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閑話 別の後始末デス

SIDE神聖国ゲルマニア


「‥‥‥ああ、確定したのか」


 神聖国ゲルマニア、その神殿内にて、ある報告をいくつも受けた預言者はそうつぶやいた。


 以前に予言し、ファイスと言う名を持って実際に見に行ったり、それとなく愚者を送ってもらったり、見返りに解呪をしに行ったりなど、適当ながらもそこそこの交流をしていた相手。


 その相手が、今回とある件で、ほぼ‥‥‥いや、確実に今代の魔王になったのである。


「報告にあるように、魔力を纏って衣に、変幻自在可能…‥‥うん、魔王らしいと言えば魔王らしいけれども、えげつない使い方もしているなぁ」


 敵を刺したり、剣に変えて斬るなど、色々と形状変化を学んだようだが、まだまだ伸びしろはある。


 今代の魔王というか、歴代の中でもトップクラスであると預言者は思った。



「まぁ、それと同時に愚か者もでるけど…‥‥捕食する機会が増えるから問題なしと」


 魔王がこの世界に来た時に、預言者は魔王が出るという予言を既に行っている。


 それを聞いた国々は半信半疑なところが多かったが、今回の騒ぎで確実に信じるだろう。


 それと同時に、魔王に対しての対応も当然別れる。



「不干渉、干渉どちらにもなるけど‥‥‥‥基本的には不干渉か」


 今代の魔王の情報だと、立場的には中立。


 善にも悪にもならず、力を振るうと擦れば己の親しい者たちへ害がなされた時か、あるいは気まぐれで行うだろうし、関わらなければ被害は特にない。


 ゆえに、不干渉の立場が一番賢い選択肢でもあるし、自国の愚か者がでたら止めようがなかったりするので、愚かな選択とも言えた。


 一方で、干渉するものたちでも、その内容は異なる。


 魔王の力が自国へ及ばないように距離を取った付き合いを考える。


 その力を自国に利用したいと、真剣なものと愚かなものに分かれる。



「そして、一方的に悪と決めつけて攻撃しようとする国もあるだろうけれども‥‥‥‥まぁ、これは当分駄目だろうね」


 そう言った国々の場合、既に動きが出ていた。


 魔王に従うあのメイドが見逃すはずもなく、裏ギルドやHWGなどといった組織系統も動き、害をなすようなところから順に潰されているのだ。


……まぁ、一部捕食したいので、ある程度残しつつ、こちらに譲ってくれるようにという交渉もしたので、いくつかの国が駄目になっても、特に問題はない。


「まぁ、後は魔王に対しての手段確保に動くところもあるけど…‥‥そっちは全部筒抜けだね」



 神聖国ゲルマニア、預言者が喰らうのは愚か者の魂。


 ずっとあるわけでもなく、他の世界から召喚することもあり、その分野に非常に長けている。


 そして当然ながら、どこかの国が異世界召喚しようものならば預言者は感知し、全てどのような状態なのか把握するのである。


 中には要請され、いたずらに弄った偽物の召喚方法などを渡すことも有ったが…‥‥うまく使えるかどうかは、その国次第であろう。


 現に、もうそろそろ魔王が来て一年経とうとしている時点で、召喚したはいいけど滅びた国なども出ているのだ。


「‥‥‥うまくいかないのは当たり前だけどね。何せ異世界のものはあくまでも異世界のもの。この世界が持つものじゃないし、まだアレ(・・)が動かないからね」


 召喚に挑戦し、ダメになっていく国の報告なども見つつ、預言者はそうつぶやく。


 自分よりもはるかに上位であり、預言者にしつつ、他の制約も課して、全てを話せないようにした元凶。



「あーあ、どうせならばさっさと動けばいいんだけど‥‥‥まだ無いか。今代を気に入っているのか、それともまだ動く気もないか、あるいは…‥‥いや、考えるのは良そう」


 今はそんなことを考えても意味はない。


 自分よりも上な相手だけに、どういう考えをしているのかも検討が付かないし、どうしようもないのだ。



「とりあえず、今は…‥‥これどうしようかな」


 魔王確定させた暴れた場所、温泉都市のダンジョンコアとやらから送られてきた真っ黒な玉。


 なんでもダンジョンのモンスターから抜き出した悪意を固めたものであり、自身で保管する能力は不足しているので、こちらで時が来るまで保管するか、適度につまみ食いをして欲しいというお願い事が来た。


 当然、こういうのは旨そうだが…‥‥適度につまみ食いするにしても、少々味付けを行いたい。


 純粋なのも良いが、ちょっとばかりドロッとしたものも食べたいのだ。


「でもなぁ、回収のための人員は昨日何やら連絡来て、危ないそうだから自由に行き来できるようにして返したはいいけどまだ来ないし…‥‥うーん、適当にぶちっとちぎって、予備軍に漬けて培養するべきかな?」

 

 悪意というのは面白いもので、ほんのちょっと加えるだけで多種多様な変化を見せる。


 流石に魔王の元へやって世界滅亡はシャレにならないので、それなりの人選は行う。



「さてと、そうと決まれば適当な予備軍の中から肥えているやつで…‥‥ん?」


 立ち上がり、巫女とかに指示を出そうとした時に、預言者はふと眉をひそめた。


「‥‥‥あー‥‥‥言っている傍からか。しかもこの感じ…‥‥放置で良いか」


 額に手を当てつつ、対応可能な状態というか、自ら愚かのあ選択をした状況が見え、頭から忘れさる。


 適当にぶちっと悪意の塊から悪意を引き千切りつつ、付ける相手の人選に預言者は向かうのであった。



「予言者様、これが付けられそうなリストでございます」

「どれどれ‥‥‥あれ?結構増えたね。水増しとかはないよね」

「ありません。ちょっとある国で騒動が起きる中で、色々と予備軍入りされた方たちが多くなった影響かと」

「‥‥‥うーむ、魔王ある意味良いな。こういうのを勝手に増やしてくれるし、人々にとっては迷惑だけど、こちらにとっては利益しかないね」




―――――――――――――――――――――

SIDE神獣ファフニールのシグルド


【‥‥‥去ったであーるか】


 温泉都市の一角、神獣の湯にて、シグルドはそうつぶやく。


 シアンたちが去り、共に浸かっていたポチがいなくなり、一人ぽつんと湯に浸かる。


【あの者‥‥‥あの様子だと、確実に魔王となっているであーるな】


 シアンの事を思い出し、ふとシグルドは考えこむ。


 

 これでも結構な老齢であり、知識や経験などはポチ以上。


 魔王についての知識もあり、初めて彼らがここへ訪れた時から予感がして、密かに持っている情報収集手段である程度把握しつつ、なんとか収まった大暴れにほっと安堵の息を漏らす。


 温泉都市の一角がボロボロになったが‥‥‥ワゼというメイドや、ドーラという植物……いや、あれは先代魔王の配下にいたであろうモンスターなどのおかげで、それとなく都市は修復された。


 また、この件が自身の監督不行き届きということでダンジョンコア自身が動き、きちんと今回の被害にあった場所の状態は元通りである。



 けれども、厄介なのは人の記憶。


 流石に丸一日大勢が気絶したのは騒動になりやすく、既に各国では魔王の存在を察知しているところがあるだろう。


【不干渉なら良いであーるが…‥‥また馬鹿をやらかさないで欲しいであーる】


 凄まじい惨状となった現場を見ており、あのような事が他でも起きたら他人ごとではない。


【‥‥‥神獣たちの間でも、しばらくはその話題がありそうであーる】


 何にしても、この目でその大暴れぶりは見えていたので、今代の魔王の危険性は理解している。


 幸運とすればあの魔王は悪ではなく、中立という立場。


 親しい者たちへの害がなければ動くことはそうないだろう。


 あれが悪であれば、既にこの世は地獄になっていたのかもしれない‥‥‥‥そう考えると、中立という立場であることに、感謝するシグルド。



 けれども、場合によっては堕ちる可能性もあり、油断もできない。


【何にしても、他の神獣たちでも馬鹿をやらかすような輩は…‥‥いや、もう起きていたであーるか】


 先日、聞いた話ではとある神獣ができれば友好をと思って送り出した配下がやらかし、見事に撃退されつつ、その神獣に折檻された。


 結構経っており、そろそろ再び動こうとしているようだが、今もなお真剣に人選中で悩んでいるのだとか。


【もしくは、既に伴侶がいるという相手に、魔王だから側室とか妾とかありかもと思う輩が…‥‥うん、考えられるであーる』


 それはそれで家庭的な問題になりそうだが‥‥‥それはもう、どうにもできない。


 今はただ、この地で傍観するぐらいしかできないだろう。


【ま、できれば子ができれば祝いぐらいを送る普通のことをできればいいであーるか】

「近イ内ニデキマスヨ」

【うおっ!?】


 突然聞こえた言葉に、びくっと驚くシグルド。


 見れば、いつの間にか自分と同じ湯に、この温泉都市を治めるダンジョンコアの少女が浸かっていた。


 ダンジョンコアは基本的に出てこないのだが‥‥‥‥このコア少女、身体を手に入れてからはこうやって自由に動けるらしい。


 ただし自由に動け過ぎて、神出鬼没になるのが怖い。


【だ、ダンジョンコア殿であーるか…‥‥驚いたであーる】

「アア、ゴメン」


 その言葉に対して、ぺこりと謝るコア。


【っと、それはそうとして‥‥‥コア殿、さっきの発言は?】

「子ノ話?」

【そうであーる】


 驚愕から落ち着き、ゆっくりと浸かり直しつつ、シグルドはそう問いかけた。


「簡単ナ事。アノアラクネ、子宝湯浸カッタ。最低1カ月以内、最高半年内ニ授カルハズ」

【…‥‥なるほどであーる】


 この温泉都市の温泉、以前以上に効能が向上しており、そういう湯でも同様に向上している。


 特にこの温泉たちの源泉ともいえるコアのいう事だから、説得力がすさまじかった。


 納得しつつ、シグルドふと気が付く。


【あれ?でもその場合生まれる子は何であーるか?】

「サァ?アラクネノ生態知ラナイ。アノメイドノ方ナラワカルカモ?」


 何にしても、めでたい話が来そうなのであれば喜ばしそうである。


 ひとまずは、この温泉都市での騒動を忘れるように、温泉で一息を吐きつつ浸かるのであった‥‥‥




あちこちでも余波が出ているようだが、シアンたちは知らない

けれども、自分たちに害が及ぶのであれば容赦はしない。

何にしても、魔王の話は広がっていくのだ。

次回に続く!!


……さらっとコア少女、爆弾発言。さてさて、どのタイミングでなるのやら……というか、アラクネの場合どうなるんだろう。しかもハクロの場合亜種だし、シアン魔王だし、従来通りになるのかならないのか。

何にしても、しばらくは平和回が続いて…‥‥欲しいなぁ。いやでも、何かないと話がないし、こういうほのぼのラブにしたい時の騒動を起こしたいジレンマが悩む。

あ、ついでに短編予定中。出すべきか出さないべきか…‥‥連載できればいいけど、色々と止まってしまったりするからなぁ‥‥‥不定期だからいいけど、できれば間を空けたくない複雑な心境なのデス。

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