっているんですか!!】
「原因は、奥様デス」
【‥‥‥はい?】
…‥‥子宝の湯。現在長時間待ち状態が確定しているそうだが、その原因にハクロがあるらしい。
というのも、立場的に忘れそうになるが俺は中立の魔王のようで、ハクロはその妻。
ハクロがその湯に入り、ヒルドとオルトリンデを授かったことで、魔王の妻も確実に子を成せた温泉都市ての名が密かに広がり、後継者が必要な人たちが続々と集まって来て、大人気となってしまったそうである。
しかも、的中率というべきか、その効能はすさまじいようで、リピーターが溢れ、また客が来て、効能を実感して宣伝して…‥‥延々と繰り返された結果、この国どころか他国、他大陸、モンスターの従業員もいることから幅広すぎる他種族などが求めまくり、待ち時間を作ってしまったようである。
「‥‥‥と、中々凄まじいので、順番待ちは整理券を購入しておかなければいけないようデス。なので、先に入手しておきましたが、あと3時間程度はお待ちくだサイ」
「うわぁ‥‥‥何と言うか、すごいですわね」
【何でしょう、この元凶になった申し訳なさと、そこまで求める人のすごさに驚愕している気持ちは‥】
予想外だったというべきか、それとも予想できたことかもしれなかったというべきか‥‥‥目当ての子宝の湯へ向かう前に、いくつか他の温泉を巡って時間を潰すことになりそうであった。
「ちなみに、この整理券入手後も増えており、最大10日待ちになっているようデス」
「どんだけだよ‥‥‥」
人気があり過ぎる。
その事に驚愕しつつも、仕方がないかと受け入れるしかない。
何にしても、今は巡っていこう!!
次回に続く!!
‥‥‥子を求めて大事に育てるのであれば、問題は無いけどね。でもここまで求めまくるのもどうなのかとは思うが‥‥‥どうなんだろう。
あとさらっと、10日待ちってどう計算したらそうなるのか気になる。




