#144 巻き込まれる方はいい迷惑death
…‥‥いつもは平穏な都市アルバス。
ちょっと面倒ごとが多く発生することがあれども、それでも都市から人の姿が消えることはない。
商売人たちは商売のタネを探し、魔法屋は依頼を完遂するために動き、冒険者はようやく再開した冒険者ギルドを訪れては依頼を捜す。
住民たちは店があれば買い物へ、またその逆に売る側へと回り、吟遊詩人がいれば歌を歌ってもらい、大道芸人がいれば芸を見せてもらう。
人々は都市に集まり、都市を行き交うことにより、活気が満ち溢れていた。
また、その活気が失われぬように…‥‥別の目的としてはある美女が訪れても安心できるように裏で動く者たちもおり、発展しつつ治安はより向上している。
だがしかし、本日ばかりは様子が違った。
いや、いつも通りの日だったはずなのだが…‥‥どこか空気が違う。
どんなに鈍感で鈍い人であろうと、誰もが本日は外出を控え、家にこもり、中には何かを察して都市から離れて動く者たちもいた。
…‥‥野生の勘というべきか、それとも人が持つ生存本能が刺激されたせいか。
そんなことを探っていても答えが出ない中、都市内のある喫茶店には客が訪れていた…‥‥
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SIDEシアン
「…‥‥どうも、お久しぶりですね、ファイスさん」
「ああ、久しぶりだね」
指定された喫茶店の中に入って見れば、窓際の席にてその目的の人物が座っていた。
2人座っているようで、一人は見たことが無い青年だが、もう一人は僕らが一度であった事のある相手、ファイスである。
とは言え、油断できるような相手ではないと理解しており、穏やかそうに声をかけつつも、僕らは最大限の警戒をしていた。
相席にされているようなので、向かい合った席へ座り、対峙する。
「手紙を出されるなんて思いませんでしたけど、良く僕らの元へ出せましたね」
「ああ、それはこっちの彼に向かわせたからね。そんじょそこいらの人とも違うし、何かあった時に対応できる奴がいたんだよ」
僕の問いかけに対して、中性的な顔をしているファイスさんは軽く返答した。
‥‥‥あらかじめワゼの集めた情報によれば、その隣の彼が届けてきた人物らしいが、詳細は不明。
未知のものもあるようで、こちらも油断はできないだろう。
「‥‥‥さてと、ここのメニューは適当にするとして、さっそくだけど本題に入ろうか?」
っと、ここで相手側から話を切り出してきた。
「本題というと、僕らとここで話したい理由のほうか?」
「ああ、そうだよ」
そう答え、店員が持ってきたお茶をすすりながらファイスは答えた。
「以前にね、あの森で吟遊詩人と偽ってやってきたことに関して、改めて謝罪したいと思ってね」
「謝罪?あの場ですぐに逃亡したが、その時に話していればよかった話じゃないか」
謝罪程度であれば、わざわざここに訪れる必要性などは無い。
それなのに、ここへ来るのは…‥‥
「だってね、わたしについて話すこともあって長いからね。これでも神聖国ゲルマニアの預言者だしね」
「話が長くなるから落ち着けそうな場所としてここにか‥‥‥‥ん?あれ、今何と?」
さらっと何か出たような。
「ああ、聞こえなかったかな?わたし、神聖国のトップなんだよね」
「‥‥‥‥え?」
【え?】
「…‥‥なるほど、そういう訳ですカ」
その言葉を聞き、僕とハクロは驚いたが、ワゼだけは驚いていない様子だった。
「へぇ、そのメイドは驚かないんだね」
「ええ、ある程度の可能性は入れてましたからネ」
当の前に、うちのメイドは相手の正体について推測した居たようです。
いや、本当にどこからそんな推測が出来たのやら…‥‥‥
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SIDEファイス
…‥‥こちらの正体をさらっと軽く明かしてみたが、相手のメイドの方は既に予想できていたようなそぶりである。
とは言え、相手はこちらを警戒したままのようだが…‥‥こちらも内心警戒は解けないだろう。
以前、森で偽って遭遇して見た時があったが、その時以上の力をわたしは感じた。
万が一にも戦闘になったら、確実に勝てないだろう。
ゆえに、戦闘するようなことにはならないようにしつつ、こちらから話をしていかねばならない。
関係的にも、友好‥‥‥最低でも中立に、不干渉を確立できるような状態にできれば良い。
そう思いながらも、わたしは彼らに、今回の話し合いの場を設けた、理由としての謝罪……ではなく、別の本当の目的の方を話し始めるのであった‥‥‥
ようやくできた話し合いの場。
相手の立場が話されつつ、今回の目的も出てくる。
非常に面倒な予感しかしないが…‥‥
次回に続く!!
‥‥‥雰囲気というか、互いの警戒による威圧のせいで巻き込まれる都市の人々には迷惑過ぎる。




