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#309 真面目なのも疲れたのデス

SIDEシアン


…‥‥もくもくと煙が上がり、怪物がいた場所は何もかもなくなっていた。


 久しぶりに盛大にやらかしたというか、全力で放出したというか…‥まぁ、面倒ごとの元凶を潰したから良いのかもしれない。


『というか、あれで消滅させられたか?』

『明らかに逃げようがなかったが‥‥‥最後の一瞬、スフィンクスとやらの体を盾に粘っていたようだが‥‥‥それでも、直ぐに煙を晴らしても、姿は無いから、何とも言えないな』


 魔力人形を操りながら同じようにしているゼリアスに問いかけると、彼自身もまだわかっていないらしい。


 何しろ、悪魔というのは化ける事も出来、透明化、気体化なども可能性もあるようで、ここからその類で逃げている可能性もある。


『それにだ、あの素振りからみてまだ何かを隠し持っている可能性もあるからな…‥‥消滅を確認するためには、後で冥界にでも出向かなければ分からないな』

『冥界?』

『…‥‥わかりやすく言えば、真なる死者の世界。アンデッドの住む場所とはまた異なる、異界。神々の元へ行きつく先ともまた違い、悪魔はこちらの方へ堕ちるとされる場所だ。あそこを治める冥王はちょっと面倒くさい類だけどな』


 要は、この世界とは別の世界。


 もともと僕のいた世界とも異なり、本物の死が溢れているという恐怖の場所でもあるようで、悪魔が消滅したのであれば、そこに行きついている可能性があるのだとか。



『大悪魔の中でも、俺はそういう異界を渡ることができる力がある。まぁ、基本的には妹への本探しのためにしか使っていないが‥‥‥とにもかくにも、今日はもう疲れた。後で確認しに向かうから、分かったら連絡しよう』

『ああ、なら頼むよ』


 そう答えると、ゼリアスの魔力が消失し、その場から姿を消した。


 まだこの世界でもよく分からないことが多くありそうだが、今は取りあえず消せたかもしれないという可能性を祈るしかないだろう。


「ファ~‥‥‥つ、疲れたファ」

「合体解除、分離デース」

「イー‥‥何とかなってよかった」


 フンフたちもいつの間にか合体を解除し、元の3つに戻っていた。


『お疲れ様。とりあえず僕はここで魔力操作を解除するから、魔力転送装置を一旦ストップするよ。あとはワゼからの指示に従ってくれ』

「「「了解!」」」


 僕の言葉に従い、魔力転送が終了する。


 魔力の衣は霧散し‥‥‥無事に王城へすぐに画面の方へ意識を移すのであった。



―――――――――――――――――――――――

SIDE 05(フンフ)10(ツェーン)11(エィルフ)



「ふぅ‥‥‥あとは、この地下の方面の探索だけファ」

「爆弾などのあったようだけど…‥‥先に固定液の方を流し込んでおいてよかったデース」

「さっさと用事を済ませて、帰還するのが良いイー!」


 戦闘終了後、シアンの魔力も霧散して消えたところで、後始末へ彼女達は取り掛かることにした。


 先制攻撃として、地下の方にあらかじめ持ってきたマグマを流しこんだが、今はもう回収できている。


 センサーなどを稼働すると、どうやら元々この場所を爆破するつもりだったようで、あちこちに爆薬を仕掛けた後があるのだが、すでに使い物にならない状態。


 それに、意外にも頑丈に作っていたようで、マグマ回収後でも、良好な状態のままだった。



「死体も分からないし、完全に消滅したとは思えないけど‥‥‥まぁ、今はこっちをやるのが先ファ」

「しかし‥‥‥思った以上に、すごい光景デース」


 反響音などを利用して探りつつ、実際に掘られていた地下室を探索しているのだが、思いのほかその光景は異様過ぎた。


 肉塊だらけの部屋もあれば、フラスコの中に蠢く何かが保存されている部屋。


 何かの設計図が多くある部屋もあれば、既に廃棄されたと思われる処分場など、悪魔一人で作ったにしては広大過ぎる。



『情報を見る限り、どうやら元々あった小国が、ある計画を立てていて、その施設を悪魔が利用した形のようでござる。0からやるにしてもかなり労力を要するでござろうし、利用できるのであればと思ってやったようでござるなぁ』


 映像の中継を見ながら、フロンからの通信が彼女達に入った。


「計画?」

『小国グラントは、奴隷市場でもあった国であり、その市場はあの開けた場所に多かったでござる。けれども、砂漠のオアシスに作った国とは言え、表面上の気温など、環境面が厳しかったでござる。ゆえに、奴隷の健康状態なども考慮し、観光にも生かせないかと思って、地下の方に道を見出し、あらかじめ掘っていたようでござるよ。まぁ、奴隷たちを使って、長い年月をかけて少しづつやっていたようでござるが‥‥‥』


 結果としては、奴隷市場でのアンデッド発生によりやむを得ず放棄する羽目になり、そのままこの場所は悪魔が利用をすることになったらしい。


 秘密裏に建設されていたらしく、その場所も隠されていたがゆえに、隠れ家としても好都合だったのだろう。


『機器などは、その後に持ってきたようでござる。しかし‥‥‥この技術体系は、ちょっと気になる点も多いでござるよ』

「何がデース?」

『シスターズもとい、拙者たちの生みの親であるワゼ‥‥‥その構造物などのやり方が類似しているのでござる。技術者が違う可能性もあるでござるが‥‥‥』

『‥‥‥私の生みの親である、製作者の研究から盗作されている可能性が大きいデス。つまり、ここの調査を行えば‥もしかしたら、見つかるかもしれまセン』


‥‥‥謎とされてきた、そもそものワゼの製作者。


 この場所の技術体系がどうも似ており、その製作者につながる可能性が大きいのだとか。


『とはいえ、ホムンクルスなどの設備までは予想外デス。今のゴーレムだけでも十分ですが‥‥‥利用できますかネ?』


 今でさえ、滅茶苦茶なメイドゴーレムを量産できているワゼ。


 ホムンクルスの技術も視野に入れると、さらなる広がりもあるだろう。


『まぁ、そのあたりはご主人様に判断してもらうとして、全部持ち帰ってから調べることにいたしましょウ。使えなくなっている爆薬も利用して、撤収時に痕跡を残さないようにしてくだサイ』

「わかったファ!」

「ようやく帰還できるデース!」

「ふぅ、時間かかったイー‥‥‥」


 何にしても、苦労した任務も間もなく終わりが近づき、彼女達は歓喜するのであった‥‥‥


『あ、そう言えば神獣たちはどうしましょウ』

「「「‥‥‥」」」


‥‥‥その問題が残っていることに気が付き、少々頭を悩ませる羽目になるのであった。




――――――――――――――――――――――――――

SIDEゼリアス



「‥‥‥さてと、出来れば消滅してここにいて欲しいが‥‥‥どうだろうか?」


‥‥‥シアンたちがいる世界とは、また異なる世界。


 本当の死が溢れる国であり、地獄とも、神々の場所ともまた異なる冥界にて、ゼリアスはその世界を治める責任者の元へ向かっていた。


 目的は、悪魔グズゥエルゼの消滅を確認するため。


 この世界に落ちたのであれば、確実にいるはずなのだが‥‥‥地道に探し回るよりも、その責任者の元へ出向き、直接聞いたほうが早い。


 だからこそ、彼は今その責任者の元へ行くのだが‥‥‥



「‥‥‥道連れに、あの悪食野郎(預言者)も連れてくればよかったか?いや、無理か。あいつはあいつで、縛られているわけだし‥‥‥あの世界の魔王に関しては、アレは生者でもあるから死者の国でもあるここには来れないし‥‥‥結局俺一人か…‥‥」


‥‥‥その責任者は、非常に面倒な人物。


 いや、人ならざる者でもあるので人物と言う言葉が正しいのかは分からないが、とにもかくにも誰か生贄が欲しい。


 一人で来たのは悪手だったかと後悔しつつ、どうにかできないかと考えるのであった‥‥‥‥



無事に戦闘も終え、地下の研究データなどもお土産になった今回の騒動。

消滅できてればいいなぁと考えつつ、ようやく平常運転に戻る。

とは言え、騒動の火種というのはぽんぽんっとでてくるもので‥・・・

次回に続く!!


‥‥‥そもそもゼリアスがなぜそこに行けるのかという話もあるが、細かい話しなのでやめておこう。

アレはアレで、特別ゲストなんだよね…‥‥アルファポリス様の方のみに掲載している作品の登場人物だったりする。まぁ、今は都合上連載がやや停滞中だが‥‥‥

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