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#315 着々とこっちは動くのデス

SIDEボラーン王国:王城


【ふみゅふみゅ~♪ふみゅ~♪】

「みーみみー♪」


 ボラーン王国の王城内にて、ヒルドとオルトリンデの二人は鼻歌を歌っていた。


 自身のまだ出る量の少ない糸と、生え代わりで抜けた羽を集めて、ちょっとした作品を作っているのである。


「二人とも、何を作っているにょ?」

【ふみゅふみゅ】

「みー」


 二人の作っている者が何か気になったロールはそう尋ねるが、この説明だけでは今一つわからない。


【ああ、もしかしてぬいぐるみを自作しているのでしょうか?】

【ふみゅ!】

「み!」


 ハクロの言葉に、当たっていると言うようにびしっと彼女達は指を立てた。


【シアンが帰って来るまでに作って、プレゼントしたいんですね】

【ふみゅ♪】

「みー♪」


 シアンが今、国外へ出かけており、彼女達は留守番をさせられていることを、娘たちは理解している。


 できればついていき、他のところももっと見て見たいという欲求があるけれども、まだこの国でさえも分からないところがあるので、大人しくここにとどまったのである。


 その代わりに、せっかくなのでシアンがいない合間に、何かプレゼントでもしてみたいと考え、彼女たちなりに自作しているようであった。


【ふふふ、でもここの編み方はもうちょっとこうしたらいいですよ。羽もこれだとぐちゃぐちゃになってしまうので、まずはこうやって抑えて‥‥‥】

【ふみゅふみゅ】

「みー」

「参考になるにょ」


 その様子を微笑ましく見ていたハクロではあったが、一応こういうモノづくりに関しても、糸を扱う身としてはちょっと手助けをしたくなったようである。


 できれば自分たちで作りたいが、より良いものが作れるのであれば、きちんという事を聞いておいて損はない。


 それに、彼女達の大好きな親たちのうちの母親(ハクロ)なので、しっかりと聞き逃しの無いように、そしてその技を見逃さないようにするのであった。



―――――――――――――

SIDEワゼ&フロン


‥‥‥そしてその一方で、今回はシスターズをシアンの方へ派遣し、王城の方に残っていたワゼも動いていた。


「‥‥フム、案の定というか、きな臭いというか、ダメダメな企みがあるようですネ」


 ここ数日でまとめ上げ、既にシアンの方にも報告した書類を見て、彼女はそうつぶやく。



 現在、シアンたちが招待を受け、向かっているアブリルサーモン法王国。


 その国内情勢などを見つつ、色々と探りを入れた結果、低能というべきか、前例があるのにわざわざやらかそうとしているような動きを見つけたのだ。


「まぁ、この程度ならば対応可能デス。前の悪魔グズゥエルゼの方が歯ごたえがありましたネ」

「いや、アレはアレで結構苦労したでござるが」


 ワゼのその言葉に対して、その報告書から予測されるものを計算していたフロンがツッコミを入れた。


 言葉だけにまとめると簡単そうに聞こえるが、実際に行うと、とんでもなく大変であった。


 他のシスターズよりも若い方である彼女だが、少なくとも新しく作られている分、情報なども共有された分が蓄積され、やや常識なところがあったのだろう。


「それもそうですネ。何にしても、比べても天と地ほどの差がありますが…‥‥フロン、どの程度計算できましたカ?」

「一応、動きを読み取り、送られてくるデータなどを演算処理したところ…‥‥まぁ、数日以内に確実に動くのは間違いないようでござるな。ただ、裏社会の方はツェーンが見ているでござるし、相手の方にはすでに裏切りが出ているでござる」

「裏切りが早いですね‥‥‥事前工作、ちょっと早まりましたカ?」

「重要機密などもたっぷりでござるしなぁ‥‥‥」


‥‥‥事前に予測し、ご主人様であるシアン及びその家族に対する害を排除しようと彼女達は動いていた。


 だが、その予測以上に裏切る動きの方が早く、どれだけ今回の相手が人望無さそうなのか、物凄く理解させられてしまうのであった‥‥‥


「‥‥‥まぁ、こっち側につかせる気もありまセン。裏切るなら裏切るでそのままに、後は自由に生きてもらいましょウ」

「しかしこれ酷いでござるな‥‥‥企み自体も稚拙なものがあるとはいえ、それでも速攻で5割以上とは‥‥裏切りに気が付かれぬのでござろうか‥‥あ、計算したら結果が出てしまったでござる」


シアンのいない間に、ちょっとこっちも動いておく。

けれども、実はやらなくても良かったような気もしなくはない。

何にしても、防止できるのであればやっておくに越したことはない・・・・かな?

次回に続く!!


‥‥‥羽と糸のぬいぐるみって、何を作る気だこの子たち?

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