閑話 悪魔同士の話し合いなのデス
SIDEゼリアス
「…‥‥なるほど、そっちもあの魔王にあったのか。というか、交渉とは‥‥‥良くお前が、真面目に取り組んだな?」
「いやいやいやぁ、だってマトモに正面から戦ったら、先ず勝ち目が見えないからねぇ。あのお方‥‥‥悪魔グズゥエルゼ様を討伐するほどだし、実力差はわきまえているつもりだよぅ」
人の姿を取りつつも、元は蠅の悪魔のベルゼブブ。
その悪魔の前に座りつつ、悪魔ゼリアスは話し合っていた。
‥‥‥ここは、シアンたちが住まう国のある大陸とは異なる、別の大陸にある場所。
通称「帰らずの森」とされる森林内部の一軒家に、彼らはいた。
「あの悪魔でも屑野郎とそこまで信奉するのは、世界広しと言えどもお前ぐらいだろ‥‥‥」
「んぅんぅんぅ、まぁそうなるねぇ」
ゼリアスの呆れたような声に、ベルゼブブはそう返答する。
悪魔グズゥエルゼはゼリアスにとっては敵だが、目の前の悪魔にとってはむしろ崇拝対象。
その討伐にゼリアスも関わっているのだが…‥‥それは気にしていないようである。
というのもこのベルゼブブ、グズゥエルゼそのものよりも、それが創り出した遺産の方に興味をひかれているようなので、消滅しようが遺産があるならそれでいいようだ。
冥界へ堕ちた悪魔を復活させる手段は実はあるのだが‥‥‥それを行わない当たり、一応そのあたりの倫理的なものなども判断で来ているようだ。
いや、判断できているのであれば、そもそも崇める事は無いのだが…‥‥それはそれ、これはこれというやつであろう。
「何にしてもねぇ、これから発見・許可のために出向くことが多くなるのは手間がかかるけど、それでもある程度好きにできるのはいいねぇ」
「あの魔王は話が分かるやつと言っても良いからな…‥‥前の悪の魔王の方が、ひどすぎたというのもあるだろうが…‥‥」
「んぅ、まぁ仕方がない事だろうねぇ。この世界の魔王づくりに関わる人が、選定できてないからねぇ」
「‥‥‥アレは、自業自得だと思うがな。その事はあの悪食野郎も知っているだろうけど、契約で喋れてないようだな」
「ふむぅ?あの預言者って名乗っているやつかぁ。そう言えば彼?彼女?いや、義体とかそういうので、性別良く分からないけど、そう言えば縛られているって話は聞いたねぇ」
ずずっと机の上に置かれた茶を飲みながら、互にそう語る。
「とはいえ、俺たちの方に関係は無い。知っていても、そう話すことでもないからな」
「まぁ、それもそうだよねぇ。知ろうとしなければ知らせる意味もないし、関わるようなこともないからねぇ」
そう言うと、ベルゼブブは茶を飲みほした。
「んぅんぅ…‥お茶、美味しかったけど、ひとまず今日の本題へ入ろうか」
「そのまま帰ってくれるかと思ったのだが…‥‥忘れてなかったのか」
「いやいやいやぁ、流石に我らの魔王様の命令だし、忘れるわけにもいかないでしょぅ。悪魔は契約命、約束命、厳守だからねぇ」
「…‥‥ふざけているようなくせに、それでいて真面目でもあるのがなんかムカつくな」
「それはそれで仕方がない事さぁ。まぁ、それはそうとして、本題なんだけど‥‥‥‥」
「‥‥‥っと、まぁ、そういう事かな」
「…‥‥ちょっと待て、あいつ本当に実行する気か?」
ベルゼブブの話が終わり、内容を聞いてゼリアスは額に手を当てて抑える。
「さすがに押しつけたというのもあるが…‥‥その発散どころを見つけかねないか」
「それもそうだよねぇ。何にしても、やらかす前に魔界へ出向いて、さっさと止めたほうがいいと思うねぇ」
「ああ、そうする。ついでにお前もついてこい」
「‥‥‥何で?」
「生贄コホン、犠せ、コホン、盾になるのに十分だからな」
「結局ごまかしきれてないんだけどぅ!?}
ゼリアスの言葉に、ベルゼブブはツッコミを入れつつ、いやな予感がしてその場を退散しようとする。
だがしかし、時すでに遅く、彼らは悪魔たちが住まう世界‥‥‥魔界の方へ転移していたのであった‥‥‥‥
悪魔同士での話し合い、こういうのもあるだろう。
シアンたちに関わる事でもあるが、彼等にとっての面倒事でもあるので、その対処のために動く。
悪魔は悪魔で色々あるようだ…‥‥
次回に続く!!
‥‥‥というか、さらりと犠牲とかそう言う言葉が聞こえたような気がするのだが大丈夫なのか?




