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#35 意外に大変なのデス

無事に予定通り、今回でフェンリル(夫)の名前が明かされます。あっさりとね。

威厳、どこに行ったのかな……

昨日は大雨のせいで、電車が遅延したり、乗ってもぎゅうぎゅうすぎて辛かったよ…‥‥

SIDEシアン


「ワゼ!!そっちに実が5個逃げたぞ!!」

「了解、すぐに捕まえマス!!」


「ハクロ、そっちの方に網を張るんだ!!」

【わかっていますよ!!投げ縄の要領で他のも捕まえます!】


 現在、僕らは慌しく動き、プぺオンの実の採取を行っていた。


 当初はまだ遠距離からの投擲によって一網打尽にできるかと思っていたが‥‥‥世の中そう甘くはなかったのだ。


 すぐに察知されて逃げたり、高速回転して土を捲きあげて目くらましをしてきたり、蔓を生やしてばねのようにして跳ねて動くなどと、多種多様な動きをプぺオンの実はあの手この手で行い、必死に逃げるのである。



 ハクロが網をかけても、回転して穴を掘って逃げたりして、必死になって皆で捕まえ捲った。


「『アイスプリズン』!!」


 氷魔法を使った檻を作って、その中に閉じ込めたり、



「ええい!!『ロケットネットランチャー』デス!!」


 ワゼが腕を変形させて網を発射して捕えたり、



【いい加減におとなしく捕まってくださいよ!!】


 ハクロが粘着質な蜘蛛の糸を発射して逃げられない様にしたりと、物凄く皆は忙しく動いた。


 フェンリル(夫)?途中で戦力外通告をワゼから受けて、捕縛に参加せず、捕らえたプぺオンの実が逃げ出さないように見張りをしているよ。



 

 何にせよ、皆が全力を出し切って、夕暮に近づいた頃合いには100個近いプぺオンの実を僕らは集め終えたのであった。



「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……これで十分かな?」

「多分大丈夫でしょウ。こちらとしても取り分もあるので、これ以上は必要無いデス」

【わ、ワゼさんはなぜ平然としているのですかね‥‥‥私たちは非常に疲れたというのに…‥】

「私、メイドゴーレムですので、この程度の疲労は感じまセン。汗もかかずにやり遂げるメイドの嗜みでもあるのデス」

【いや、それ色々とおかしいような気が‥‥‥ああ、待て、そのでかいハサミを向けるな】


 フェンリル(夫)はツッコミを入れたが、ワゼが巨大なハサミを取り出したのを見て、慌てて後ずさった。



 そう言えば、この採取前に名前を聞いておこうと思っていたが…‥‥今は疲れたし、後で良いか。


 とりあえず、大量に収穫した木の実は毎度おなじみワゼの謎の収納能力をほこるメイド服のポケットに入れられ、馬車は都市アルバスへ向けて動き出した。



「ふぅ‥‥にしても疲れたな」


 馬車の揺れがちょっと心地いい具合なので、なんだか眠気が襲ってきた。


 ちょっとぐらい、寝ても大丈夫だろう…‥‥


 そう思い、僕は少しだけ寝ることにしたのであった。



――――――――――――――――――――

SIDEワゼ



「おや、ご主人様は眠りましタネ」


 スヤスヤと寝息を立て、馬車の壁にもたれたかかって眠り始めたシアンを見て、ワゼはそうつぶやいた。


【仕方がありませんよ、あの実を収穫するのに思った以上の労力を使いましたからね‥‥‥ふぁぅ】


 ワゼのつぶやきを聞き、ハクロはそう口にしたが彼女の口からも欠伸がでる。



「‥‥‥ふむ、仕方がありまセン。ハクロ、そこのボタンを押してくだサイ。ご主人様の用のベッドが出てきマス」

【それって馬車の機能なのかな・・・・・というか、一体いくつの仕掛けがあるの?】


 馬車に仕掛けられている様々なものに、ハクロはちょっと考えつつも、教えられたとおりにボタンを押すと、そこにベッドが出現した。


【どう見ても、馬車の外観とベッドのサイズがあっていないのですが‥‥‥‥】

「そこは頑張って変形できるようにしたのデス。ゆったり寝られるように、大きめのサイズにこだわりまシタ」



 何にせよ、ベッドにそっとシアンを寝かせるワゼとハクロ。


「まぁ、ご主人様の睡眠時間も考えて、ゆったり進んだほうが良さそうデス。最遅になるように変速して、フェンリル(夫)、ゆっくり進みなサイ」

【はいはいっと…‥‥そう言えば、我が名前はまだ名乗れぬのか?】

「一応、フェンリル(妻)さんから聞いてマス。本名は『ポルネリア=チルデドロス』でショウ?」

【あれ?ワゼさんも確か、このフェンリル(夫)に名前があると聞いたときに驚愕していませんでしたっけ?】


 ふと、思った疑問にハクロは首をかしげて尋ねた。


「その場のノリと言うやつデス。これもメイドの嗜みなのデス」

【それはどうなのでしょうか?】

【そうか、もう妻から聞いていたのかよ…‥‥】


 ワゼの回答にハクロは納得いかないような顔をしつつ、フェンリル(夫)・・・・・ポルネリア=チルデドロスは少し残念そうな声を出した。


 おそらくは、自分の名前を堂々と宣言することで、その名乗りの雰囲気に自身の威厳を見せたかったのだろう。


 だがしかし、それはあっさりとくじかれた。


「と言っても、長いですね‥‥‥ポルネリア=チルデドロスですし、縮めて『ポチ』で良いでしょウ」

【なんかあっさりされた上に、物凄く情けないような気がするのはなんでだろうか?】

【一気にしょぼくなっていませんかね?】


「何か文句はありますカ?ああ、ハクロさんもついでご主人様から与えられた名を改名するというのモ」

【いえ、本当に良い名前だと思います。なので私の改名だけは本気でやめてください】

【あっさり寝返るなよアラクネが!!】

【だって情けない名前に変えられたくありませんよ!!種族的にはそちらの方が格上ですが、私は自分が大切です!!】

【なんだと!こちらが格上と認めているのならば、せめてお前も道連れに改名すれば】


「二人とも、うるさいとご主人様が起きてしまわれマス。口を縫われたいですカ?それとも鞭でしばき倒されたいですカ?」


【【本当にすいませんでした!!】】


 ワゼの言葉に、ハクロとポルネリア=チルデドロス……いや、改名してポチは、そろって本気で土下座するのであった。



【あれ?そう言えば奥さんの方の名前も改名したのですか?】

「いえ、流石に森の主でもあるあのフェンリル(妻)…‥‥本名『ロイヤル=チルデドロス』さんを改名できるわけないでショウ。あの方の威厳は損なわれてはいけないのデス」

【なぁ、なら何で同じフェンリルのこちらは思いっきり威厳を損なおうとしているんだ?】

「いえ、元からないでショウ?なので、問題ありまセン。奥様からも許可をいただきマシタ」

【なるほど、元からない…‥‥って、納得できるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】

(……すいません、種族的にはそちらが上ですが、私もワゼさんと同じ意見です…‥‥まぁ、シアンには何もないようなので、別にどうでもいいですかね)


……前々から思っていた本音をハクロは心の中でつぶやいたが、あえて口にしない優しさを見せるのであった。


 いや、それはそれで残酷な事なのかもしれないが…‥‥‥



ポルネリア=チルデドロス、縮めて『ポチ』と改名されたフェンリル(夫)。

このフェンリルの威厳は損なわれまくっているような、いや、これ以上堕ちようがないのか。

何にせよ、妻の方が圧倒的にフェンリルらしいというようであった。

次回に続く!


……出て数秒ぐらいはきちんと威厳があったのに、瞬殺された上に以降はネタキャラ人生。

最初に敵対行動を見せなければ、まだ違った人生があったかもしれない……‥いや、なかったかな?

あ、子どもたちの方ですがこちらも後々出す予定です。でもそれなりに数がいるし、ちょっと覚えやすいようにします。

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