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#194 失い戻って来たものデス

SIDEシアン


「‥‥‥おはよう、ワゼ」

「おはようございます、ご主人様。ハクロさんはどうしたのでしょうカ?」

「ハクロはまだ足腰が立たないからって寝ているよ。‥‥‥ところでさ、ロールは?」

「ただ今庭で、ドーラと戯れておりマス」

「そうか」


 朝、ベッドから起床し、朝食を用意しているワゼに訪ねるとそう回答された。


 窓から庭の方を見れば、ドーラと楽しそうに遊ぶロールの姿。










……ロールが覚めた後、彼女の状態について彼女自身が話してくれた。


 いわく、予想通りその幼い体なのは、暴走によってのしっぺ返しのようなもので、成長することはできるという事。


 そして、その中身は…‥‥


「雪の女王からの記憶などは受け継ぎつつも、ロールのみってことか…‥‥」



 融合もなく、元の人格とも言うべき雪の女王の存在は、消滅したらしい。


 暴走とかで相当疲弊していたようだし、物体Xの影響などもあったらしいが…‥‥まぁ、そこはすまないかもと思っている。


 何にしても、とりあえず今の彼女は、これまで共に居たロールという幼い少女。


 記憶は戻ったらしいが、それはもう完全な別物のようなもので、本当にロールという個が確立したらしい。



 ゆえに、解呪もできて、後は成長すればいいだけのようだが…‥‥その成長するまでは、僕らの元にいる事になった。


 まぁ、ここへ来た当初から娘のように想っていたからね。養子を得たと考えればいいのかもしれない。



「と、そうだワゼ。ミスティア王女へ連絡は着いたかな?」

「ええ、確認いたしましタ。別に問題はないそうデス」


 そこでふと、僕はそれを思い出して尋ねてたが、どうも大丈夫だったらしい。


 今はロールとなっていても、元ははるか北の極寒の地を収めていた女王。


 その幼体をここで預かっても国際的な問題が無いかどうか尋ねてみたところ、問題はないらしい。



 というのも、その極寒の地の国は、雪の女王消失後、一度は滅びたものの、商魂たくましい人たちなどが集まって、新しく建国がされたそうだ。


 そこへ過去の女王が戻ったところで…‥‥特にどうという事もないし、下手に担ぎ上げられても面倒なので、もう僕らの方で面倒を見てもらった方が良いらしい。


 何にしても、面倒を見る事に関して文句もない。


 まだハクロとの子は成せてないし、それまでの娘‥‥‥んー、いや、違うな。血がつながってなくとも、大事な家族として迎え入れられる。



 ハクロの方も反対はなく、めでたくロールは我が家の子供となった。


 ついでに…‥‥



「ところでワゼ、あっちの壁にかけてある物は?」

「ああ、あれですカ。教材デス」


 壁にかけてある物を尋ねてみると、そう返答が帰って来た。




……ロールがうちの子になったのは良いとして、ワゼとしては教育を施す気満々らしい。


 雪の女王からの記憶もあるし、教育は必要なさそうにも思えたが、それも数百年前の記憶でもあり、少々今とズレている可能性が高い。


 そこで、僕らが魔法屋として仕事をする合間に、ワゼはロールへそのズレを直しつつ、僕らに子が出来た後に施す教育の前練習のようなものを行いたいそうだ。



「…‥‥大丈夫だよね?」

「ええ、お任せくだサイ」


 いつのまにかいつものメイド服以外にも、教師風メイド服というわけのわからないものを用意していたワゼ。


 その教育がどのようなものになるのかは分からないが‥‥‥‥不安はあるのだった。




 何にしても、家族が増えたのは喜ばしい事だと、気をそっちへ持っていきたいところである…‥‥そう考えないと色々と不安過ぎるというのもあるけどね‥‥‥‥ 


 

祝!ロール、シアンたちの養子へ。

まだ冬は続くが、その中での温かい出来事である。

まぁ、ワゼの教育に不安はあるけどね…‥‥大丈夫かなぁ?

次回に続く!!


……なお、ちょーっとばかり実はこの裏で、別の話もあったりする。

ロールに雪の女王の記憶があるならば‥‥‥‥まぁ、それは次回かな。

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