#126 不穏な予感もあるのデス
イベ進めるか、それとも次に備えるか。
ちょっとゲームしていたら、そんなことになった。どうしようこれ‥‥‥
SIDEシアン
「んーっ…‥‥朝か」
都市キュルストンで宿を取り、一夜が明け、朝日が差し込んできたところで僕は目覚めた。
何かトラブルでもあったのか、都市に入るのに時間がかかったが、それでも無事にこれたのは良かっただろう。
一応、何が原因だったのかワゼたちに調査してもいらいつつ、この宿に宿泊したが…‥‥
【くぴぃ……すぅ……】
「‥‥‥ぐっすり寝ているなぁ」
部屋の天井からハンモックを吊るし、ぐっすりハクロは寝ていた。
かつては野生で過ごしていた彼女なのに、人との生活で堕落しているような気がする。
……同室だけどまだ一線超えてないからね?ヘタレとかじゃなくて、まだ清い交際みたいなものだからね。
何にしても、つんつんと頬をついてみたが、全然起きる気配なし。
やっぱりと言うか、ハクロって結構熟睡タイプだよね。
とは言え、これ以上やらかせば色々と言われそうな気もするし、下手すると寝ぼけて抱きしめられる可能性もある。
後者であればまだ平和そうだけど、窒息死とか、意外に腕力が強いので抱きしめ死って可能性もあるからなぁ‥‥‥
そう思いつつ、そっと離れると、そこでノック音が聞こえたのでドアを開け、ワゼとミニワゼシスターズが入って来た。
「おはようございます、ご主人様」
「ああ。おはようワゼとミニワゼシスターズ。来たってことは、もう調査結果が出たのかな?」
「はイ。昨日の遅延ですが…‥‥」
ハクロはハンモックで寝ている状態のまま、僕はワゼたちから報告を受けた。
昨日、都市へ入る際に渋滞していた原因だが、どうも馬車の出入りに関して思いっきりひっかかった者がいたらしい。
と言うのも…‥‥
「‥‥‥奴隷?」
「ええ、どうもやらかされたというか‥‥」
一部情報操作の形跡があり、やや手に入れにくかったが、それでも入手した情報。
それは、「奴隷の密輸」だったらしい。
一口に奴隷と言っても、犯罪を起こしたので強制労働などに従事するようにされた犯罪奴隷が大半で有り、借金したので返金するまで従事すると言ったようなものなどがあるが、今回のケースはそれらではない。
「違法奴隷ってやつか」
「ええ、そうデス」
簡単に言えば、何もしていないような人たちを勝手に攫い、奴隷にする行為を行った者たちがいたらしい。
それが都市の出入り口で発覚し、色々と尋問したり、奴隷にされていた人たちの身分の確認や介抱などをするために、急きょ時間が採られてしまったようである。
「違法奴隷商人の単独行動のように想われましたが、どうも不自然な情報操作の形跡‥‥‥この国ではない、どこかの国にとって都合の悪い事があったようデス」
「輸出先とか、そういうのを特定されないためにと言う訳か……」
何と言うか、非常に嫌な話しである。
とは言え、僕らが関わるようなことではない。
ちょっとばかり国際問題となるような事態でもあるらしいが、そのようなものにいちいち突っかかっているのも面倒だし、やるのならば勝手にやれって話だ。
ひとまず話しを終えたところで、ハクロが起床したので、僕らは朝食を取るために宿の食堂へ向かうのであった。
―――――――――――――
SIDE???
……都市キュルストンの、シアンたちが泊まっているのとは異なる宿屋。
そこにいたある人物は、荒れていた。
「ええい!!だめだったのか!!」
「ええ、どうも奴隷が勝手に出たようでございまして、当方へ密輸し損ねたようでございます。一応、情報操作及び薬物によるちょっとした混乱などで、関わっていることはバレないように細工済みです」
「それなら良いのだが、兄上たちに勝つための戦力として奴隷共を買ったんだぞ!!わざわざ他国に信頼できる戦闘奴隷密輸商人がいると聞いてきたのに、金の無駄ではないか!!」
「まぁまぁ、落ち着いてください」
荒れている人物をなだめるのは、彼の側近たちである。
「ひとまずは、ほとぼりが冷めるまでここで滞在していたほうが良さそうです。迂闊にあなた様のような方がいるとバレれば、注目が集まりますので」
「何か別の注目するようなことがあれば、勝手にそちらへ目を向くでしょうし、機を待つだけです」
「ぐぅう……ならばそうするか」
ひとまずはおとなしくし、ほとぼりが冷めるまで滞在することにした一行。
だがしかし、「押すなと言われて押さないやつはあまりいない」と言うように、大人しくしているようにといわれて、大人しくしないやつがいるのである…‥‥
ハクロの熟睡って、けっこう深い。
だからこそ、急に起こされるのも弱いんだよなぁ‥‥‥
とは言え、何やら不穏そうな空気があるようだ。
次回に続く!!
……野生をある意味捨てているような気がしなくもない。良いのかハクロ、それで。




