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#287 できれば昼間にデス

SIDEシアン


‥‥‥夜中になって、皆が寝始める頃合いでのこの騒動。


 しかも、人が多い首都内でのことであり、炎上している場所もあるから犠牲者もある程度は覚悟したほうがいいとは思っていたが…‥‥



「‥‥‥妙だな?人があまりいないような‥‥‥」


 王城からびゅんっと魔力の衣で作った翼で飛行し、元凶の元へ向かっているのだが、道中で人の姿をあまり見ない。


 いや、逃げている者とかは見る事は見るが、その数が少ないのだ。



 首都内だから、それなりに人がいていいはずだが‥‥‥寝ているのか?いや、既にいないのか?


 何にしても、今はその元凶をどうにかしなければいけないので、速度を上げて接近する。





「‥‥‥うわぁ‥‥‥なんじゃありゃ」


 ある程度目視可能かつ、安全かもしれない高度まで来たところで、あの衝撃波や震動の元凶の姿を捕らえた。


 夜中ゆえに月や星明かり程度だが、炎上している黒い炎はそれなりに周囲を照らすようで、元凶の姿をそこに浮かび上がらせる。


 全体的に人型と言っていいのだが…‥‥容貌がどう考えても人ではなかった。


【ぶじゅうるるるるるる!!】


 不気味な咆哮をあげている、大体全長3~5メートルぐらいの大男。


 だがしかし、全身真っ黒の黒子のような感じでもあり、わかる点としては大きく口が裂けて牙が覗き、目の部分はサッカーボールサイズというか、虫の複眼‥‥‥わかりやすく考えるのであれば、巨大なトンボのような頭をしているだろう。


 その上、手に持っているのはその体よりも大きな剣であり、こちらの方はより一層不気味である。


 何しろ、剣の刃から柄の部分、いや、全部をぎっしりと何か粒のような物が‥‥‥


「いや、目玉か?」

 

 充血した目玉〇やじが何人も生えているような、どう見ても醜悪すぎる代物であった。



【ぶじゅるるる、ぶじゅううううううううう!!】


 っと、ここで空から見ていた僕の姿に気が付いたのか、その謎の大男は目玉の剣を構え、大きく振り下ろす。


 その軌跡にそって黒い衝撃波のような物が産まれ、飛んで来た。


ゴウッ!!

「うおっと!?」


 かろうじてかわすも、シャレにならない速度。


 しかも一撃では終わらず、何度も振りかぶっては衝撃波を生み出して、乱発してきた。


【ぶじゅ!ぶじゅうるるるる!!びゅずううううううううう!!】

「はっと、よっと、へっと、おっと!?」


 何とか避けているが、このままだと不味い。


 そうこうしているうちに‥‥‥


じりっ!じゅぼうっつ!

「げっ!?」


 かわしきれずにかすった個所の衣が、瞬時に溶けて霧散した。


「おっとっと!?やばい落ちる!!」

【ぶじゅるるるるるる!!】


 バランスを崩し、落下し始めるとその謎の大男はコチラへ向けて走り出す。


 落下地点で攻撃するのか剣を構え直し、刃の先を向けてくる。


「ぐっ、どう考えても不味いだろ!!『ボムフラッシュ』!!」


 落下地点をずらし、なおかつ一旦相手の視線から離れるために、素早く魔法を発動させた。


 爆発と閃光を混ぜたような魔法は瞬時に効果を発揮し、爆風が生じて反動で僕の体も吹っ飛び、落下地点がずれる。


 しかも、月明りなどの弱い光しかないこの場所で、こんな閃光を当てれば当然‥‥‥


【ぶじゅわぁぁぁぁぁっぁぁぁあああああ!?】


 例えるのであれば、目をやられた某大佐のごとき状態へ、相手は陥った。



 だが、これは悪手だったようだ。


【ぶじゅわあああああああ!!】

「いっ!?」


 見えなくなったのであれば、広範囲で無差別的に攻撃すればいいとでも思ったのか、急に体を回転させ、黒い衝撃波を乱発し始める。


どんどんどんどんどんどどどどん!!

「無茶苦茶だろ!?」


 あっちこっちに飛んでくる黒い衝撃波。


 足が付く分かわしやすくはなるが、あの状態だと迂闊に近づけない。


 よく見れば、剣の生えている目玉たちも光にやられているようで、漫画表現とかにあるような×が付いているが…‥‥今はそんな部分を気にしている場合ではない。


「とりあえず大人しくなれ!!『サンダーボム』『アイスランス』『ファイアレイン』!!」


 どうにかして無力化させるために、魔法をこちらも連射して命中させようとする。


 だがしかし、どういう訳かあの剣ではじかれると魔法が霧散し、効果を無くす。


 まるであの聖剣のような感じもするが‥‥‥あのパッとしない打撃武器のような剣があんなものになるのは想像つかないし、何か別物のだと思う。


 何にしても、このままではらちが明かない…‥‥そう思っていると、ふとあることに気が付いた。


 

 ぐるぐる回転して、衝撃波を乱発しつつ、周囲からの魔法もついでに消し去っている謎の大男。


 だがしかし、考えて見ればこれ全部「横からの攻撃」であって…‥‥


「‥‥‥もしかして」


 回転している様子を例えるのであれば台風であり、その台風の周囲を衝撃は謎が渦巻いている。


 でも、台風であるならば弱点ははっきりしている。



「‥‥‥直撃できると良いが‥‥‥」


 横からの魔法を連射しつつ、その思いついた方法に賭けて、準備を施す。


 水と火を合わせて水蒸気を発生させ、上にあげて冷やし、雲をつくりあげる。


 そこに、ちょっと電気の魔法を混ぜて雷雲と化させ、成長させて大きくしたら…‥‥


「喰らいやがれ!!単純明快な『サンダー』!!」


 電撃の魔法を雷雲へ向けて放ち、一気に電気を限界容量まで貯めさせる。


 そして、小さく一発の魔法でショックを与えた次の瞬間!



ドンガラガッシャァァァァァァァアン!!

【ぶじゅわあああああああああああああああああああああああああああああああ!?】


 都合よく大男の真上に‥‥‥そう、攻撃しつつも死角となっていた場所へ大きな落雷が生じ、見事に直撃した。


 剣ではじくこともできずにまともに浴びたが‥‥‥それでも、大男は立っていた。


 だが、落雷で痺れたせいか動きは鈍くなり、衝撃波の乱発がやみ、隙が生じる。



「今だ!!」


 だっと駆けだし、相手が攻撃に移る前にとどめを刺す。


 氷の魔法で巨大な氷の腕を生じさせ、ついでに直撃場所へ爆発も引き起こせるようにする。


「『アイスブレイクインパクト』!!」


 ドッゴォォォォォン!!っと綺麗にクリーンヒットし、直撃した場所へ予定通りの大爆発が生じる。


 そのまま氷が砕けると共に、飛んでいく破片がぶっ飛ぶ男よりも早く貫き、死体蹴りの状態になってしまう。


 そのまま2,3度ほど地面にバウンドしたあと、大男はそのまま剣を放さずに、ピクリとも動かなくなるのであった…‥‥


「‥‥‥ふぅ、思ったよりも効いたけど‥‥‥何だったんだコイツは?」



――――――――――――――――――――――

SIDE神聖国:神殿内



「…‥‥はぁ?」

「…‥‥まぁ、こうなるとは思っていたよ」


 丁度その頃、映し出されていたその光景を見て、紫ローブの男はマヌケな声を出し、預言者の方は納得したようにそうつぶやいた。


「嘘だろ?あの大男がこんなにあっさりと…‥‥攻撃力とかも半端なく上がっていたのに、こんな魔法でぶっ倒れるだと!?」

「妥当な結末だとは思うけどね。何しろ攻撃があっても知能が残念になっていたからなぁ」


 ローブの方は信じられないというようにそう叫ぶが、預言者はなんとなくその結末は見えていた。


 これがもうちょっと理性ある怪物のような物であれば、あの攻撃などにも対応できたかもしれないが‥‥いかんせん、頭脳が弱かったようで、全然防ぎきれていなかった。


 しかも、攻撃だけ上げていても意味がなく、あの剣ありきの防御であれば、その隙をつくような攻撃にあっさりやられるのも無理はない。



「くそうくそうくそう!!大失敗だ!!成功したかと思ったのに魔王が勝つとは!!」

「雑魚過ぎるような感じにも見えたけど‥‥‥‥何にしても、結果は変わらないよ」


 まだまだ信じ切っていないのか叫ぶローブの者に対して、預言者はそう声をかける。



「何にしても、実験失敗映像はお笑い草だね。しかもこれで調べられたら、君の事もすぐにバレるだろうし‥‥魔王を敵に回したことに関しても、色々とやばいから今から逃亡したほうがいいとは思うよ」

「ぐぬぬぬぬ、だが、そう簡単にバレることはない!!やれ本体!!」


 そう叫んだかと思うと、映像の撮影者側に動きがあった。


 手のような物が映し出され、何か弓矢のような物を打ち出し、目玉だらけの剣にぶつかる。



ぼっかぁぁぁぁぁぁぁん!!


「どうだ!!これで証拠隠滅完了!!という訳で、今から撤退するのでさらばだ!!」


 映像が消えうせ、ローブの者の姿も瞬時にその場から消え失せる。



 あとに残されるのは、預言者一人のみ。



「‥‥‥普通は本体の方に命令もしないとは思うけどね。まぁあれでうまく言って居ると思ったら間違いか」


 最後の映像で、証拠となり得そうな剣を爆破していたが‥‥‥おそらくうまくいってないだろう。


 それなりにあの魔王関係者との交流を持っている中で、そう都合よくいくことはないと預言者は知っている。


「何にしても、これで逃げ切って終わりだとは思えない。あの魔王の周囲は色々と凄いし‥‥‥精々、冥福を祈らせてもらうか」


‥‥‥結局、今代の魔王に対して喧嘩売るだけで合って、何がしたかったのかいまいちわからない。


 あの実験結果を見せて自慢したかっただけなのか、はたまたは…‥‥


「‥‥‥その力を見てもらって、こちらを協力させて、次はあれ(・・)に対して攻撃を仕掛けようと思っていたのかもしれないけど‥‥‥もともとやる気はないしな。うん、というかむしろ魔王と交流を持って、協力してもらえた方がまだ可能性はあっただろうなぁ」


 預言者は知っている。あの紫ローブの最終目的を。


 もしかしたら、今回の事はその目的のためにまた(・・)動こうとして、その初々しい幕開けにと考えていたのかもしれないが‥‥‥まぁ、大失敗しそうな予感ぐらいはしていた。



「こちらとしては、腐った魂を持つ者が食べれればいいけどね…‥‥」


 その目的が何であれ、協力する気はさらさらない。


 何にしても、こちらはただ単に、あちら側からの交渉があれば情報を提供するのみである…‥‥


ひとまずは、無力化したと言っていいのかな?

でも、何だろうかこの化け物じみたやつは‥‥?

何者かの作為を感じつつ、次回に続く!!


‥‥‥なーんか消化不良というか、スッキリしないな。何者だろうか、あのローブの人。

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