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#151 たまには誰かが貧乏くじを引くのデス

SIDEシアン


‥‥‥以前にこの王国の首都ボラーンへ訪れた方法は、魔法ギルドから出された馬車で半日かけていくものであった。


 だがしかし、今回は事情が異なって完全に自費である。


 親善試合観戦チケットなどは首都でもらえるが、向かうまでの方法となると‥‥‥



「やっぱり、ポチ馬車だよなぁ‥‥‥」

【こっちの方が、圧倒的に早いですからね】


 風景が流れるように去っていき、ポチ馬車の速度が良く分かる。


 この速度であれば2,3時間、いや、今日のポチのやる気的に、1時間もかからずに到着しそうである。



【うぉぉぉぉぉぉ!!】


「‥‥‥にしても、なんかやけにポチがやる気を見せているよね?」

【おそらく、あれじゃないですかね?】


 そう言ってハクロが指さした先にあるのは、一つの小さな箱。


 窓枠が付けられており、馬車の片側に設置されているそれからは、ある音が聞こえていた。



【ガウー!!】

【ガウッ!!】

【ガ~ウ!】


【こういうのも悪くはないねぇ。本当はあたしも走りたいが‥‥‥まぁ、夫の力で楽できるのならば、それで良いね!】


「ロイヤルさんたち、狭くないかな?」

【ああ、大丈夫だよ。結構快適だし、外の景色の疾走感を味わえるからね】


 そう、その箱の中にいるのはフェンリル一家のロイヤルさんと子フェンリルたち。


 家族にたまにはいいところを見せるために、どうやらポチはやる気を出しているようなのであった。




…‥‥そもそも、なぜ彼女達も来たのか。


 それはどうやら、今一緒にいる子フェンリルたちとの思い出作りのためらしい。


 子フェンリルたちの成長は中々早かったようで、もうじき巣立ちの時を迎えるそうだ。


 でも、せっかくなので家族一緒に一旦別の場所の景色を見るなどして、家族の思い出作りや、巣立ち前の野生下での訓練を行おうとしたらしい。


 そこで今回、僕らが首都へ向かう話を聞き、それなりに森から離れた場所でもあるので、今回の巣立ち前のちょっとした訓練の地にしようと考えたそうだ。



‥‥‥まぁ、楽していこうと考え、以前にヴァルハラさんがポチと鍛えるために、ワゼが作った箱の事を覚えていて、馬車に設置することで楽して移動しようと考え付いたらしい。


 普通に駆け抜けるのも良いが、楽して向かった方が良いと判断したようだ。




【まぁ、夫でも使えるのであれば利用したほうが良いからね】


 ぐっと肉球モフモフな手をあげ、ロイヤルさんはそう答えるのであった。



 他の人とかに見つかったら騒ぎになる可能性も無きにしも非ずだが‥‥‥‥そのあたりはワゼも考え、どうにかするらしい。


 何にしても、今回は珍しく皆で向かうのであった…‥‥



【あれ?ところでシアン、誰か忘れていません?】

「…‥‥あ」


 ハクロのその言葉に、僕は気が付いた。


 せっかくの機会なので、全員で向かっていたつもりであったが‥‥‥‥ドーラの事、忘れてた。


 本当にごめん。後でお土産買ってきてあげよう…‥‥‥





――――――――――――――――――

SIDEドーラ


【シャゲェ~♪】


 一方その頃、ハルディアの森のシアンの家、庭の畑と花壇にて、ドーラは軽く口ずさみながら、畑の手入れをしていた。


 シアンたちに置いて行かれた気がするが、まぁ、いつもここで過ごしているので特に問題はない。


 子フェンリルたちも一緒に向かってしまったようなので、少々寂しくも思えるが、それでも帰ってくると分かっているのならば平気なのだ。



 ついでに言うのであれば、花壇や畑の管理もしているので早々離れるわけにもいかず、留守番組になるのは理解していたのである。


【シャゲシャゲ~♪】


 できれば、道中で思い出して、お土産でも買ってきてくれればいいかと考えていた…‥‥その時であった。



【シャシャ~♪シャゲ~‥‥‥‥シャ?】


 ふと、何かを感じたような気がして、歌を止める。


 周囲を見渡し、根っこで探ってみるが特に何もない。


 …‥‥いや、違う。この場所ではない。







【…‥‥シャゲ】


 感覚的に、森の外の方で何かがあると感じたドーラ。


 移動し、森の外周部へ向かって見れば、まさにその感覚は合っていた。




 そこにいたのは、蠢く何か。


 いや、ドーラの使う蔓のようだが、色が異なる。


 その特徴を見て、ドーラは理解する。



【シャゲェ‥‥‥‥】


 こういう面倒そうな事案はシアンとかに来そうなものだが、今回ばかりはどうやらドーラに来てしまったらしい。


 しかも、こういう時に限って、本来は森に結界を張って守っているフェンリル一家もおらず、結界は残っているものの効果は薄いし、彼らの守りもない。


 やれやれと溜息を吐きつつ、事態を収拾させるためにも、ドーラは動き出すのであった…‥‥

あっちでもこっちでも騒動の予感しかしない。

というか、今回一番のはずれは留守番しているドーラであろう。

色々と事情があるようだが、とりあえず今はシアンたちの方である。

次回に続く!!


‥‥‥ドーラの方が一番大変そう。果たして、シアンたちが帰って来る前に収まっているのだろうか。

本当はこういう面倒事はシアンが受けそうなのだが…‥‥残念ながら、ズレたようである。

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