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#129 甘いものの前に、まずは苦いものデス

甘いものの前に、何か別の物を食べたほうがより感じやすい。

そして甘いものを食べた後に渋いお茶も良い。

……ちょっと爺くさいかな?

SIDEワゼ


……都市アルバスへ到着し、ワゼ及びミニワゼシスターズが調査をして2時間後。


 相手に対しての大体の情報が収集され、一旦馬車に戻って彼女達は情報をまとめていた。


「ツー、ツツ」

「ふむ、帝国の第2皇子ですか‥‥‥これまた面倒な人のようデス」

「シー!」

「ほぅ?都市キュルストンでの違法奴隷の黒幕でもあるのですカ」

「セ、セ」

「ふむ、一応相手を調べる事に関しては、ある程度長けているようデス」


 各自の報告を聞き、軽くまとめていくうちに、大体の素性が判明してきた。



 今回、あの都市キュルストンで出会った大声野郎の正体は、どうやらこのボラーン王国の友好国であるベルガモット帝国の第2皇子ゴジャール・ザ・ベルガモットらしい。


 帝国の王位継承権争いはかなり頻繁に行われているようで有り、このゴジャールも参加していることはしているのだが、戦力差的に他の皇子や皇女たちに負け気味なのだとか。



「一人称が『余』としているのは、帝王に成れた時の印象付けのようですが、薄いデス。これでは見せかけの王としか思えませんし、そもそも現状でかなり低い位置にあるようですネ」


 色々と情報が取れるが、本当はある程度情報を守る事に重視しているらしい。


 戦力差がある分、情報戦で勝利しようという魂胆があるようだが…‥‥生憎、この程度だとワゼたちにとっては児戯にも等しい。


 自分は賢く、偉いと思っているような典型的な馬鹿なのであろう。


「ファ!」

「ふむ、性癖は幼児好き…‥‥ただし、母性とか父性のような優しいものではなく、性的に喰らう感じ……ウワァ」


 その報告を聞き、ワゼたちは思わず呆れたような声を出しつつ、より一層冷たい目で見る事にした。


 どうも色々とこじらせているようで、あの違法奴隷の件に関して調べてみると、どこからか攫った子供たちの割合が高いそうで、全員密輸して帝国でゆっくりと味わう気だったようだが…‥‥あまりにもひどすぎる。


「ばれないように違法奴隷商人などの情報に関して情報統制を行い、賄賂などで情報漏洩が無いようにしているようですが‥‥‥この情報がある時点で、ダメすぎマス」


 ワゼの言葉に、ミニワゼシスターズも同意して頷く。



「スー、スススス」

「ふむ、ハクロさんに対しては、綺麗な女性という感じはすれども対象外ですカ。これはこれである意味珍しいですが…‥‥ああ、ハニートラップも過去にあったのですカ」


 拗らせた原因の一つには、どうやら王位継承権争いの中で、他の皇子・皇女たちからハニートラップを仕向けられたことがあるらしく、撃退に成功すれども女性に対して不信感を抱いたらしい。


 その不信感を拗らせに拗らせ、嘘をつかない様な純粋な幼児へ手を伸ばして…‥‥同情する余地はあったかもしれないが、もはや手遅れな事もあるので、やはり余地はない。



「それで今は、私のメイド服のポケットの収容能力を狙い、持ち帰って自分たちの戦力増強を図っているようですネ」


 ある程度まとめ上げ、そうワゼは結論付けた。


 どうやらここは帝国ではなく王国内なのに、勝手に私兵なども呼び掛けて集めてきているようだ。



 おそらくは、都市キュルストンでの行いのようなことをやらかし、いう事を聞かなければ脅すのだろうが…‥‥下手すれば帝国との開戦になりそうな出来事である。


 ただ、帝国側が黙認している様子からして、完全に第2皇子の暴走で有り、関係ないと貫き通す気があるのかもしれない。


 賠償なども多少は請求されても、皇子・皇女たちからすれば勝手に自滅するような相手なので、放置しても痛くもかゆくもなさそうである。



「そうであるならば、多少やり過ぎても帝国側からの文句は無さそうデス。ひどい目に皇子が会わされたと言いがかりをつけられる可能性はありますが、私兵を持ってきている時点でアウトですしネ」

「ツ?」

「来る前に全滅させるかですカ?…‥‥いえ、ここはあえて集めさせましょウ」


 帝国から第2皇子に従う私兵を連れてこようとしているようだが、道中で止めさせるよりも、むしろ進軍させたほうが良いとワゼは判断した。


 やらかしを未然に防ぎ、ご主人様達への安全を確保するのが良いかもしれないが、この手の馬鹿野郎にはまず痛い目を見てもらわないと意味がない。


 他への警告にもなるだろうし、いつぞやかの馬鹿貴族の時のような末路を辿ってもらう方が良いだろう。



「他の余罪なども集めたほうが良さそうデス。勝手に自滅コースも良いですが、盛大にその様を魅せるようにしてあげるほうが見せしめにもなりますしネ」

「シー!」

「ええ、ついでに工作もしておきましょウ」


 ふふふふふふ、っと笑みを浮かべ、ワゼたちは各自行動に移し出す。


「王位継承権争いの巻き添えにさせられるよりも、あえてそこから脱落させてあげたほうが良いですよネェ」


 この瞬間、第2皇子の命運は決まったも同然であった‥‥‥‥‥




――――――――――――――――――――――

SIDEシアン


……ワゼたちが出かけているので、現在僕らは家に二人きり。


 せっかくなので、この間告白したもの同士、仲を深めるためにまずは何かの遊びをすることにした。



 とは言え、ただの遊びではいつもとは変わらない。


 ゆえに、今日はちょっと変わったものとして、本で見た、ツイスターゲームとやらを僕らなりに改造して見た遊びをしているのだが、ちょっと失敗していた。


 このゲームは色のついたマットに、割り振られたところへ手足を載せ、バランスを崩せば負けになるのだが‥‥‥残念ながら、僕らには向いていなかった。




【ぬぐぐぐ…‥‥み、右前足中左3番とか……き、きついです】

「ハクロ、その体勢大丈夫?」


 身体をひっくり返し、さらに足をクロスさせ、反対方向へある場所に足を延ばしつつ、身体を物凄いねじらせているハクロを見ながら、僕はそう問いかけた。


 ハクロの場合、アラクネなので下半身が蜘蛛であり、足も多い。


 そのため、彼女の足の本数にも合わせ、各所に番号を振り、糸で回したダーツで当たったところへやっていくようにしたのだが‥‥‥いかんせん、指示される場所が無茶苦茶過ぎた。


 ホラー映画であるような、身体をひっくり返して、頭だけぐるりと回り、テケテケと来る何かしらのような、状態である。


 当てる場所が悪いというか、それともやり方がまずかったのか…‥‥この場合は、おそらく後者だろう。


 僕の方は無難な場所なのでそうそう苦労しないが‥‥‥



【えっと、次は右手を7番……うぐぐぐ…‥‥】


 届きそうで届かない指示された場所へ向けて手を伸ばす。


 ひっくり返っている体勢から、さらにねじっているが、大丈夫なのかなこれ?


「ハクロ、無理しなくて良いよ。辛いならやめても良いよ」

【大丈夫ですよシアン!この程度であれっばぁぁぁ!!】


 ぐぉぉぉっと勢いを付けて動かすハクロ。


 僕の上の方を現在交差する形なのだが…‥‥ちょっと目のやりどころに困る。


 ぐいんぐいんとあきらめないように挑戦しているようだけど、なんか嫌な予感が。



……その嫌な予感は、割と直ぐに的中した。


 もともと無理していた体勢だったが、身体よりも床の方に負担が言っていたらしい。


 足場を支えるためにがっしりと踏ん張っていたようだが、限界を超えた。



ばずきぃっ!!


 数回目の挑戦で、無理な力がかかったのか床が一部砕け、そこに乗っていた足を滑らせる。


「【あ】」


 ずるっと足を滑らせ、他の足も同様に滑らせてしまったのか、蜘蛛部分がひっくり返りつつ、上半身は上を向いていた体勢でハクロが倒れ込んだ。


 後で床を壊したことでワゼの説教コースが待ち受けているなー、と、どうでもいい事を思いながら、迫りくるハクロの豊かなものに圧殺される未来から、僕は現実逃避をするのであった‥‥‥‥



ワゼたちを敵に回した相手、そのことに気が付いていない模様。

何にしても、自滅させるのであればより一層盛大にやってほしい所である。

そしてシアン、甘いものの前にまずは苦いものとして盛大な一撃を受けた模様。

何にしても、次回に続く!!


……後片付けもそうだけど、これ下手すると大怪我になるような。体勢をイラストに乗せて見せられればより分かりやすかったかもしれないが‥‥‥むしろ何故これを選んでしまったのか、後悔しかないだろう。

なお、ワゼたちがやった場合、各自手足が伸びる仕掛けがあるので勝負にならなかったりする。いや、こんがらがる可能性があるかも?

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