表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/459

閑話 改良案を出してみたのデス

SIDEワゼ


……親善試合も終わり、首都観光から数日が経過。


 そんなある日の真夜中、ワゼは自身の作った箱の工房内にて、ある物を製作していた。



ジュ―――――ッ!!

「‥‥‥ふぅ、溶接作業も大変デス」

 

 指の先から出す高温の炎で溶接作業をし終え、安全グラスなどを外してそうつぶやくワゼ。


「ツー!!」

「ファファ!」

 

 一方で、ミニワゼシスターズはそれぞれ割り当てられた仕事を行っていた。


 内部に入れる仕掛けや、特殊な付与などかけられた部品、新合金、新しい自動修復機能など、現時点で最高かつ、この先さらにこの造ったもの自身が自己改良・進化を行うように、先の先を見据えて組み立て上げていく。


「しかし、これはどうしましょうカネ‥‥‥?」


 組み立て上げながら、ふとワゼはそうつぶやいた。



 ミニワゼシスターズはワゼ自身が自己修復可能な部品や、とある重要なものを分け与えて製作することによって、個々の活動を行えるようになっている。


 今回作っているものも、ある程度の自己意識を持てるようにはしたいのだが…‥‥少々違ったものを入れてみたい。


 自分たちと知識や経験は共有させつつも、元が同じであればその多様性も少なくなり、より発展を目指すのであれば異なる物を入れる事によって、変化を促すことが出来るはずなのだ。




……とは言え、ワゼだけでは限界もある。


 ミニワゼシスターズも加えてより精密な作業も可能になったが、そもそも彼女達の本分はメイドと戦闘で有り、こういう技術職のような真似ではない。


 知識や技術はある程度あれども、所詮メイドはメイドであり、その道のプロにはどうしても劣ってしまうのだ。


 こういうゴーレム系統であればその専門家に依頼したほうが良いのだが、信用できるところは限られるだろうし、場合によっては技術の流失によって不味い事態を引き起こしかねないのだ。


「ふむ…‥‥どうしたものですカネ」


 既に85%ほどの作業は終えたが、この先へ進むには色々と足りない。


 ならば、どうするべきか。



「…‥‥そう言えば、神聖国の情報で確かありましタネ」


 ふと、ある情報を思い出し、彼女はつぶやいた。


 預言者が色々やっているせいか、情報が集めにくい神聖国。


 けれども、なんとか集まって来たものの中で、使えそうなものがあったのだ。



「とはいえ、これを扱うには‥‥‥‥少々気が進みませんネ。‥‥‥ですが、仕方がない事と割り切って、ダメもとで頼んでみましょうカ」


 できれば関わらないほうが良いであろう相手。


 けれども、この件に関して助力を求めるのであれば、もっとも良い相手。


 ひとまずは事情を説明する一筆をしたためて、どうするべきか、その相手の元へ…‥‥神聖国の預言者とやらへ宛てて、返答を待つのであった。




――――――――――――――――――

SIDE神聖国ゲルマニア:神殿内部



「‥‥‥ほぅ?」


 神聖国にある神殿、その内部にて、預言者は送られてきた手紙を読んだ。


 その内容は興味深いものであったが、いささか足りないものがあるようにも感じられた。



「とはいえ、あの魔王であろう者のメイドからのものだし…‥‥彼女が単独で動いてやっているのならばいいかもしれないな」

「どうしたんだ?そんな難しい顔をして」


 預言者のそのつぶやきが聞こえたのか、神殿内での仕事の山を抱えさせられ、処理をさせられているとある人物が尋ねかける。


「いや、ちょっとした内容だが…‥‥これはこれで面白そうだ。ふふふふふ……」

「うわ、なんか嫌な予感しかしないんだけど」


 本日の義体はいつもとは気分を変えて、別の義体同士をつなぎ合わせたものらしいが、醜悪な外見と相まっての不気味な笑みに、問いかけたことを後悔する人物……スアーン。


 彼の知り合いにも、流石にこんなに醜悪な外見はしておらずとも、とある人物に対しての執着時の嫉妬の炎の不気味さを醸し出す者がおり、その不気味さとどこか重なったようにも思えてしまった。


「一応、義体の修繕などに関する技術提供の見返りはあるようだし…‥‥こちら側としても答えるべきだろう。だけど、ちょっと足りないから…‥‥」

「な、なんすか、こっちをジーっと見て‥‥‥」


 スアーンは向けられた目に寒気を覚え、思わず後ずさる。


「ちょっとばかり、実験に付き合ってあげるのも悪くはないだろう?実験台として、こほんこほん、被験者として、少し出向いてきてくれないかな?いや、むしろ出向いてこい」

「今さらっと言い換えたけど変わってないよな!?というかほぼ命令じゃねーかぁぁぁぁぁ!!」


 なにやらひどいとばっちりを受けたような気がするスアーンであったが、結局逆らうことはできなかったのであった‥‥‥‥。




――――――――――


 そして数日後、無事に協力を取り付け、ついでに送り付けられてきた者を利用し、ワゼはソレを完成させた。


 少々ボロボロにさせてしまったが、実験に付き合ってくれたお礼として治療を施しつつ、神殿へと彼を送り返す。


 なお、この時にポチも見事に巻き添えになっており、神殿からの彼とポチとの間に深い友情が産まれたのだが、それはどうでもいい話として処理をして、ワゼは完成したものに満足する。


……そして、それが動き出すのはもう少し先の事であった。


何か作ったようだが、それが動くのはまだ先のお話。

ちゃっかりポチが巻き添えになっているが‥‥‥まぁ良いか。

何にしても、季節的にはそろそろ冬へ入る頃合いかもね。

次回に続く!!


……実験台は色々とあるのデス。というか、まだやってみたいこととかあるんだけどなかなか出せないんだよなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ