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#280 違う人から見れば別物デス

SIDEシアン


 魔王特攻、されどもなまくらな聖剣。


 安全を考え、ワゼによって剣はハルディアの森の家横湖の地下にて、詳しく調べられることになった。



 湖の底の聖剣‥‥‥字面だけ考えるとちょっと良いが、性能を知ってしまうと微妙さしかない。


 そうこうしているうちに、無事に解析が済んだようであった。



「‥‥‥魔王特攻以外では悲惨な性能ですが、技術力の向上には役立ちまシタ」

「それ以外で悲惨な性能なのに、役に立ったのか?」

「エエ」


 なんでも、聖剣を調べると未知の技術のような物が多く、それらを少しづつ解析するだけでも、ワゼたちの技術レベルが何段階かアップできるらしい。


「聖剣の話や、聖国の預言者などにも情報を求め、照合して見ましたが‥‥‥まぁ、なんというか、これ一つが争いごとの種にもなりますね」


 






…‥‥いわく、聖剣自体が争いの種になる事は多かったようだ。


 聖剣は現在、誰でも扱えるようだが、過去の例を見ると聖剣を抜いて勇者となるものはいたらしい。


 悪の魔王時代に聖剣を求め、引き抜き、魔王討伐の旅に出る…‥‥よくある王道の話だろう。


 魔王以外には思いっきり害をなさないような打撃武器ではあったらしいが、記録によれば魔王特攻を封じて、その分を攻撃にして戦うなんて方法もあったらしい。


「今は失われているようですが、大昔はその手法で道中の強敵を消し飛ばしているようデス」

「消し飛ばす?斬り飛ばすとかじゃなくて?」

「何でも、魔王特攻を封じて攻撃に回すと、そのエネルギーがあふれ出して噴き出すそうなのデス。そのため、当時の振るわれた様子の記録でも、このように使用するたびに辺りがそのエネルギー波に吹き飛ばされ、使うのは最終手段のようにされていたようデス」


 わかりやすく言えば、魔王特攻であればただの魔王に効果抜群な剣。魔王特攻を封じて攻撃に集中させると無差別極太レーザー砲台になったそうだ。


 もっとわかりやすく言えば、某腐った巨神兵か?歩く胴体部分が剣で、「焼き払え!!」で出るビームがそのレーザー部分だろうか。



 何にしても、使うたびに周囲はあれ、場所によってはそれだけ激しい激闘であったと脚色されることもあったらしい。


 で、魔王討伐の旅に出た勇者が無事に魔王を討伐し終えると、聖剣は砕け散って消え失せ、再び次の聖剣がどこかへ生まれるそうである。


「魔王の存在を表す剣‥‥‥そういう意味でも魔剣とも言えますが、それでも字面が悪いのか、聖剣でごまかしている記録が多かったですネ」

「まぁ、歴史は都合で書き換えられることも有るからね」


 なお、聖剣名なども記録によって違うようだ。


 エクスカリバーとか、デュランダルとか、アロンダイトにフラガラッハ‥‥‥何だろう、この前世の世界であった聖剣にありそうな名前シリーズは。


 絶対にどの時代の聖剣にも、転生者が名付していそう。しかも一部は魔剣イメージのものもあるじゃん。


「総合ではエクスカリバーが一番多いようデス。魔法名として記録されてもいますが、この魔法自体は一部しか扱えず、そこまで広がってもないようデス」



 何にしても、聖剣が出るたびにそれを扱うとされる勇者も出てきて、魔王討伐する例があるのは良く分かった。


 だがしかし、その勇者が討伐するのは主に悪の魔王。善や中立に関しては早々出る幕もないはずなのだが‥‥‥


「‥‥‥それでも、いつの世も愚かしい事を考える者はいたようデス。聖剣を見つけ、自らを勇者と名乗って好き放題するという例や、魔王を脅す道具として扱う者たちもいたようデス」

「うわぁ‥‥‥これまた王道というか、邪道というか…‥‥」


 聖剣扱いなはずなのに、周囲にとって非常に迷惑な騒動の種にしかなっていない例もあった。


 悪ではないのに、魔王という事で脅し、その力を自在に扱おうと企む例や、勇者扱いになって好き勝手しようとする者…‥‥それ、もはや勇者ではなく愚者であろう。


 しかも、被害も大きいようで、場合によっては善や中立の魔王が悪へ転じて、世界崩壊手前までの例もあった。


「というか、善や中立が悪へ転じるって‥‥どれだけ酷いことがあったのだろうか」

「ご主人様に簡単に言うのであれば、奥様方を穢されたり奪われたりするような目ですネ」


‥‥‥ああ、そりゃ無理もないか。そんなことされたら僕も悪に間違いなく堕ちるだろう。


 一応、そういう愚か者どもには各自悲惨な末路があり、聖剣を奪うなどして勇者となったものに討たれたり、悪へと転じた魔王たちに復讐されて滅亡するなど例は多くあった。


「‥‥‥いや、多くあってほしくないなぁ。というか、それなら今の時点で僕らもちょっと不味い?」


 今の僕の立場上、中立の魔王。


 聖剣による魔王特攻はもう分っているし、そんな代物があると知られれば狙われる可能性は非常に大きいだろう。


「そうですね‥‥‥しかも、ちょっとばかり面倒事はもう出てマス」

「というと?」

「‥‥‥剣に関することは剣の方にでるというか、その道の人にかかるというか‥‥‥情報統制及び機密事項として扱っていたはずですが‥‥‥既に漏れてますね」


‥‥‥ええ?


 身内だけで話していたはずなのに、漏れているってどういう事だ?



――――――――――――――――

SIDEヴェールヌイ騎士王国:王城


【‥‥‥ふむ、陛下から声をかけられるとは久しぶりですが、何かあったのでしょうか?】

「ああ、ちょっとな‥‥‥」


 ボラーン王国の友好国でもある、騎士たちの国として有名なヴェールヌイ騎士王国。


 その王城の謁見室にて、玉座に座りながら深い溜息を吐く国王ボンドルアの元へ、第3女性騎士団団長のルルは呼ばれていた。



 騎士王国は清廉潔白な者たちが多く、基本的にまじめな者も多い。


 だがしかし、真面目さというのははき違えると色々と厄介事の種にもなり、面倒事を引き起こしてしまう事もあった。


「先日、ボラーン王国で新女王が誕生したことは、既に知っているな?」

【ああ、存じております。わたしの義理の妹のつがいが、更にその女王と王配ともなっていることもです】

「その王配が今代の魔王だとか色々というが…‥‥まぁ、そこは問題なかった。中立という立場でもあり、王配ということで政治にも深くかかわらず、その立場上問題もないからな。だがしかしな、『魔王』という面だけを見て、息子の一人がやらかそうとしてた情報を、先ほど掴んだのだ」

【…‥‥やらかそうと?】

「そうだ。魔王というのにも、悪やら中立や善など、ひとえにくくることができないのは分かっている。今代の魔王とやらも中立の立場らしいので、こちらから何もしなければ特にないという位はな。だがしかし、我が息子の一人‥‥‥真面目過ぎるレパークがなぁ‥‥悪を悪と決めるのは良いが、真面目過ぎて一括りにしがちな暴走癖のせいで、魔王をすべて悪と思ってしまったようでな、どうも先ほど抜け出して、一人向かったという情報が入った」


 この国の第1王子‥‥‥綺麗好きでもあり、真面目でもあるレパーク。


 それが先日のボラーン王国での新女王誕生の話を聞き、その女王の相手が魔王と聞くや否や、飛び出して向かって行ってしまったというようだ。


「相手がどの様な魔王なのか、その中立以外の情報は少ないのだが‥‥‥あの息子はちょっと視野が狭いからなぁ。ゆえに済まぬが王命として息子を連れ戻してきてほしい。あの様子だと、女王の王配という立場を考慮していない分、でかい国際問題を引き起こしそうでな…‥‥」

【‥了解いたしました。では、先に回り込みましょう。本当は数日後に有休をとりたかったのですが‥‥】

「うむ、そこは考慮してある。王子を捕え、送り返した後は有休を倍以上にして与えよう」


 何にしても、王子が迷惑をかける前にどうにかして連れ戻したほうが良さそうである。


 仕方がないというべきか、国王の苦労も真面目さからくる気苦労などを察し、ルルは引き受けるのであった…‥‥



ああ、既に面倒事は目を覚まし、迫って来たらしい。

聖剣、埋めてやろうかと思うも、放置はできないだろう。

ついでに、向こうは向こうで苦労があるようで…‥‥

次回に続く!!


‥‥‥お久しぶりの、ハクロの義理の姉登場。でも考えてみると、ハクロのつがいであるシアンにとっても義姉とはなるが、ミスティアからするとどうなるのかねコレ?

あ、ヒルドとオルトリンデからは叔母?

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