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#171 季節も移り変わるのデス

SIDEシアン


……首都での親善試合観戦から1週間ほどが経過した。


 たかが1週間、されど1週間。


 季節の変わり目とでもいうべきか、秋のような気候から‥‥‥‥



「あー‥‥‥出たくない朝の肌寒さがあるねー」

【そうですよね…‥‥ああ、シアンが温かいですよ】


 互いにギュッと抱きしめ合いながら、僕らはベッドの中で朝の肌寒さをしのいでした。


 この家、一応ワゼによって設計・建設されたので防寒対策は完璧なはずなのだが‥‥‥‥どういう訳か、ちょっと季節的に冬へ移行し始めてきたと思ったら、室内の防寒が働いてなかった。


 ベッドの中だというのに、それでもちょっと寒い。


 夜に色々やったけど、一応、朝対策で寝間着は着ているはずなのだが…‥‥朝の肌寒さは防げないようだ。ハクロのぬくもりが無いとちょっと辛い。


 にしても、普段以上にぴとっとくっつからこそ温かさがすごい分かる。


 柔らかいし、もちもちっとしたし、すべすべだしなぁ…‥‥彼女も抱きしめ返しているけど加減してくれているし、埋もれて窒息死なんてならないように上にずらしてくれているもんね。


「ご主人様、ハクロさん、そろそろ朝食デス」


 ノックをした後、室内にワゼが入ってきた。


「ああ、わかったけれど…‥‥ワゼ、ここ最近室内の防寒が働いていないのだけど、原因が分からないか?」

「ハイ。申し訳ないですが、どういう訳か各地で同様の現象が起きているようで、原因不明なのデス」


 ワゼに問いかけてみたが、彼女でも不明らしい。


 家の防寒対策はしっかりとしているはずなのに、その防寒を通り抜けての肌寒さは何故か防ぎきれていないようなのだ。



 というか、そもそも今、この妙な朝の肌寒現象は各地で起きているらしい。


 ただの民家などならばともかく、暖房系の道具を設置しているはずの家々もどうやら同様の現象が起きているらしく、朝に限って寒さを感じさせるのである。


 現状、凍死したなどの噂などはなく、単に朝が寒くなって出たくなくなる程度らしいが…‥‥それでもどうにかしてほしいと思える。


 布団のぬくもりから出にくいのは良く分かるけど、動かないと太りそうだしね…‥‥。


「一応、魔法などの関与も含めて調査しましたが原因不明。いくつか仮説であるので、検証しない限りは不明ですが…‥‥まぁ、原因を究明するにはまだ時間がかかってしまいマス」

「ワゼでもすぐにつかめないか…‥‥まぁ、その調査を続けてほしい」

「了解デス」


 堕落はしたくないけど、この寒さだと布団から出にくいからね。


 それに着ていてもちょっと寒いし、朝に一緒に布団で抱き合わないとちょっと辛いのだ。


……いやまぁ、でもこういう温かさを知る事が出来るから、悪い事ばかりではないけどね。


【ふにゅぅ‥‥ベッドから出たくないですよシアン】

「いや、出ないと床ずれとかあるだろうし…‥‥きちんと起きて動かないと、そのうち本当に寝たきりになるよ?」

【それは嫌ですよー。でも、ぬくもりが離せません!】

 

 ぎゅっと抱きしめ、逃がさないとでもいうように拘束してくるハクロ。


 ある意味、こういう逃がさない行動はアラクネとしては正しいのかもしれないが‥‥‥‥温かさを逃したくないという動機は何か間違っているような気もする。


 ハクロはハクロだし、それは別に良いか。


「でも、きちんと出たほうが良いよ。どうしてもというのならば‥‥‥‥」

【どうしてもというのならば?】

「ワゼに頼むよ」

【今すぐ起きます!!】


 その一言で、飛び起きるハクロ。


 その変わり身の早さは、一瞬であり、ベッドから飛ぶと同時に空中を一回転し、そのまますぐに着替えを行い、着地した時にはきちんと身なりを整えていたのであった。


……ハクロ、いつの間にそんな瞬間着替えの技を。


「って、なんか色々落ちているんだけど…‥‥あ」

【え?…‥‥ひゃあああああ!!下着が脱げてましたぁぁ!!】


 やはりハクロはハクロであった。まだ未完成な技なのだろうか………。






 とにもかくにも、この朝寒現象は早急な解決が望まれるようで、魔法ギルドへ来てみれば…‥‥


「依頼にびっしりと同じようなものが多くあるなぁ…‥‥」

【簡易型蓄熱魔道具に火の魔法を蓄えさせまくって温度上昇、畑の作物の保温、布団高温処理‥‥‥思った以上に、朝の寒さへの対策系が多いですよね】


 なんというか、ギルド内も少々閑散としている。


 魔法ギルドはいつもなら他の魔法屋たちも多くいるはずなのだが‥‥‥‥朝の寒さに皆やられているのだろうか?あ、蛇の使い魔ぎっしり纏わりついている人が、いつもの3倍以上の密度に。



「とりあえず、依頼としては…‥‥作物の保温かな」


 受付で手続きを行い、依頼を受注する。


 こういう時期だからこそ、火の魔法など、何かしらの温かく、もしくは熱く出来る魔法が使える人は重宝されるようで、いつも以上に報酬なども増額されているようだ。


 何にしても、冬本番が近づいているよう二感じつつ、シアンたちは依頼場所へ向かうのであった。





……とは言え、この寒さは季節の移り変わりによるものだけではない。


 その事実を知るのは、もう少し先の話である‥‥‥‥

寒さがやって来た今日のこの頃。

原因を探りつつ、温かさを求めつつ、ついでにララの忠告での安全対策も練っていく。

解決すべきことが多いなぁ…‥‥

次回に続く!!


……空中回転早着替え技。まだ未完成で、遠心力でいくつか吹っ飛ぶらしい。普通に着替えたほうが早かったりするのだが、何となく格好つけて見たくなる時もあるのだろう。外でやったら大惨事確定だっただろうけど。(主に血の花火が咲き誇りそう)

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