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#119 面倒事は増えるのデス

解決したとしても、また新たなものはすぐに生まれるだろうなぁ‥

SIDEシアン


‥‥‥ダンジョンコアへの魔力供給後、急に湧き出しまくった温泉。


 シグルドさんの見解や、分析したワゼいわく、原因は僕からの魔力が多すぎたことが原因であるらしい。


 完全に修復でき、今後は大丈夫だろうと思われるらしいが、いかんせん過剰供給しすぎて、その消費のために、現在温泉を噴き出させまくるという事で、コアが対応しているそうだ。



「で、こちらの温泉都市中の温泉も、噴き出しまくりか……」

「効能も上昇しているようデス」


 一旦ロイヤルさんたちとは別れ、改めて都市内に入ったが、あちこちで温泉が間欠泉のように噴き出していた。


 各温泉へその源泉を流そうとしているようだが、勢いが強く、まだ復旧し切っていないようである。


 そもそも、早朝……いや、話によればもっと早くから温泉が枯れたようなので、その対応に追われていたところに、急に復活されたので対応が間に合わなかったのだろう。




 取りあえず、宿の方へ戻ってみたが、こちらでも温泉が湧き出すぎて、対応しきれないそうだ。


「だから、今晩はこっちでの風呂か……」



 そのため、今晩はその対処が間に合った温泉に、入浴することになった。


 2泊3日の旅行なので、できれば宿の温泉に浸かりたかったが‥‥‥まぁ、朝風呂とかもあるし、それにまで間に合うだろう。


 



「それじゃ、こっちは男湯だから一旦ここで別れて、あがったら宿の方で合流ってことで」

【ええ、そうしましょう】


 ミスティアはどうやら別の温泉へ、ワゼはミニワゼシスターズと共にダンジョンコアの調査で別れ、僕とハクロはこの温泉に入浴することにした。


 この湯は『ポーションの湯』とされており、どうやら疲労回復、魔力回復などの効能があるようで、ダンジョンコアに魔力を注いだ今日には最適な湯である。


 ハクロの場合は魔力消費ではなく、体力回復目当てだけどね。




 その他の効能としては、現在急に質が上がったことで調査中な点が多いようだが、それでも悪いものではあるまい。


 そう思い、男湯と女湯に分かれて脱衣所に入り、衣服を脱いで、入浴することにした。




ちゃぷん・・・・・

「ふぅ‥‥‥」


 最初にお湯をかけ、ゆっくりと浸かったが、中々心地が良い。


 魔力を大量消費した体にはよく効くようで、じんわりと体にしみこむような、魔法がすぐにでも使える様な感覚を感じ取れる。



 ただ、どうもこの湯には現在僕しか使っていないようで、こうも広々としている場所だとちょっと落ち着かないような気がした。


 まぁ、湯気がすごい立ち込めているので、広さが少々ごまかされて気にしなくても良いが‥‥‥




じゃぶぅん・・・・・

(ん?別の人が入って来たかな)


 ちょっと離れた場所で誰かが入って来たのか、お湯の水面が波立ち、他の人が入って来たらしいことを感じさせる。


 誰が入って来たのか、ちょっと気になったので少しだけ接近してみると、湯気の中に人影が見えた。


【あれ?先客がいたのでしょうかね?】

「ん?」


‥‥‥あれぇ?今、物凄く聞き覚えのあるというか物凄い見覚えのあるシルエットが。



 そう考えている間に、相手の方も近付いてきたようで、湯気の中から現れた。


【‥‥‥へ?】

「‥あー‥」


 互いにその姿を見て、固まった。


 そう、そこにいたのは…‥‥ハクロであった。



 どうもこの温泉、湯が分かれていたが、混浴だった。


 固まりつつ、次にどう動くべきか混乱する。


 ハクロの方を見れば、今回はタオルできちんと体を覆っているようで……あれ?「今回は」って、前に見たことあったかなぁ?


 何にしても、数分ほど経過し…‥‥ひとまずは、体が冷えるので互に黙って湯に浸かる事にしたのであった。



――――――――――――――――――

SIDEハクロ


(……どうしましょう、この状況)


 湯に浸かりながら、ハクロは内心パニックになっていた。


 きちんと湯が分かれ、前日の悲劇が起こるまいと思っていたのだが、まさかの混浴である。


 脱衣するところは配慮してなのだろうけれども…‥‥ここで一緒になるとは聞いていない。



 慌てて糸で殴りかけたが、今回ばかりは素っ裸ではなく、きちんと隠しているので、すぐに行動へ移さなかった。


 と言うか、今はワゼがこの場にいないので、シアンを気絶させたらハクロしか彼を湯からあげる事しかできなくなってしまう。


 数分ほど考え、湯冷めしたので互いに浸かり直したが…‥‥この状況をどうすべきか、ハクロはドキドキしながら考える。


 だが、どうしようもなく、互いに気恥ずかしく黙った状況が続いた。



(ううっ、本当にどうすればいいのでしょうか‥‥)

「‥‥‥っ、ねぇ、ハクロ」

【ひゃ、ひゃい!?なんでしょうか!!】


 考えていたところで、急にシアンに声をかけられ、思わず裏返った声が出てしまった。


「えっとね、ここが混浴とは知らなかったから、その、怒らないよね?」

【お、怒るわけありませんよ!!混浴ってこちらも知らなかったですし、シアンには責任ありません!!】


 どうやら、偶然混浴状態になったことでシアンの方でも考えていたようだが、怒るのは筋違いであるとハクロは告げた。


【だって、ここがこうなっているなんてまだ把握できていませんでしたし、事故ならば大丈夫です!!私だってシアンにだけ見られるのであれば、大丈夫ですからね!!】

「え?そうなの?」

【そうですよ!!だってシアンなら大丈夫だと思いますし、私自身貴方であればゆだねても大丈夫だという自信がありますからね!!】

「へ?」

【‥‥‥あ】


 つい焦って出たその失言。


 口を押えるが…‥‥もう、戻せない言葉であった。


 今の言葉、捉えようによっては…‥‥



 その言葉の理解を自らして、真っ赤になるハクロ。


 身体中から火が出るほどの熱さと言うか、羞恥の獄炎に包まれる。


【えっと、その、ひょの…‥‥】


 誤解のないようにと言いたいが、それはそれで何かが違うようで、言葉がうまく出てこない。


 手をバタバタと動かし、どうにかしようにもできない状況で、どんどん熱くなり……


【ふんと、えええっと、しょの、ふ、にゅわぁぁぁ…‥‥】

ボウン!!

「ハクロ!?」


 考えすぎて、許容量を超えた結果、ハクロは湯気を出して倒れた。


 温泉に浸かってのぼせたというのもあるだろうが、羞恥しすぎて心が耐えられなくなったのであろう。


 意識が薄れ、お湯に浮かぶ中で、駆け寄ってきたシアンの姿を見ながら、ハクロはドキンと感じつつ、時間稼ぎにしかならない現実逃避と言う名の気絶に逃げるのであった……





―――――――――――――――

SIDE神獣湯


 丁度の頃、結界をはって見えなくしている神獣たちの湯にて、シグルドは考えていた。


 あのダンジョンコア、シグルド自身の魔力量でも足りなかったというのに、シアンの魔力を流しただけで完全回復し、それどころか現在、より一層強い力を持っているのだ。



【……ただの人間が、ダンジョンコアを完全回復するほどの魔力を持つとは思えぬし……もしや……】


 ファフニールであるシグルドは、実はフェンリル一家の祖父であるヴァルハラよりも若いとは言え、それ相応の長い時を生きてきた。


 ゆえに、知識も豊富に蓄えられており、そもそも宝を集めるような習性があるので、その知識すらも宝として扱い、集めていたともいえよう。


 そして、その中で一つ、ある仮説が出来たが…‥‥まだまだその立証するための証拠は不十分であった。



 そのため、これから先も注意して調べて見ようかと、密かに動き出すのであった…‥‥




 

……何やら関係に変化が出そう。

でも、進めたいのに邪魔をする輩も出そう。

ただ、一つ書き損ねたが、この時点でとある組織の者たちが、ぶしゃぁっと血の花を咲かせていたのであった……

次回に続く!!


……実は元々混浴で無かったりする。お湯が噴き出した影響で、仕切りが壊れていたなどとね・・・・

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