閑話 苦労するからこそ見合う成果があると思いたいのデス
新元号、令和‥‥慣れるまでが大変かな。
‥‥‥カルパッチョ商国、王城内。
先日、国王が崩御し、色々あった末に第1,2王子は王位継承権が消えうせ、新たな国王として、第3王子のトパーズが就任した。
そして戴冠式を経て正式に国王となり、国内の様々な部分に改革を入れ始めていたのであった。
「ふぅ‥‥‥兄上たちもいなくなり、こうして政務に励んではいるが、かなり直せる箇所が多いな」
「ええ、そのようでございます。先代の国王陛下の場合、仕事の大半を押しつけたりして分散していたようですが、それでもいくつかごまかしなどするために、増加していたところがあったようですからね」
大量の書類を一旦片付け終え、ひと段落したところで、執務室にてトパーズはそうつぶやき、お茶を入れながら執事のセバスジャンは答えた。
カルパッチョ商国はいわば商人たちの国。
国王という存在はやや飾りに近いけれども、それでも国の重要人物であるがゆえに、それなりの仕事があった。
だが、トパーズの先代‥‥‥彼の父であった亡き国王は、どうもその仕事の一部でサボっており、監視が緩められたせいで様々なごまかしが生じ、その部分を見えないようにするために、わざといらない仕事があった個所が見つかったのである。
本日はその分の監査及び見直し、仕事の再振り分けに新しい事業への展開などの確認などを行い、やや疲労を覚えていた。
「まぁ、何にしてももはや亡き父とは言え、それでも国の王からの負の遺産だ。きちんと清算し、整えなければいけないからな」
そう言いながら、用意されたお茶を飲み、トパーズはそうつぶやいた。
「ええ、しかし坊ちゃまが国王になられてからというもの、あちこちでの改善点が見つかり、国内の動きが良くなりましたな」
「ああ、ある程度の反発も予想していたが‥‥‥それでも、案外少なかったな」
前王の政治はややいい加減なところもあったので、色々好き勝手やっている者たちがいる事もトパーズは把握していた。
彼に王位が移り、そのせいで好き勝手出来ないという事で、一定数程度の反発はあるかと思っていたのだが、案外その反発が見られない。
「まぁ、商人であるがゆえに計算高いというところがあるのでございましょう。坊ちゃまの兄たちに付いていた者たちもいましたが、きちんと計算し直して、今は坊ちゃまにしっかりと就いていたほうがいいと判断したのでございましょうなぁ」
「それもそうか」
この国が商国である利点としては、その部分があるだろう。
商人たちが多いがゆえに、彼らは互いの商売などに敏感に反応し、今の王がどの様な者かしっかりと計算できる。
悪徳商人とか、そう言った類もいるかもしれないが、それでも一応彼らは商人であり、自分たちの利益などを判断して動くのである。
その判断によっては、今の王では好き勝手出来ないと思っていたとしても、短期的には見ずに、長期的な目で見て下せる者も多かったりするのだ。
ゆえに、反発する者たちがいたとしても、それは短期的な分でしか計算できない者たちであり‥‥‥
「使える者は使うが、いらない者は切り捨てる。でも、そんなことをしなくても勝手に自滅していくからなぁ」
商売とは難しい者であり、その判断の失敗によっては破産に追い込まれる。
実際に、現時点でトパーズに反発する者の中には、既に破滅への道に歩んでしまっている者たちもいるのだ。
「何にしても、この程度であれば問題ないな。次の仕事をよこしてくれ」
「はい、わかりました坊ちゃま」
もうすでに国王となっても、この主従関係は変わらない。
その事に安心感を覚えつつも、トパーズは軽い休憩を取っては、すぐに仕事に励む。
「今のうちにできるだけしっかりとしておけば、彼女が来た時に色々とやれるからな。しっかり改善せねば」
「ええ、そうしましょう」
トパーズの婚約者であるヒルド‥‥‥まだ幼き魔王の娘の姿を思い出し、やる気をどんどん起こさせる。
恋とは暴走超特急と見つけたり、と悟っているようなトパーズであり、その婚約者が将来ここで住まう際に何不自由することもなく、なおかつ差別的な者や狙うような馬鹿者たちも処分するために、仕事にどんどん励んでいく。
‥‥‥将来的に、前国王以上の業績を成し遂げ、トパーズは国民に親しまれる王となる。
そのついでに、その原動力が大事な婚約者であることも伝わっていき、情熱的な王としても有名になっていくのは、また別のお話。
「そう言えば、今度新しい商売企画などもあったか?」
「はい、そうでございますね。今までの商売は物を売ることが多かったですが、ボラーン王国の温泉都市のように、サービスを売る事を目的としたものもあるようです。出された企画案が、こちらでございます」
「ふむふむ‥‥‥テーマパークなどか‥‥‥良いかもしれないな。では、こちらの方も建設などを許可しつつ、採算がとれるかどうかなどももっと見直すようにしてくれ」
「わかりました」
「ああ、ついでにだが…‥‥彼女の方から送られてきた、メイドゴーレム製造番号12…‥‥ツヴェルフだったか?そっちには視察及びこちらのリストにした商人たちの抜き打ち監査をやるようにとも言っておいてくれ」
…‥‥ついでにだが、新たなシスターズが送り込まれており、コチラはコチラで色々と行われもするのだが、それもそれで別のお話だったりする…‥‥
さらっとシスターズ11抜かして12が送り込まれていた。
何にしても、商国の方は、今後発展していくだろう。
まぁ、魔王(父親)としては、それはそれでいかもしれないが、やはり複雑な気分だろう‥‥‥
次回に続く!!
‥‥‥むしろ政治的にこの王子に変わってよかったんじゃ?第1,2王子の様子を見る限り、こっちが王になっていたらそれこそシアンたちにとって非常に迷惑な存在になって、国滅亡だったかも。




