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#308 たまには真面目に戦闘death

‥‥‥スフィンクス。


 それは普通のものであれば、人の頭に獅子の体、場合によって鷲の翼が生えている生物。


 だが、シアンたちの前に現れたのは、その定義を崩すような化け物。


【アンギャァァァス!!】


 ぎょろぎょろと数多くの目玉を動かし、胴体は獅子でありながらも、ゴリラのように筋骨隆々とした手足を振り下ろしながら、大きく叫ぶ怪物。


 名前だけがその名称を当てられただけのようだが、それでも迫力はあった。



 咆哮し、そのすぐ後に行内に赤い光が充填され始め、攻撃の予兆を見せる。


 その動きを察知し、射線から素早くシアンたちが逃れると同時に、強烈な光線がほとばしった。




ビギュウウウウウウウウン!!


 光線の音でありながら、大気すら焦がす音を立て、地面に突き刺さり、そのまま線を描く。


 そして数秒後に、直撃した地面がドロドロに溶け‥‥‥


ズッバァァァァン!!


 まるで火山が出来たかのような大爆発を起こし、マグマを吹き上げた。



「はははははは!!ちょっと動作がやや遅めだが、威力は十分だ!!」


 そのスフィンクスの頭頂部に立ち、悪魔グズゥエルゼは高笑いを上げる。


 今のは単なる試射であり、次の動作からは予兆を見せず、次々と光線を放ち始める。



『‥‥‥ちっ、予備動作なしですぐに撃てるのはちょっと不味いな』

『生半可な攻撃も、効きづらいか』


 口の動きを見て、フロンからの素早い着弾予測により、かわすシアンたち。


 だが、火や氷、雷などの魔法を放ち、場合によってはその辺の瓦礫を全力で投げるなどを行うも、スフィンクスにはどうも効果が薄い。


 魔法に対する耐性が高いのか、それとも頑丈に作られているのか…‥‥おそらくは、どちらもあり得るのだろう。


「ははははははは!!どうしたどうした!!消滅させるとか言っておきながらも、この兵器に手出しできていないじゃないか!!」

『なんか性格変わってないか?』

『アレが素か、もしくはテンションが上昇しているだけだろうな』


 グズゥエルゼの笑い声に、イラつきを覚えつつも、現状は近づけない。


 スフィンクスの手足がゴリラ並みになっているのは出てでもなく、接近するだけで素早く手足を動かし、風圧だけで強力な圧力をかけてくるのだ。


 また、その目が数多くあるだけに視野も広く、死角から攻めようにも攻めきれない。


 強力な脚力をもって跳躍し、すぐそばに来て光線をぶっ放し、手足を動かして潰そうとしてくる。


 圧倒的な戦力を得て、形勢はやや不利なようだが…‥‥力ずくなこの戦闘に、シアンたちはすぐに慣れた。



『まぁ、ある程度動きも分かったし…‥‥効果がありそうなのも分かったな』

『数多く打ち込む中で、効くのは2種類ぐらいか』


 避けつつも、魔法や物理の攻撃で相手の耐久を調べ、シアンたちは適切な攻撃手段を導き出す。


 この小国グラントで、アンデッドが多かった原因に、あの悪魔の何かの研究があり、その研究成果がスフィンクスに活かされているようだが、だからこそ導きやすかったのかもしれない。


『死体を使ってるのか、光と聖の魔法が一番効果があるか』

『破損しても修復するが、この2種だと遅いからな』


 人造生物のような怪物だが、根本が死体などから得られたデータで作っていたのか、弱点がアンデッド系統のモンスターと同様。


 正確に言えば、ある程度の耐性を持っているようだが、それでも他の種類の魔法などに比べて効き目が強い。


『僕の場合は、今代の魔王らしいけど光の魔法なら使えるし』

『俺の場合は、大悪魔だが、それでも聖の魔法なら扱える』

『『それじゃ、それでいこうか』』

「「「ファファファ、ならばこちらはそのまとめるための砲を作るよ!」」」


 互いに使うべき魔法を絞り込み、その一手にそれぞれ集中し始める。


 フンフたちシスターズの合体も補助をしつつ、タイミングを計る。



「あははははは!!今さらどうしようが、こいつにはかなうまい!!やってしまえスフィンクス!!」

【アンギャァァァァァァス!!】


 シアンたちの動きを読んだのか、グズゥエルゼの指示に従い、口内へ先ほどとは比較にならないほどのエネルギーを充填し始める。


 だが、その動作には時間が多くかかり、発射までには魔法も十分出来上がる。


「さぁ!!やってしまえスフィンクス!!」

【アンギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!】


 その声と同時に、超極太かつ濃縮された光線を、スフィンクスは解き放った。


 一直線に突き進む先は、シアンたち。


 だが、命中する前に、フンフたちの合体フォルム「ローズクイーン」の茨が大きな大砲のように軌道を固定し、それに乗せて魔法が放たれる。


『最大出力「ギガ・ライトカノン」!!』

『最大浄化「偽物の聖剣フェイクエクスカリバー」!!』


 目には目を、歯には歯を。そして光線には光線というかのように、純白を越えた強烈な二つの光線が軌道に乗り、ひとつの巨大な光の砲撃として突き進む。


 真正面からぶつかり合い…‥‥そして、シアンたちの攻撃が貫いた。



「なんだと!?」

【アンギァァァァアス!?】


 迫りくる巨大な光の一撃に、怪物どもは驚愕する。


 グズゥエルゼは逃げようとするが、その時自身の足元が動かないことに気が付いた。


 みれば、何やらねばねばしたものが付いており、ほのかに甘い香りを放っている。


「「「ファファファ!!薔薇の蜜での拘束ファ!!」」」


 先ほどまでの戦闘の合間に、いつの間にか固定するために仕掛けられていた罠。


 スフィンクスから降りる間もなく、その膨大な光の奔流が迫り…‥‥直撃する。



ドォォォォォォン!!


 強烈な光が着弾し、天高くまで大きな光の柱を打ち上げる。


 怪物は飲み込まれ、悪魔も飲み込まれた聖なる光の一撃。


 それは周囲一帯を一気に照らすほどであり、残っていたアンデッドたちすらもその余波によって浄化され

還っていく。



‥‥‥その一撃は、神が大地へ落した光の鉄槌。

 

 けれども、その撃った者たちは神とは異なる、魔王と悪魔。



 だが、その光景は何処か美しく、近隣諸国からも目撃され、人々の心に感銘を与えるのであった…‥‥‥



神ではなく、この世界の魔王と大悪魔が放った聖なる一撃。

それでも神々が放った鉄槌のように見える光景は美しく、近隣諸国でも目撃され、人々に感銘を与えた。

敵を完全に叩き潰す、消滅させる、殲滅させる思いで行ったが‥‥‥果たして‥

次回に続く!!


‥‥‥短いけど、割と真面目な戦闘回であった、久しぶりにまじめにやったような気がするんだけど、やっぱり他の小説家の戦闘描写に比べると、まだまだだよなぁ‥‥‥

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