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#167 試合の後デス

SIDEシアン


……親善試合が終了し、無事に閉会式も終わった。


 観客たちは試合に満足し、未だに興奮から覚めぬものも多いのか、酒場などで晴らすために直行する者などが多いようである。


 僕らもまた同様に、決行興奮した試合のように想えた。




「とは言え、少々悔しいデス」

「フ‥‥」

「セー」

「シシ……」


 宿屋に戻り、ミニワゼシスターズが合体を解除してそれぞれ個別になっているが、ワゼの言葉にうつむく彼女達。


 結構善戦したとはいえ、やはり経験などの差が出てしまったことが悔しいのだろう。


「機体の性能よりも、まずは経験の部分を見直す必要がありますネ。とは言え、普段はそこまで戦闘しませんし…‥‥」

「まぁ、メイドだもんね」


 メイドが戦闘することなんて、普通はない。


 いや、例外が目の前に思いっきりいるけれども、それでも騎士とかに比べると劣ってしまうだろう。


 とは言え、戦闘重視するわけにもいかないだろうし……


「そもそも、メイドとして普段働いているのだし、そこまで気に病むようなことでもないけどな」

「そういう物でしょうカ。‥‥‥まぁ、改良は後々の課題にしましょウ」


 ふぅっと息を吐き、肩をすくめてこの話題を終わらせるワゼたち。


 個人的に言わせてもらうのであれば、これ以上強くなってどうするのという思いもあったりするが‥‥‥まぁ、うん、それは色々と考えておいたほうが良いかもね。


 放置しておくと、下手すれば戦闘用メイドゴーレムとか作りかねないからなぁ…‥‥いや、それはもうメイドなのかという疑問もあるな。





 何にしても、試合も終わったので、後は帰るだけだ。


 とは言え、ハクロの姉のルルさんにも挨拶をしたほうが良いかもしれないけれど・・・・・今日はもう遅いからね。明日の朝にでも騎士団がいるであろう宿舎に向かってやるべきかな。



【‥‥‥ところでシアン、一つ良いでしょうか】

「ん?どうしたのハクロ?」

【試合前に言いそびれていたことなのですが…‥‥】


 試合前に、相手のデュラハンについて、ハクロは何かを言おうとしていた。


 その事を思い出し、僕らはハクロの話を聞く。


……その内容は、驚くべきことだった。



「‥‥‥え?あのデュラハンのララって人、数百年前の魔王とも戦闘したの?」

「年代からして、既に相当の経験者でしたか…‥‥」


 まさかのあのデュラハン、魔王との戦闘経験があったらしい。


 数百年前に出た魔王と何やら一戦交えたことがあるようで、それなりにいい勝負をしたらしい。


 魔王との戦闘経験があれば、そりゃ結構強そうだよな…‥‥その前の魔王がどの程度の強さなのか、わからないけれどね。


 前に神聖国の預言者とやらに魔王だと思われるみたいな発言された身としては、その話題をもう少し詳しく聞きたいし……明日、尋ねて聞いて見るべきかと考えるのであった。



―――――――――――――――――

SIDEヴェールヌイ騎士王国女性誌騎士団在中宿舎


……試合も終わり、騎士団は今、用意された宿舎にて宿泊していた。


 この宿舎には、試合で深めた友情も考えられ、両国の騎士たちが今集まっており、風呂で親睦を深めていたり、まだまだ物足りないので訓練場で剣の打ち合いなどもしていた。


 そんな中で、女性騎士団の団長でもあるルルは、用意された個人用の部屋にて、一人酒を飲んでいた。


【ふぅ‥‥‥今日の試合もなかなかだったなぁ】


 鎧を外し、気軽に買って来た酒を飲み、窓から見える月を見て感傷に浸るルル。


 本日のボラーン王国側の騎士団長との試合を思い出すと、相手は中々の好敵手のように想えた。


 惜しむらくは、やや見た目が好みではないため、恋愛感情が芽生えるよりも、好敵手として見出しているために、自ら機会を逃しているような気もしなくもないが…‥‥まぁ、それは今は気にしない。


 

コンコン

【ん?】


 ノックをされたが、扉の向こうにある気配を彼女は知っていたので、そのまま開けた。


【よ、佇んでいるようやな団長】

【副団長か】


 そこにいたのは、副団長のデュラハンのララであった。


 デュラハンというモンスターゆえに、鎧が外せない…‥‥わけではなく、彼女なりの美学で着たままらしいが、それでもちょっとは考えているのか、睡眠時用の鎧を着ているララ。


【いやぁ、今日の試合の感想を話し合いとうなってな、押しかけてきちゃったんや】

【ふむ。まぁ、こちらとしても良いかもな】


 今日の試合で得た経験は、後々生かせるものである。


 せっかくなので部屋に招き入れ、もう一つのグラスを用意し、互に酒を飲みかわし始める。


【にしても団長、今日は中々接戦やったなぁ‥‥‥。速度馬鹿の団長に、ああいう対処法があるのも良く学べたけどな】

【速度馬鹿って誰の事かな?】


 軽快に笑うような問いかけに、ルルはびしっとチョップを食らわせつつ、ツッコミを入れる。


【そりゃ団長や。でもすごかったでぇ。個人的には試合ではなく、もっときちんとした戦闘でやってもらった方が、臨場感はあったと思うんやけどね】

【それはそっちにも言える事だろう?副団長よ】

【ま、それもそうやな】


 ルルの言葉に対して、ララは適当に返答した。


【‥‥‥まぁ、うちとしては、今回の試合でちょっと気になるもんを見つけたけどな】

【ほう?お前が気になるものか?】


 ララがぼそりとこぼした言葉。


 普段の彼女はそれこそ陽気な印象を与えてくるが、こういう気になる事があった場合、その雰囲気はわずかにだがピンっと張り詰めたものになる。


 その雰囲気の変化を捉え、ルルは尋ねた。


【気になるものというと、何か面白そうな対戦相手でもいたのか?例えば、今日の試合相手のやつとかか?】

【んー、違うな。あれはあれで面白うそうなものはあったんやけどな】


 本日の試合相手であった、東洋の侍のような女剣士を出されたが、それではないとララは語る。


【なんというか‥‥‥数百年ぶりやけど、同じであって同じではない、全くの別人だけど力そのものは似たようなやつがいたんや】

【数百年ぶりというと…‥‥昔戦ったとか言う、魔王とやらか?】

【せや。でもちょっと違うんやな。あの魔王は禍々しいものを感じさせられるような、危ない奴やったんやけど…‥‥こっちは違うかな】


 ララの言葉にルルは首をかしげる。


……数百年前に、魔王という存在がいたらしく、ララはどうやらそれと戦闘したことがあるらしい。


 そういう話題は聞いたことがあったが、それと同じような相手であって、違うとはどういうことなのだろうか。


【んー……そもそも魔王という存在自体、色々とあるんやけど今の時代は失われている情報が多いからなぁ。うちの説明だけじゃなんともいえんな】

【さらっと年齢の桁がおかしい発言だよな…‥‥】


 アンデッドのモンスター、デュラハン…‥‥元々は死体のようなものなので、寿命自体が無いような者らしく、年齢が3とか4ケタいってもおかしくはないらしい。


 年齢的にはそれこそ天と地ほどに離れてはいるが、精神的な年齢も当時のままらしいのだ。


【その魔王とか言うのも気になるが…‥‥そのお前が感じた者ってなんだ?】

【誰なんかも分からへん……と言いたいのやけど、ちょっとばかり宛てがつきそうやで。何せ観客席におった相手やったからその席にいたものを捜せばいいだけの話やし……それに、団長にも多分関係ない話しとは思えへんのよな】

【ん?】


 その言葉に、ルルは再び首を傾げた。


 話を聞く限り、試合中の観客席にいた相手の事のようなのだが、それがどう自分と関係あるのかわからないのだ。


【うちは寝ていたんやけど、寝ながらにしても周囲の状況は把握できておる積りや。でな、団長、昼間の試合前の控室に、団長の妹さんとやらが来たやろ?】

【あ、ああ。そうだが】

【その妹さん、アラクネやろ?うちは寝ていたから挨拶せえへんかったんやけど、観客席にアラクネというのを捜しただけで目立つからのぅ。すぐに分かったんやけど…‥‥】

【まさか!!あの白チビが魔王!?】

【せっかちやな。しかも全然違うで】


 思わず叫ぶルルであったが、呆れたように否定するララ。


【そっか…‥‥いや、待てよ?とするとまさか…‥‥】

【‥‥‥あのアラクネの側にいた男。つがい相手なんやろうけど…‥‥多分、そいつや。あれの力というか、その波長というべきか、数百年前の魔王に似ていたんや。まぁ、全くの別人やろうけど、そうであるならば‥‥‥新しい、今代の魔王というべき奴かもしれへんな。まだ確定しておらんようやけどな】


 その言葉に、ルルは驚愕する。


 自分にとって大事な妹のような存在。


 まさかその妹のつがい相手が、魔王かもしれないと言う言葉に、今世紀最大の衝撃を受けるのであった…‥‥


 

それぞれで出た言葉に、共通する話題。

とにもかくにも、明日には話されるのだろう。

何にしても、次回に続く!!


……盛大に首を寝違え、激痛走り中。湿布を張って大人しく安静にしているけれども、地味に来るなぁ‥‥‥。

なお、ララの年齢にツッコミを入れてはいけない。そもそもアンデッドに寿命があるのかないのか、既に死んでいるようなものだし、結構面倒くさいややこしさがあるんだよなぁ…‥‥

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