#111 都市オルセデスに到着なのデス
ぞろ目って、何かと使われることが多いなと、どうでもいい感想が思いついた
SIDEシアン
ポチではなくロイヤルさんに牽引された馬車により、僕らは無事に目的地の温泉都市オルセデスへ到着した。
「道中で温泉の川が流れ始めてきた時から、だんだん近づいているとは思っていたけれども‥‥」
【予想以上に湯気とかが溢れていますね】
ぶしゅー、ぶしゅーっと音をたてながら、あちこちから白い湯気が漏れ出し、あちこちには溢れた温泉を逃さないようにするためか、用水路ならぬ用温泉路が張り巡らされ、一部では足湯として利用されている。
道行く人たちも、通常であれば洋服が多かったのだが、この都市ではいつでもどこでも温泉と言うせいなのか、脱ぎやすい浴衣を着ている人が多く、ちょっとした和風の国のような印象があった。
「街中にもどこにどのような温泉があるのか、案内板がきちんと設置されているようデス」
「わかりやすいけれども……」
美容の湯、子宝の湯、マッチョの湯、滋養強壮の湯、静養の湯、ひよこまみれの湯……種類が豊富であり、むしろ余計に迷いやすくなるような気がした。
というか、ひよこまみれの湯ってなんだ?あの黄色でモフモフしたひなが溢れているのだろうか?
色々と気になる物があるとは言え、今回は予定されている高級旅館への宿泊だ。
宿泊手続きを経て、時間があれば向かって見れば良いと思い、気になる温泉には心の中でチェックを入れつつ、僕らは宿へ向けて歩みだすのであった。
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SIDEミスティア
「ここが、温泉都市なのですわね」
「フー!」
馬車にガタゴトと揺られつつ、見えてきた温泉都市に対してミスティアはつぶやき、彼女の護衛として一緒にいるフィーアは楽しそうな声を上げた。
王城での仕事もひと段落を終え、兄から譲りうけた温泉都市での静養を楽しみにしつつ、都市内へ彼女達は入った。
馬車は停留所に止めつつ、都市内を歩いてみるが、道行く人々は首都内の人達とは格好が違い、温泉への愛情が見て取れる。
「それに、護衛も本当は必要ないらしいですわね」
都市オルセデスは温泉都市ゆえに、人々の往来はそれなりにある。
ゆえに、争いなども十分あり得そうなものであるのだが、この温泉の場‥‥‥いわば、裸の付き合いをするようなこの都市には争いはいらないという事で、争うような行為は禁止されているのである。
むしろ、この都市に入る瞬間に審査がされているようで、きちんと都市に入るのにふさわしい者たちなのか、調べられているという話もあるのだ。
そのために、以前シアンが出会ったような馬鹿貴族などはこの都市にはいないので、過ごしやすい理想郷とも言われていたりもするのである。
何にしても、今日はこのまま宿へ向かい、手続きをして温泉を巡るだけ。
日々の疲れを癒すためにと思い、ミスティアたちが予約していた宿の中へ足を踏み入れたその時であった。
「フ!」
「ん?どうしましたの?」
宿に入った途端、何かに気が付いたのかフィーアが声を上げる。
そして、その視線の先を見れば…‥‥その先にいた人たちも、どうやら気が付いたようだ。
「え?」
【はい?】
「ふム」
互にきょとんとしつつ、一名は驚いていないようであったが…‥‥思いっきり顔なじみであった。
「えっと‥‥‥シアンさんたちですわよね?」
「あ、ああ、そうだけど‥‥‥第2王女様こほん、ミスティア?」
【まさか、ここで会うとは思いませんでしたよ】
「なるほど、そちらも温泉なのですカ」
「フー!」
都市アルバスとは違う、この温泉都市。
シアンたちとの遭遇に、ワゼやフィーアを除く全員が、この偶然に驚くのであった。
まさかの温泉都市での遭遇。
偶然とはいえ、まさか出合うとは
とは言え実は、これは偶然ではないのだが・・・・・
次回に続く!!
……ハプニングとかやってやりたいなぁ。




