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#32 愚か者への裁きなのデス 後編

……すいません、なんか短くなってしまいました。

SIDEゲルハード


……その場を勢いで逃げた翌日、ゲルハードは自身の立場を理解した。


「し、指名手配だと!?」


 流石に人目には付きたくないので、遠目であちこちを観察していたが、どうやら彼は指名手配の対象にされたらしい。


 ばれないように素早く動き、手配書を読んでみれば‥‥‥そこには彼がしてきたこれまでの不正の数々が記録されており、捕らえるには十分すぎるほどの理由であった。



 ただ、このまま普通に捕まっても明るい未来はないのだが、むしろより最悪な未来をゲルハードは想像できてしまった。


 あの場、ギルドマスターがいる場に、さらに裏ギルドのギルドマスターとやらまでが来ていた。


 裏ギルドは本来、人には言えないような裏社会にある依頼を受けるようなところで有り、表立って利用できるわけではない。


 


 ギルド長であったゲルハードは、色々なわけがあってつながりを持っていたにすぎず、依頼してあのギルドの閑古鳥が鳴くことになった原因を排除しつつ、金の補完が出来そうな使い魔を手に入れる要諦だったのだが‥‥‥‥その対象がどうもタブーだったようで、やらかしたのはほぼ確実である。


 依頼失敗の形のようにはなるが、むしろ手出しをしてはいけない相手を依頼で手出しさせてしまったという、無茶苦茶な無理やりの理論で、裏ギルドからの報復が来るのが目に見えている。


「こうなれば…‥‥逃亡しかあるまい!!」


 流石にまだ隣国まで伝わるまいと思うゲルハードが意を決して他国へ逃亡しようと考えたその瞬間であった。




ガッツゥン!!

「がぶっ!?」


 突然、後部から鈍器で殴られたような感覚があり、そのまま彼は気を失うのであった。











「ぐぅぅっ……うっ、いたたた・・・・・」


 ふと目を覚まし、頭の痛みに呻きつつ、ゲルハードは周囲の確認をした。


 先ほどの痛みの原因は不明だが、誰かが襲撃してきたのは間違いないはずだ。


 だが、引き渡しとかそういう意志ではなさそうで…‥‥どうも周囲が暗いのだ。


 いや、違う。



「これは‥‥‥まさか埋められているのか!?」


 スペースがあったが、わずかな隙間から入ってくる光のおかげで、ゲルハードは自分の置かれた状況を理解する。



 どうやら地面に埋められているようで、その上感覚的に身ぐるみがはがされている。


 しかも、只埋めるのならまだしも、身体が横たえられた状態で、下半身がすーすーすることから、下半身だけが外に出ているのが間違いないだろう。


 要は頭隠して尻隠さず状態。


 その上‥‥‥


「な、なんだ…‥‥ひぎぃ!?」


 急に全身に非常に痒みを感じ始めたゲルハード。


 爪でがりがりと掻きたいが、どうも埋もれているせいか手が動かせずに、痒みに対抗できない。





 と、そこに人の声が聞こえてきた。


『お、なんだこれ?』

『なんだこりゃ?おっさんの下半身しかないな?』


「っ…‥‥た、助けてくれぇぇぇ!!」


 その声を聴き、ゲルハードは助けの声を叫んだ。


 全身身ぐるみはがされた状態ゆえに、人前に出たらまずいことは十分わかっている。


 だがしかし、このままの状態も最悪な結末になる事を予感させたのだ。



……その叫びは、残念ながら聞こえていなようであったが。


『お、看板見っけ』

『何々……「あなたもストレスを発散してみませんカ?新作ストレス解消人形(下半身のみ)をしばき倒す無料体験期間中デス。素手でやるのも良し、触りたくなければ用意された道具を使うのも良し、あなた次第デス」か・・・・・』

『本当だ、ハリセンに、鞭に・・・・・・うわぉ、とげこん棒やモーニングスター、斧まであるぞ』

『いや、斧は流石に不味くないか?いや、でも人形と言うなら人ではないから良いのか?あ、血がじわりとにじみ出る様な表現・それなりの抵抗をするような仕掛けつきとも書いてあるな』

『まさか、本当に人が入っていたりして』

『いやいやいや、それを喜んでやる真正のドMならわかるが、それはないだろう』



「ドM でもないし、やめろぉぉぉぉぉぉ!!」


 必死に泣き叫び、プライドも殴りすててゲルハードは叫ぶが‥‥‥‥その悲鳴は、届かなかった。



バッシィィン!!

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」


すっぱぁぁぁぁぁぁん!!

「ぎえぇぇぇぇぇぇぇl!?」


ざっくぅぅぅぅぅん!!

「おごぉぉぉぉぉおぉ!?」


 思い思いに叩き始められ、ゲルハードは悲鳴を上げる。


 そして、次の瞬間…‥‥男の急所にモーニングスターを当てられたような感覚がし、ゲルハードは人生最大の叫びをあげる。


 けれども、何故かその悲鳴は聞かれず、ただひたすらに、日頃のストレスを晴らすかのようにゲルハードは責められていく。


「や、やめろぉぉぉぉぉぉおぉぉ!!」


ごっ、ぐっちゅぅぅぅぅぅん!!

「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」














・・・・・それから、どれだけの時間が経ったのだろうか。



 気が付けば、ゲルハードは掘り起こされており、素っ裸のままで道に放置されていた。


 だが、あの喰らった痕は消えておらず、非常に強い痛みを感じ、身を一瞬こわばらせるゲルハード。




 しかしながら、その精神は執拗な攻めで壊れてしまった。


「ぐふぁあぁぁぁ。アフフフ……ふわぁぁぁぁぁっつ!!」



 奇声を上げ、ゲルハードはその場を駆けだした。


「ぬっぱぱあん!!すぱぱぱぱぱぱん!!あっふあぁぁぁん!!そんなものがきくかぼけぇぇぇぇl!!」


 叫び続け、全速力で駆け抜ける全裸男のゲルハード。




・・・・・そのまま彼はその場を去っていき、その姿を見た人たちは驚愕しつつも、その顔が指名手配中のゲルハードだと理解した次の瞬間には、彼は去っていく。



 そしてそれから1カ月後、都市アルバスとは違う地、他国にて目撃情報があったのを最後に、ゲルハードの足跡は失せた。


 最後に見られたのは、謎の人物たちに取り囲まれ、眠らされて運ばれていく姿だけだったそうだ……





―――――――――――――――――

SIDEワゼ


「‥‥‥ああ、精神の方が先に崩壊しましたカ」


 ゲルハードの残された最後の目撃情報を聞き、ワゼは興味もなさそうに答える。


「デモ、コレデ充分。ムシロ、ヤリスギデアル」

「そうですかネ?なら、実際に体験してみて、本当にそうなのか試してミマス?」

「イ、イヤ。アア、デハ、サラバ!!」


 ワゼの言葉に、冷や汗を大量に書き、報告をわざわざしに来てくれた裏ギルド長は、素早く去っていった。



「‥‥‥何せよ、もう関係ない話しデス。記憶から削除しておきましウ」


 そう言いながら、ワゼは自身が計画して作り上げた計画書を火にくべ、燃やしていく。


 もう終わった事でもあり、整理整頓も兼ねて焼却処分したのだ。


「ま、今回の件で裏ギルド及び冒険者ギルド本部とのつながりを得られたのは良いですネ」


 そうつぶやきながらワゼは微笑み、シアンたちのために昼食を作っていく。


 


 ワゼにとってのご主人様であるシアンを守るためにも情報を必要とも思っていたが…‥‥このような形で、伝手を得られたのは行幸であった。


 とにもかくにも、ワゼは鼻歌を歌いながら、昼食を作っていく。



「…‥‥」

【あれ?ワゼさん、何でハリセンを持っているのでしょうか?】


すっぱぁぁぁん!!

【いたぁぁぁぁぁ!?いきなり何をするんですか!!私が何をしたというのですか!!】

「すいません、大きな虫がついてましたので駆除しまシタ」

【真っ直ぐ目を見てよ!!思いっきり嘘じゃないですかね!?】


……何やら不満があったのか、ハクロがとばっちりをくらうのであった。


 今回は、本気で何もしてはいないが、一応この騒動の原因でもあり、ちょっと自分よりも目立つことに嫉妬したかもしれない感情をぶつけたのと、おっさん描写では誰も喜ばないと考えたからか…‥‥


 それは、ワゼのみぞ知る事であった‥‥‥‥


この日、一人のギルド長が消えた。

指名手配の紙は貼られ続けるが、もう二度と見ることはないのかもしれない。

何にせよ、この悲惨な末路は裏ギルドの方に伝わって…‥‥

次回に続く!


……そろそろ新章予定。ほのぼのだけど、騒動もいれていきたいのだ。

あ、フェンリル一家、名前を決定中。近日公開予定。お楽しみに。(フェンリル(夫)だけ手抜きにしたいなぁ‥‥‥かっこ悪すぎるのもあれだし、かといってかっこいい名前も似合わないし、いちばん難航していたりする)

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