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#324 たまにはこういうのもやって見たくなるのデス

SIDEとあるオークション会場


『もう間もなく、オークションの開催予定時刻です。出席予定者たちはあらかじめ予約されていた席へ‥‥‥』


【クゥン…‥‥】


 辺りから聞こえてくる、人の声。


 その声を聴きながら、厳重に封をされた檻の中には、いくつもの動物たちが詰め込まれていた。


 彼らは、このオークションが始める前に、商品として捕らえられたものたち。


 希少な動植物はもちろんの事、珍しいモンスターなども捕らえられている中で、今回のオークションの目玉となるそれは、悲しい声を上げる。


【ガウガウ…‥クゥン】


 がじがじと齧り、蹴ってみるなど試してみるも、それ相応の相手用に作られた鎖からは逃れることができず、尻尾を垂らして落ち込む。


 彼は、ポチの子供の子フェンリルの一体。


 先日、巣立ったばかりだというのに、不幸にも捕らえられ、この会場へ運ばれてしまった。




 神獣というのは、かなり強い力を持つ獣でもあり、だからこそ、その力を欲する者たちもいる。


 けれども、大抵の場合は人を凌駕するような力を持っており、知能も非常に高く、利用されることはない。


 だがしかし、まだ幼げに見える神獣の若い個体であればまだ希望もあるとして、狙うような輩たちもいるのだ。


【クゥン…‥‥】

「…‥‥フー」

【ガウッ!?】


 しょぼんと、捕まってしまったことに落ち込んでいる中、ふと聞こえた声に彼は驚愕した。


 聞き覚えがあるというか、似たような類を多く見てきた身。


 ゆえに、誰なのかすぐに分かり、その声の方向をみると、思った通りの者がそこにいた。


【ガウガウッツガーウ!!】

「シーっ。静かに、するフー」


 そこにいたのは、あの森で遊んでもらったシスターズとか言う者たちの一体、フィーア。


 彼女の場合はそう多く出会うほどでもなかったのだが、それでも遊んでもらったシスターズの匂いはしっかりと覚えており、誰なのか理解できるのである。


 ただ、ちょっと違うとすれば、小さい方の姿ではなく、大きい方の姿になって檻の前に居るという事ぐらいであろうか。


「良いですか?今、ご主人様があなたの事を聞き、助けに来ているフー。でも、馬鹿正直にここを破壊して、奪うような真似はせず、きちんとオークションに参加して、買い取っていく算段フ」

【ガウッ】

「でも、ただで済ませる気はないフ。金は払うが、罪は償ってもらう‥‥‥という事で、姉妹機が動いているフ」

【ガウッ!?ガウガウガウ!】

「大丈夫大丈夫、お仕置きの場に、参加できるようにしているフ。だからこそ、今は元気に暴れているふりをしつつ…‥‥そうですね、しっかりとあなたを捕らえた方や、ここの開催主などの顔を覚え、後で活かしてほしいフー」

【ガーウッ!】


 了解、というように答える子フェンリル。


 出してもらえる希望がありつつ、捕まえてきた相手に仕返しをできるのであれば、これほど幸運なことはないだろう。


 何にしても、その恩義に報いるために、告げられたその使命のため、人の顔を凝視し始めるのであった‥‥‥




―――――――――――――――――

SIDEツェーン


「‥‥‥っと、この程度の情報、隠すべきなのにセキュリティー甘々デース」


 丁度その頃、ツェーンは裏社会の伝手を活かして情報を収集し、このオークションに参加する者たちや、その関係者たちについて調べていた。


 神獣の子が出されるようなオークションがまともなモノであるはずがなく、調べて見れば違法な品々が多い。


 個人的には、材料の方でちょっと入手しにくい類もあるので摘発して潰すまではいかないが、それでも目に付くような悪党たちは今後の事を考えて、潰すリストへあげていく。


 世のなかきれいごとで済むわけでもなく、こういう汚れ仕事をやるのもなかなかのやりがいはあるのだが、調べてみると数が多いという事実には、呆れを隠せない。


「人って面倒デース。悪い事を悪いと分かっているのに、なぜ犯してしまう人が多いのデース?」


 潰しても潰しても、湧き出してくるそのしつこさに、呆れつつもその根性に感嘆すら覚えてしまう。


 まぁ、場合によっては神聖国の生贄逝きにできるので、処分自体もそれなりに楽でもあるのだが‥‥‥出てくる類がいるのは、どうしても理解できない。


 人ではないメイドゴーレムの一体であるが故か、そういう部分は本当に理解しがたいのである。


「何にしても、証拠の品はこの程度でいいデース。いえ、証拠過多というのもやり過ぎデース」


 呆れつつも、できるだけのことはやったので、この場から引き揚げようとするツェーン。


 あとは、適当にオークション会場の場へ潜り込み、目を付けた相手の容姿などの情報を入手するだけだが、ふと思って、その出品される品々のリストに目を通した。


「…‥‥これとこれ、あとはこれはまだ正規なのは珍しいデース。あとは…‥‥」


 チェックを付け、気になった品は後で買うべきか考えようと思うツェーン。」


 裏社会を把握する裏ギルドのギルドマスターの補佐…‥‥いや、最近ではそのギルドマスターが腰を痛めた分、より仕事を任され始め、実質的に裏ギルド全体を把握し始めた身としては、ご近所さんづきあい的なところがいくつかあるので、そこへの手土産にでもできないかとも、思うのであった。

 

既に色々と動き、準備は万端。

違法なオークションも、ちょっと興味があったので、これはこれでいい機会なのだろう。

目的を忘れずに、面白そうなので参加もしっかりとね!

次回に続く!!


‥‥‥違法なオークション、テンプレそうなのに今まで触れてきてなかった。

奴隷要素も考えたけど、今の状態を考えると入れるべきか?

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