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#245 まとめたほうが楽な事もあるのデス

SIDEシアン


‥‥‥予定というものは、色々と都合よくいかないこともある。


 とはいえ、そういう事があるからこそ、万全の態勢を取るのであり‥‥‥‥


【‥‥‥‥みっ!?痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】


 例え夜中に絶叫が聞こえても、すぐさま対応できるようにしているのであった。






「…‥‥っ、まだかまだか」

「うろついていてもだめですわ。こういう時こそ落ち着かなければいけません」

「おとうしゃん、心配なのはわかるけど今はワゼたちに任せるにょ」

「そう言われても、やっぱり落ち着けないよ」


 ミスティアやロールにそう言われるが、僕は落ち着けない。


 産卵予定日よりもちょっと早いが、どうもハクロが産気づいたらしい。


 まだ夜中であったが、あくまでも予定であったことは仕方がないので、今はワゼたちによって別室で産卵の補助を彼女は受けていた。


 


 一応、初めての事であるということと、出産というよりも産卵なので慎重になる事が多く、現在僕らは彼女の部屋に立ち入れない。


 そうこうしているうちに、ハクロのうめき声がだんだんと収まり、静かになった。


 そして数分後、ワゼが部屋から出て来た。


「ワゼ!ハクロの容態は!?あと卵!」

「…‥‥大丈夫です、ご主人様。無事に産卵し終えまシタ」


 そう告げるワゼの言葉に、僕らはほっと安堵の息を吐く。


「今回は激痛を伴ったようですが、調べて見たところ初の経験という事で卵の通り位置が狭く圧迫されたことが原因のようデス。けれども、卵自体に異常はなく、割れることなく出ましタ」


 無事に産卵できたようで、直ぐに僕らは入出した。


 そこにいたのは、ベッドに寝かされているワゼと…‥‥その横には、しっかりとこの時のために作られた専用の保温ケースに収められている卵があった。


【シアン…‥‥無事に産めましたよ‥】

「うんうん、頑張ったねハクロ‥‥‥」


 初めての経験ゆえか、相当体力を消費したようで弱々しいハクロ。


 だけど、しっかりと生きているようで伸ばされた手を握り返し、その温かさを認識する。


 そして卵の方は…‥‥



「…‥‥2つか」

「一気に二人分の姉になれるにょ!」

「というか、これ卵なのかしら?」


 ケース自体は透明なので中の様子は見える。


 今回、ハクロが産んだのは卵2つのようだが、両方とも色が違っていた。


 それぞれ金色と白‥‥‥いや、光沢的に真珠色とでもいうべきだろうか。普通じゃお目にかかれないような色合いである。



「分析しましたが、詳細不明デス。どうもこの卵自体に機密保持みたいな機能があるのか、全てはじかれマス」


 そのせいで卵の数自体も把握できなかったようで、こうやって2つあるのも驚きだが、中身はまだ不明なのだとか。


 何にしても、無事に産んでくれたのであればそれでいい。


【シアン‥‥‥ちょっと卵を抱かせてください】

「ああ、わかったよ」


 一応ワゼに確認を取り、普通に手で抱いても大丈夫らしいことを説明され、ハクロに手渡す。


 二つともそれなりの大きさなので落とさないように慎重に扱い、彼女に持たせた。


「これが、ハクロの産んだ卵だよ」

【‥‥‥ふふふ、私の大事な、いえ、シアンとの大事な大事な子供がこの中にいるんですね】


 体力の消耗で疲れているようだが、それでも卵を大事そうに抱くハクロ。


 その優しい笑顔は、ようやく母親に慣れたような優しさも含み、彼女の美しさに母性が加わったような気がした。



「現時点で正確な誕生までは分かりませんが、一日に数回ほど転卵をしたほうがいいとおすすめいたしマス。また、検卵はその卵の性質上不可能そうデス」

「産まれるまでやっぱりわからないか‥‥‥でも、無事にまずは出てきてよかったよ」


 夜中にいきなり彼女の絶叫が響き渡るから、正直心臓が飛び出るかと思った‥‥‥‥。



 それでも無事に卵を産み終え、ひとまずは保温ケースの方へ卵を移す。


 この後は卵の中身が偏らないように転卵という作業を一日に数回しつつ、温めていくのが良いそうだ。


 

「‥‥‥お姉ちゃんとして、ロールもちゃんと世話するにょ!」

「普通とは違う卵のような気もしますが…‥‥わたくしも、精いっぱい世話させてもらいますわ」


 ぐっとロールとミスティアが今後の意気込みを語り、室内の雰囲気がより一層温かいものになる。


 新しい家族が早く殻を破って出てきてほしいが、今はまだ中の成長を待って我慢するしかないだろうなぁ…‥‥ああ、待ち遠しいというか、こういう時間もある意味幸せに入るのか‥‥‥



「それはそうと、ついでにご主人様に一つお知らせデス」

「ん?何かあるっけ?」

「めでたい席の中での話ですが、どうも私の前の機体というべきか、試作品型メイドゴーレムの発見が連絡されまシタ。修復作業中で、明日にお披露目予定デス」

「ふーん、ワゼの試作品型か…‥‥え?」


 ちょっと待ってワゼ、何故このタイミングで何かこう、ぶっ飛んだ話題を出した?


 ワゼの試作品バージョンってことらしいけど、何をどうして見つけたのか、いつの間に得たのか…‥‥ツッコミが追い付かない。


 その言葉が聞こえていたのか、ハクロたちも驚愕の目を彼女に向けるのであった‥‥‥

ついに出てきた二つの卵。

金色と真珠色という組み合わせだが、結果的に子供は二人という事なのだろうか。

さらについでになされた報告もあり、色々とあわただしそうだが‥‥‥

次回に続く!!


‥‥‥産まれてくる子供たちと、ワゼの試作バージョン機体‥‥‥事がいっぺんに来ているけど、対応し切れるかなぁ?

というか、後者の方が不安が大きい。このメイドの試作バージョンってどんなのやねん。今でさえやらかすのに、その原型はどうなのか…‥‥


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