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#231 かくかくしかじかで通じるの?デス

SIDEシアン


‥‥‥王城突撃した後、ひとまず僕らは城内に押し寄せてきていた怪物たちを薙ぎ払い、綺麗にしたところですぐに情報交換をすることになった。


 相手は、ミスティアの父親であり、このボラーン王国の国王でもあるエドワード・ザ・ボラーン。


 王子5人王女2人の子を作ったとはいえ、まだまだ現役そうな見た目ではある。


 まぁ、どことなくポチと似たような立場っぽい雰囲気もあるが…‥‥気のせいだろうか?


「まぁ、お父様はたまにやらかして、お母様たちにしばかれてますの」


 以前、夜にそうミスティアがこぼしていたが…‥‥うん、多分気のせいではないだろう。





 何にしても、軽く挨拶をかわしつつ、情報を交換し始める。


「とりあえず、助かったことに関しての礼を言わせてもらおう。わたしはこの国の国王を務めているエドワード・ザ・ボラーン。そちらはミスティアから大体の事情を聞いているが…‥‥今代の魔王とされるシアン殿で間違いないな?」

「ああ、間違いないでしょう。僕の名はシアン。で、こちらが使い魔も兼ねているハクロと、うちのメイドを束ねているメイドゴーレムのワゼだ」


 王族相手だから敬語とかにしたほうがいいかもしれないが、今は緊急事態でもあるので細かい事は抜きである。


 まぁ、僕は今代の魔王とされているので、立場的にどうなのかはちょっとわからないが‥‥‥考えなくてもいいだろう。


「お父様、今は名前を尋ねるとかよりも、この状況の説明をお願いしますわ」

「そうだな、まずはそれからだ」


 ミスティアの言葉に国王が頷き、今王城の方で把握している情報を提供してもらった。





‥‥‥あの怪物たちの正体は不明だが、発生したのは首都内のある貴族街の一角。


 そこは今回王城の方で行われていた大掃除の対象者たちがいる場所であり、あと数日以内に強制捜査を行い、一斉摘発を計画していたそうだ。


 だがしかし、その前に正体不明の爆発事故が発生し、何事なのかと調べるために動こうとしたところ…‥‥



「突如として、その爆発源から大量の怪物たちが押し寄せてきたのだ。普段見るようなモンスターなどではなく、それすら生易しいと言えるようなものたちだがな」

「…‥‥ギガンテス、アイアンビートル、スケルトン、コングマッチョなどのモンスターの姿を取っているようにも見えますが、共通して嫌悪感をもたらし、全身がどす黒く染まっているのです」


 国王の言葉に続けて、正妃や側室たちが詳細を明かす。


「手ごたえとしても、鞭などでしばくと確かにありますが…‥‥やはり通常の肉の感触などがしません」

「なんというか、硬そうに見えてぶよぶよしているというか、腐った腐臭などもあるというか‥‥‥」

「アンデッド系統に近いと?」

「多分そうかと思われます」


 要はあれら全部がゾンビとかグールなどのようなアンデッド系モンスターに近い類とは思われるものの、どれとも当てはまらないようだ。


 確かに殴った感触とかも、いま一つ実感がわきづらかったというか、捉えどころの無いような不快感があったような気もする。


 とはいえ、相手がアンデッド系統であれば適切な対処法はある。


 燃やす、光線を当てる、浄化するなどの手段が存在するのだ。



 一応、アンデッド系統を使役する死霊術師、リッチなどのモンスターなどが存在しており、そう言ったものが万が一にも攻め込んできた時の対処として用意してもいるらしい。


 過去にも似たような例があったからこその用意だったが‥‥‥今回の怪物たちは、それが意味をなさなかった。


 

「効果的なのは物理攻撃。逆に魔法などの類は中途半端なものは効果が薄く、浄化の光なども意味をなさなかったようだ」

「アンデッドのようなのに、意味をなさないって‥‥‥じゃあアンデッドじゃないのか?」

「いえ、そうでもないようデス」


 と、ここでワゼが発言してきた。


 現在、攻めてきている正体不明の怪物たちの撃退作業と住人の避難をシスターズたちが手伝っているのだが、その最中に分析をしたところ、ちょっと妙なことが分かったらしい。


「なんというか、肉がある状態のようなのデス」

「肉がある?」

「どういうこと?」

【というか、スケルトンのようなものもいますが…‥‥あれに肉は無いですよね?】

「正確に言うと、表面を肉が覆っているというべきデス」


 いわく、怪物たちが共通しているぶよぶよどす黒さは、どれも同じような素材で覆われており、それがアンデッドの弱点を打ち消しているようなのだ。


「筋繊維の代わりになって表面を覆い、スケルトン系であろうとも怪力などを発揮し、瞬発力・防御力などの増強をしており、さらに防弾・防爆の役目もこなすコーティングがされているようなのですガ‥‥‥」


 説明する中で、珍しく何故か言いよどむワゼ。


「ん?何かやばいものでも混ざっていたの?」

「‥‥‥エエ。コーティングだけなら皮と表現しましたが‥‥‥肉と言ったのには理由がありまして‥‥‥どうも、素材に人肉の成分が混ざっているようなのデス」


 その言葉に、僕らは息をのんだ。


 肉と言っていたが…‥‥要はあの怪物たち、全員が人肉を元にしたものを纏っているという事なのか。


 つまり、素材になった人たちは…‥‥もうすでにダメになっているのか…‥‥


 

 エグイ事実に僕らは驚愕しつつ、怪物に対する嫌悪感を増させる。


 倫理的にも問題があり過ぎるし、何よりも今もなお怪物たちが出ていると言うことは、犠牲者も増えているという事になるのだ。



「‥‥‥ここで時間を食っている間にも増えるのか」

「そのようデス」


 つまり、ここでのんきに情報共有などをしている場合ではなさそうだ。


 放置している間にも増えるだろうし、場合によっては最悪の事態もあるだろう。



 のんきに情報共有をしている場合ではない。


 下手をすれば起こりうる最悪の可能性なども考えると早急に動く必要がある。



 そう考え、ミスティア及びシスターズを数体王城の方へ置きつつ、僕らは急いでその元凶を潰すために動くのであった…‥‥

まさかの素材の事実に、シアンたちは事件の早期解決へ動き出す。

このままにしておけば犠牲者が増えるだろうし、放置はできない。

とは言え、元凶の元へ辿り着くには…‥‥

次回に続く!!


‥‥‥簡単に分かりやすく言えば、アンデッドにぴっちりとしたスーツを着せている状態。

スーツの素材に人肉が使用されつつ、弱点を見事にカバーするという最悪さもある。

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