#230 タイミング悪かったのデス
SIDE首都住民
「逃げろぉぉぉぉぉ!!」
「急げこっちだ!!」
「避難先は向こうだぁぁぁ!!」
‥‥‥首都ボラーンでは現在、謎の敵の襲撃を受け、避難する住民たちは軽いパニックに陥っていた。
ある貴族街の一角で起きた爆発事故。
只の爆発かと思いきや、その跡地から謎の敵達が現れ、次々と攻撃を仕掛けてきたのである。
【ヴィギャァァァァ!!】
【ゲルゲルゲル!!】
【フンフガァァァァ!!】
襲ってきている謎の敵達は、その姿も様々。
大きな一つ目の巨人の姿もあれば、宙に浮く目玉だったり、骨だけだったり。
だが、共通しているのはどれも体がどす黒く、嫌悪感をたっぷりと感じさせるような醜悪な見た目であろう。
「うえっ!?」
避難する中、住民のとある一人が転び、皆から遅れる。
「ま、待ってくれ!!」
手を伸ばすが、今は我先にと逃げる人が多く、直ぐに助けられない。
【フンガァァァァァ!!】
「うわぁああああああああ!!」
骨だけの怪物が迫り、襲い掛かる…‥‥その瞬間であった。
ズバァァァァァァン!!
【フンゲェェェェ!?】
「‥え?」
何かが飛翔してきて、横蹴りに怪物があたり、くるくると回転しながら吹っ飛んでいく。
その様子に唖然としていると、その蹴りの主‥‥‥何故かメイド服の者が次々と現れ始めた。
「シー‥‥‥弱イ?」
「ファファファ油断しないファ!」
「スー、スー!」
なにやら話し合うと、彼女達は分散し、各自で怪物たちへ攻撃を開始する。
その隙に、他のメイドの一人が腰を抜かしていたその住民を担ぎ上げ、避難場所へもっていく。
何が起きたのか理解できぬまま、唖然とその住民は搬送されていくのであった…‥‥
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SIDE王城
「ぐっ!この程度で我々がやられると思うな!!」
「ふんばばば!!まだまだ甘いわぁ!!」
首都内にある王城内でも、現在戦闘が起きていた。
貴族街のどこからか湧き出てきた多種多様な怪物たち。
住民の避難に紛れて来たものや、城壁をぶち壊して侵入してくる怪物ではあったが、流石に城内の守りは堅い。
刺客などは通してしまう事があれども、正面とかそう言う堂々とやって来た者に対してならばまともに戦う事が可能であり、騎士たちでも十分応戦できていた。
ただ、厄介なことに元が立てず、籠城戦に近い状態。
城内の物資も万が一に備えてはある物の、それでも長時間はきつい。
負傷者などの治療にも人員が割かれ、徐々に押されていく。
「くっ、こうも攻められるとは…‥‥もう少し、罠なども増やすべきであったか」
「そんなことを言っている場合ですか!!」
「そうですね!今は口よりも体を動かし、防衛に励むのみですわ!」
「陛下を狙うのであれば」
「「「我々を倒してみなさい!!」」」
騎士たちの攻防を潜り抜け、遂に王族の元にたどり着く怪物たち。
だが、そう簡単にこの国の王の首はとれず、その周囲に正妃や側室たちが並び、各々の球に国王そのものをしばくための武器を持って応戦していく。
頼もしい事でもあるのだが、逆にあれらがまともに使われていたらと考えると恐怖しかないだろう。
最終防衛ラインとなりつつも、それでもビシバシとしごかれ、叩かれ、怪物たちは薙ぎ払われていく。
・・・・・けれども、どんなに守りを固めていても、隙は生じるもの。
【ゲッヒィィィィ!!】
「ああ!!しまった!!」
「陛下、お逃げを!!」
「うぉぉぉ!?」
鞭やアイアンメイデンが飛び交う中、一体の怪物が根性で潜り抜け、宙を跳躍して国王の目の前に迫っていく。
このままではまずいと、誰もが思った…‥‥その瞬間であった。
シュルルルルルル!!
【ゲピッツ!?】
何処からか糸のようなものが投げられ、怪物の体に巻き付き、締め上げる。
そのままぐいっと糸が引かれ、怪物は国王から遠ざかり、その糸の主の元へ引き寄せられる。
その糸の主の方を見れば、そこにいたのは一匹のモンスター。いや、モンスターと言えるのか?
蜘蛛の体を下半身に持ちつつ、誰もがうらやむような絶世の美女。
その美女が手に持った糸でモンスターを手繰り寄せる。
【よし!今ですシアン!!】
「分かっているよ!!これでも喰らえっ!!」
その合図と共に、誰かが背から飛び出す。
黒いマントのような衣をまといつつ、その構え出した拳に纏わりつき、大きな黒い腕を形成する。
その腕を振りかぶり‥‥‥‥
ドッゴウゥゥゥゥ!!
【ゲピィィィィィィ!!】
タダの打撃ではありえないような音が鳴り、怪物が吹っ飛んでいく。
いや、飛んでいきながら粉砕されていくのか霧散し、姿を消した。
「「「「…‥‥」」」」
突然現れた謎の美女と黒衣の人物に一同が唖然とずる中、ふと彼らの耳に聞きなれた声が聞こえた。
「お父様!!ご無事ですの!?」
「み、ミスティア!!」
それは、国王や正妃たちにとって大切な愛娘の一人であり、避難しているはずの第2王女。
その姿を見て声を上げつつ、迫ってくる怪物たちから気がそれ、怪物たちが攻撃から潜り抜け、彼女を襲おうとする。
だが、その怪物たちの攻撃は届かない。
なぜならば、その攻撃が来る前に、その美女と黒衣の人物‥‥‥それに加え、城内には見ないようなメイドが乱入し、一掃したからだ。
その瞬時の出来事に再び唖然としつつも、国王たちは事情を聴くためにミスティアに問いかけ始めるのであった…‥‥
怪物たちにとっては、攻撃を潰された。
住民及び国王たちにとってはナイスタイミング。
けれども、これらは一体何なのか…‥‥
次回に続く!!
‥‥‥さらっと王妃たちが戦闘してますが、その中にアイアンメイデンとか出ていなかった?普段何をやっているんだろうかこの人たちは?




